マレーシアのボルネオ島の北部にボルネオコビトゾウという絶滅危惧種の小型のゾウがいます。現在1,000頭から2,500頭のみの生息が確認され、生息域も非常に限定されています。最近このゾウの死体が次々に発見され問題になっています。このゾウは、森林の伐採や大規模農園への転換のために生息地が脅かされ農園に出没するので害獣とされて住民に毒殺されたようです。死体が発見された地域では、農地を守る目的で、パイナップルやバナナなどの餌に毒物を仕込んでゾウを殺す行為が横行しているということです。
この写真は、マレーシア・サバ州の野生生物保護局が提供したもので、毒殺されたらしい母ゾウを懸命に起こそうとしている生後約3か月の子ゾウの姿です。見ていて「ママ、ママ、起きてよ」という子ゾウの声が聞こえるようで胸が詰まります。
この写真を見ると誰しもが子ゾウの哀れさに胸が詰まると思うのですが、これに関連した記事を探しているうちに2チャンネルに行きあたりました。それを見ると「全滅は、仕方ないだろう。人間が増えれば、他の野生動物が減るのは自然の摂理だ」と言う冷酷な書き込みがあり、どんなことにも心を動かされることのない人間がいるものだと思いました。こんな書き込みもありました。「殺すなら輸出しろよバカ動物愛護団体が殺したようなもんだ」実態をどこまで知って言っているのか、若い世代にありがちな「自分以外は全部バカ」「上から目線」が露骨です。
野生動物と人間の共存は難しい問題ですが、結果としては動物のほうが追いやられていて同じボルネオの希少動物であるオランウータンの現状も暗いようです。