蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

イントゥ・ザ・ワイルド

2009年06月06日 | 映画の感想
イントゥ・ザ・ワイルド

主人公は、優秀な成績で大学を卒業するが、手持ちのカードや現金を処分して、放浪生活を送る。その目的は、うまくいかない人間関係やお金をめぐる煩わしさから逃れて、アラスカの自然の中で孤独に暮らして人生の意味とかを悟ること。

ノンフィクションを原作としているので、本当にあった話らしい。
こういうヒッピー的な若者って60年代とか70年代前半が盛りだったと思うのだけれど、この話は90年代初頭で、ちょうどその頃日本はバブル絶頂期で、主人公のような指向は全くはやらなかったと思うけど、アメリカではまだそれなりの存在感があったのかもしれない。
もっとも、めったにない話だったからこそ原作者が取材しようという気になった、とも言えるかもしれないけれど。

アラスカの雪原における厳しい暮らしの中、廃棄されたバス(いちおうの生活用具が揃っている)を見つけた主人公は、そこに定住(?)する。うーん、それじゃあ、「大自然の中で生きる」とはいえないのでは?なんて思ってしまう。食べ物も自給自足というわけにはいかず、買ってきた米の量を常に気にしていなければならないというのも、なんていうか社会の頸からはなかなか逃れることはできないのだなあ、と思わされた。

この映画が、感動的なのは、「恵まれた境涯を捨てて、他人が全くいない環境でたった一人で生きていく」という、憧れながらも、実際には絶対実行しないことを、本当にやった人がいた、という事実が明らかになるからだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする