蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

市子

2024年09月16日 | 映画の感想
市子

川辺市子(杉咲花)は、3年同棲していた長谷川(若葉竜也)から求婚された翌日失踪する。市子をさがす長谷川は彼女の不幸な生い立ちと失踪の理由を知る・・・という話。

説明的な部分がなくて、時系列を行ったり来たりするので、それなりに集中してみていないと筋がわからなくなりそう。また、気が滅入りそうなストーリーなので見る人を選びそうな作品。

市子が無国籍で、難病で通学できない妹の月子の名を借りて高校まで通っていた、という主筋は割合と早い段階で明かされるのだが、そこから先に待ち受けていた試練が凄まじい。

杉咲花は取り憑かれたように市子を演じていて、世評の通り素晴らしいのだけど、セリフがちょっと聞き取りづらいように思えた(DVDの具合が悪かったのかも)。若葉竜也は、主役級なのは初めて見たけど、いかにも怪しげな経歴が次々に明らかになる市子をそれでもあきらめられない気持ちを上手に演じていた。
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リアル 日本有事

2024年09月16日 | 本の感想
リアル 日本有事(麻生幾 角川春樹事務所)

台湾侵攻への前哨戦として中国が外人傭兵を中心とする軍隊を宮古島へ送り込む。自衛隊が防衛出動するが・・・という話。

著者が自衛隊中心に相当に取材していることを伺わせる内容で、細部の描写が(どこまで本当なのか素人にはわからないが)とにかく詳細でリアリティを感じさせてくれる。

自衛隊員に支給される装備は古臭くて、隊員たちは自腹を切って私物を装備している(例えば、官給の電子地図システムはすぐ故障するのでGoogleマップをつかうとか、軍用にも耐えるような性能のいいドローンを自分で買うとか)なんていうのは、多分隊員自体に取材してないと描けないことのような気がする。

その他にも、通信網がなってないとか、負傷兵の後送を考慮しない作戦(これを特攻というらしい)、陸海空がいがみあっている(陸の支援要請に対して、陸の情報が信頼できないからと拒絶するとか)あたりも、先の戦争とあんまり変わってないなあ、と感じさせる。
フィクションの映画で見る限りだけど、現役米陸軍の装備(電子関係が特に)や航空支援なんて、本作で描かれる自衛隊とは比較にならないくらいすごいよね。何と言っても実戦経験が豊富すぎるし。

繰り返しになるが、本作での描写がどれくらい事実に近いのかはわからない。もしかしてわざと劣後しているように描いて警鐘を鳴らしているのかもしれない。というか、そうだといいんだけど。

登場人物が多すぎるのがイマイチかなあ。取材成果をできるだけ反映させたいと、手を広げているせいなのだろうけど。
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