中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

母子の情景

2009-06-19 07:24:05 | 身辺雑記
 岩合光昭さんは著名な動物写真家で、多くの優れた作品を発表してきている。この人が撮った1枚の写真が、6月11日付の朝日新聞の夕刊に紹介されていた。
    
             

 これは米国の有名なネイチャー誌の1986年のある号の表紙に採用されたもので、日本人としては初の快挙だと言う。『ナショナル・ジオグラフィック』誌は自然、人文、博物に関する専門誌で、私もかつて購読したことがあるが、毎号見事な写真で誌面が埋められ堪能したものだった。このような斯界ではもっとも権威がある雑誌に採用されたことは、岩合さんの力量の確かさの証だろう。

 新聞紙面の写真を複写したものだからあまり写りは良くないが、見れば見るほど心温まる写真だ。アフリカタンザニアのセレンゲティ国立公園で撮ったものと言うが、夕暮れなのか、光輝く草原の彼方を見つめる母と子のライオンの様子は穏やかで、いったい何を思っているのだろうかと想像させる。母親の首に手を置いた仔ライオンは、母親を信頼しきって身を委ねているようで何とも言えないほど愛らしい。

 多くの動物の母親は、我が子が1人立ちするまでは献身的に育て、保護する。わが子を守るためには強敵も恐れない。それは単に「本能」と片付けてしまうことはできないような、尊さを感じさせ感動させられるほどのものだ。

 それに引き換え、近頃しばしば起こる、わが子への虐待、時には死に至らせてしまうほどの残酷な仕打ちはいったいどういうことなのか。獣にも劣るとはこのことだ。無論人間は、動物の進化の頂点に立つ存在だ。しかし、進化とは一面で退化を伴うものなのかと慨嘆したくなるのが一部の母親の所業だ。せめて本能的なものであっても母性というものは損なわれないでほしいものだ。