【 十二ヶ月の夢の詩 :二月 淡い日ざしの中の夢 】
昼下がりの淡い日差しを
小さく振るわせる
鳥の声に誘われた微睡は
閉じた瞼の裏に映る幻と
寄せては返す遠い波のように
繰り返して響く声に引き込まれて
次第に深くなっていった
幻影は形を成すと見せて
また別の姿に移ろう
声たちは呼びかけか
無心のリフレインなのか
言葉達は聞き取ろうとすると
遠ざかる
輪郭は意味を為さない
夢の奥底の
更に深くへと誘う
優しい青と銀色の闇
息を忘れてでも
その奥に潜る
勇気があるなら
海の底よりも深くで待つ
伝え手に会うことが
できるだろうか
行き着く術を
知っていると思う
そこに始まりがあることも
けれど思い切る力が足りない
躊躇ううちに
歌い続ける鳥の声に
呼び戻され
陽の光が瞼に広がり
目覚めれば
リフレインは遠ざかる
春の歩みは遅い
新しい季節の彩りは静か
夢の旅は
いつかまた始まる
命綱は真実の言葉