蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

夜明けを待つ

2024年09月25日 | 本の感想
夜明けを待つ(佐々涼子 集英社インターナショナル)

「エンド・オブ・ライフ」などで有名になったノンフィクション作家のエッセイ・ルポ集。

日経夕刊のコラム欄(プロムナード)に掲載されたものを中心とした前半がいい。新聞連載時に大半を読んでいたが、再読してもう一度そう思った。

母の読み聞かせの思い出を描いた「献身」、長年にわたって介護してきた妻をなくした父を描いた「口福への意志」、母方の祖父の葬儀を描いた「弔いの効用」、長年飼っているクサガメを描いた「冬眠」が特に気に入っている。

本書に限らず、著者の作品の多くに死が色濃くにじんでいる。本書のあとがきは特に衝撃的で、あらかじめ著者の死去を知っていなければ、読んで動揺してしまったと思う。
コメント
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