ライトフロウズ ノウト:Lightflowz-Note

音の和 彩の波 響き合う
五感豊かなひとときを♪ 

【十二ヶ月の夢の詩: 9月 赤い森…10月 森の奧…11月 初冬の幻影…12月 冬至の夜の夢】

2024-01-30 | 十二か月の月の詩

ライトフロウズ ノウト新しいページにようこそ♪

 

能登半島地震 被災の土地の皆様に心から

お見舞い申し上げます

厳寒の季節をどうか乗り越えて安心できるの生活を、

そして一日も早い復旧をと祈ります

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2024年のblogは詩のページからとなりました。

新年よもやまblogか何か他の話題?と思っておりましたが

地震のニュースに気おされ書くことができませんでした。

 

これまで基本的に…自分的にひと月一度を目安に

十二ヶ月の詩を創って載せていたのですが

昨年秋以降また数か月貯めておりました。

途中まで書いて仕上げで止まったのばかりで

理由は自分でもわからないのですが

昨日~今日、何とか纏まったので載せてみます

やや長めのページかと思いますが

もしよければお付き合いくださると嬉しいです

 

☆12ヶ月の夢の詩:9・10・11・12月

【9月:赤い森】

何もかも燃え尽きるほど
暑かった夏は

熱に浮かされて
新たな言葉を作り始めた

それらの葉先は
灼かれて朱い

並べて読むのは
造作ないこと

同期の速度を
知るものならば


質量を持たない言葉と
電子のリズム
纏って装う
誰かの分け身

小気味よく軽い音程たちは
選別されつつ
進化を続け

星の導火線を
点けたり消したり

    真昼のかげろう
    地中に逃れた
    声を探して
    耳を澄ましても
    草木の影
    ただ冷えていく
   
葉月の熱は
薄羽色の風に掃かれて
姿を隠す

鮮やかすぎた
光の景色の跡に
取り残された
深すぎる影は

見えない大きな
手に運ばれて

西と東が
出会う地の果てで
誰にも掴めぬ
遠い夢になる

 

【10月:森の奥】

森の奥深く
高い木立の上方は
白い霧に包まれて静か

鳥の声だけが時折響く

湿った土を踏みながら
歩き続ける

そんな夢をみた

胸の奥まで
深い緑の
香り広がる

歩みを一つ
進めるたびに
記憶を一つ消してゆく

自分の名前も
もうじき無くなる

そして五感は
幸せで満ちる


霧の中で聴く
鳥たちの声は
意識の凪を微かに
揺さぶり

心の中に
望みの燈火を
幾つか点す

夢から覚めても
明かりは消えずに
埋み火となる

 

【11月:初秋の幻影1~4】

『1.氷空(そら)の果て』

天翔ける冬の鳥
凍る蒼穹を
鋭い嘴と風切羽根で
切り裂いて
氷空の果て
見えない未来へ飛んでゆく

『2.干潟の手の影』

干潟を宿す海は
空と同じの鉛色
ひと手は何かを
迎えにゆく形

雲が形を変えたかのような
大きな手の影
ひと手は何かを
つかもうとする形
もうひと手は
落ちないように
掬い上げる掌のかたち

雲の切れ目から
昼から夕への陽光さして
水平を少しずつ
碧色に変える

 

『3.夢の中の光る闇』

深い水底から呼びかける
無垢な声たちを
ゆくりなく聞いた

幾重にも幾度でも
響きあい広がる
その音の環に捉えられた時
夢の中の
光る闇を目指して
心の旅が始まる

『4.美しい目』
美しい目が見ている
限りない悲しみと
慈しみを抱いて
定めの行方と
星の行く末を
見守っている

 

【12月:冬至の夜の夢Ⅰ&Ⅱ】

『Ⅰ.太陽が生まれた日の夜』

太陽はつい今しがた
生まれたばかり

まだ幼いので
早くに沈む
宵闇はすぐに
降りてくる

凍てつく冬の長い夜
黒の天鵞絨色の天幕

月の歌と
星のさざめきが
鈴を振るように
辺りに響く

流れ星は
ひとつ またひとつ
遠い宙の巣に帰る

暗闇を怖れず翔ぶ
予言の鳥が
柔らかな羽音と共に現れて
知らない国の言葉で
話した

行き場を失くした
明日の夢が
どこに隠れたか

泥の海の水底の奥に
潜った魚に

尋ねなければ
ならないと言う

確かにそうだと
思われた

『Ⅱ.夢の音たち』
海水は青く鈍色を深め
潜ろうとしても
海の奧底は果てなく暗い

それでも奥に
意識を凝らして
耳を澄ませば

海中を揺らす
くぐもる響き
丸い泡が
小さく浮かぶ

忘れられても
消えることはない
無心に生きた
小さな命の
紡いだ声は

どこか懐かしい
色合いの調べ

交信するため
もっと深くと
念じた瞬間

朝の明るさが
瞼で弾けて
現の床で目が覚めた

鮮やかな夢のリアル

月の歌
星の呟き
鳥の言葉
魚たちの声

確かに聞いた 
その音たちに

次いつ会えるか
あるいは永久(とわ)に
失なわれたのか