蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

審判はつらいよ

2024年09月23日 | 本の感想

審判はつらいよ(鵜飼克郎 小学館新書)

様々な競技の審判にインタビューして、審判の喜びや辛さを描く。サッカー、野球(プロ、アマ)、柔道、ボクシング、飛び込み、ゴルフ、大相撲を取り上げている。

サッカーの審判が体力的に最もキツそう。試合では選手より平均走行距離が長く、22人もの選手の行動をほぼ一人でジャッジしないといけない。少なくともプロの試合では人数増やした方がいいかも。

プロ野球審判は基本単年契約で誤審が多かったりすると1軍の試合に呼ばれなかったり、クビになってしまう厳しい世界とのこと。うーん、その割には誤審が多いことで有名な人が長くやっているような気もする・・・素人の印象なんでしょうね。リクエストで明らかになった誤審の統計は公式には公開されていないような気がするが、あれば見てみたい。

アマ野球の審判の人(内海清さん)の、9回ウラ2死満塁の場面だったら「絶体振ってくれ」と祈る、というのは、なんとも実感のこもった本音だと思えた。

どの競技も、競技経験者が審判になっているケースがほとんどのようで、特に国内における柔道では審判の現役時代の格が問われるそうである。

ボクシングの審判の最大の使命は、選手の命を守るために適切に試合をストップさせられることだという。本作で登場するビニー・マーチンさんは、早めにストップすることが多いという評判なのだが、セコンドから文句は言われるが、選手からは止めてくれたことに感謝されることが多いという。逆かと思ってたので意外だった。

大相撲。審判(行司)としての最高格:木村庄之助はなかなか就位できなくて、空位の時期もしばしばあるという。また行司は番付表を書く人でもあるので、字がうまくないと務まらない、というのも面白かった。
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グラスホッパー

2024年09月23日 | 本の感想
グラスホッパー(伊坂幸太郎 角川文庫)

20年ぶりくらいに再読した。
登場人物で最も魅力的なのは、やはり、会った人を自殺に追い込む殺し屋の鯨。「罪と罰」の文庫本を繰り返し読み、自殺させた被害者?の亡霊に悩まされる(悩んでいないようでもあるが)。本作のテーマは、誰もが死にたい気分になるけど、生きていることも、またいいもんだよ、みたいなことだろうか。

初めて刊行されたのは2004年だけど、ストーリーや登場人物の行動や志向が全く古びていない。携帯電話を初始めとするハイテク系の小道具を極力排除しているように見えるせいだろうか。
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