クラブ活動

　毎年５月と10月に、Ｈｇ君夫妻の家の庭で仲間達が集まってバーベキュー会をするのが恒例になっている。今回も15人が集まった。皆私が高校教師であった時に顧問をしていた生物クラブ（生物部）の卒業生達で、夫婦で参加も３組あって賑わい、昔ながらの冗談や毒舌が飛び交う楽しい場になった。

,

　彼らは卒業してから長い者で46年、一番若くても40年になる。思えば長い付き合いだ。昭和33年(1958年)に教師になってすぐ、私は生物部の顧問になった。私が勤めた学校はクラブ活動が盛んだったが、生物部は部員数が少なく、熱帯魚などを飼っているくらいで、活動と言っても取り立てて目立ったことはしていなかった。私は高校生の頃には生物班に入って、今に付き合っている友人達ができて、それなりに楽しい高校生活だったのだが、いかんせん顧問の先生達の指導は皆無の状態で、まともな活動とは言えるものではなかった。それでもこの生物班に入っていたことで、私は大学進学に当たっては理学部の動物学科を選んだ。

　生物部の顧問になってまず考えたのは、自分の高校時代の顧問の指導のなかったクラブ活動のことが頭の中にあったので、顧問としてできるだけ部員達と一緒に活動して行こうということだった。初めは手探りだったが、３年目から熱心な部員達に恵まれ、とりわけ部長になった男子生徒や副部長になった女子生徒は、よくクラブをまとめて見違えるように生きいきと活動するクラブになり、やがて最盛期には60人以上の部員を抱える学校一の規模のクラブにまでなった。文化祭での展示も校内で有数のものになった。

　あの頃の部員達と過ごした日々のことを思い出すと今も懐かしく、心温まるように思う。バーベキュー会に集まる卒業生達は最盛期の頃の部員達で、それだけにいろいろな思い出話も出て楽しかった。私も若くエネルギッシュだったが、その私のエネルギーを上回るような活動をした部員達に恵まれたことは本当に幸運だった。部員達にとっても生物部で過ごした日々は充実したものだったようで、中には生物部に入っていなかったら私の高校生活はなかったと言う者もいた。

　40年以上の歳月はさすがに彼等の上にも影を落としていて、中には私より老けて見えると冷やかされる者もいるが、私にとっては一人ひとりがあの頃の姿を思い出させる貴重な存在だ。教師になったこと、彼らと日々を過ごせたことを幸せに思う。教師冥利に尽きると言うものだ。