希望荘(宮部みゆき 文春文庫)
杉村三郎は、浮気した妻と離婚し、傷心を抱えて郷里の山梨へ帰る。農産物の直販所で働くうち、調査会社の若社長と知り合い、誘われて私立探偵をすることになる(砂男)。東京の下町の古い民家を借りて事務所にする。近所の人からの依頼を受けて行方不明になったおばあさんを探したり(聖域)、介護施設にいる父親が昔の殺人事件に関わっていたのではないかと心配する息子からの依頼で過去の事件を調べたり(希望荘)、女子高生の依頼で母親の再婚相手の行方を探ったりする(二重身)中編集。
本作は杉村三郎シリーズの4作目で、文春文庫版には本シリーズを紹介した小さなリーフレットがはさみこまれていた(文春文庫は葉村晶シリーズでも同様のリーフレットを挟み込んでいる。とても良い企画でこれだけで買う気になってしまう。古本や図書館対策?としても有効そう)。
このリーフレットの中の著者インタビュウで、杉村三郎シリーズは最初から私立探偵ものとして構想したものだと明かされる。3作目まで杉村三郎は大企業グループの総帥の娘のムコとしてそのグループの広報誌の編集者であって、身近で起きる事件にまきこまれたりするだけで私立探偵ではない。3作ともかなりの分厚さの大作なのだが、著者によるとこの3作は三郎が私立探偵になるまでのプロローグにあたるものなのだそうだ。
まあ、確かに宮部さんの小説は全般的に長いけど、大長編3冊がプロローグに過ぎないとは・・・最近トシのせいか長い小説を読み通すのがつらいときがあるんだよね。
その点本作はで各編が文庫本で100ページくらいで終わるので、ほどよい長さで楽しめた。特に表題作の「希望荘」がよかった。解決のロジックにはやや無理があるし、後味があまりよくない(宮部さんの現代ものミステリはそういう傾向が強い。杉村三郎シリーズの「ペテロの葬列」なんかが典型)のだが、手慣れたストーリーテリングで面白く仕上がっていた。
杉村三郎は、浮気した妻と離婚し、傷心を抱えて郷里の山梨へ帰る。農産物の直販所で働くうち、調査会社の若社長と知り合い、誘われて私立探偵をすることになる(砂男)。東京の下町の古い民家を借りて事務所にする。近所の人からの依頼を受けて行方不明になったおばあさんを探したり(聖域)、介護施設にいる父親が昔の殺人事件に関わっていたのではないかと心配する息子からの依頼で過去の事件を調べたり(希望荘)、女子高生の依頼で母親の再婚相手の行方を探ったりする(二重身)中編集。
本作は杉村三郎シリーズの4作目で、文春文庫版には本シリーズを紹介した小さなリーフレットがはさみこまれていた(文春文庫は葉村晶シリーズでも同様のリーフレットを挟み込んでいる。とても良い企画でこれだけで買う気になってしまう。古本や図書館対策?としても有効そう)。
このリーフレットの中の著者インタビュウで、杉村三郎シリーズは最初から私立探偵ものとして構想したものだと明かされる。3作目まで杉村三郎は大企業グループの総帥の娘のムコとしてそのグループの広報誌の編集者であって、身近で起きる事件にまきこまれたりするだけで私立探偵ではない。3作ともかなりの分厚さの大作なのだが、著者によるとこの3作は三郎が私立探偵になるまでのプロローグにあたるものなのだそうだ。
まあ、確かに宮部さんの小説は全般的に長いけど、大長編3冊がプロローグに過ぎないとは・・・最近トシのせいか長い小説を読み通すのがつらいときがあるんだよね。
その点本作はで各編が文庫本で100ページくらいで終わるので、ほどよい長さで楽しめた。特に表題作の「希望荘」がよかった。解決のロジックにはやや無理があるし、後味があまりよくない(宮部さんの現代ものミステリはそういう傾向が強い。杉村三郎シリーズの「ペテロの葬列」なんかが典型)のだが、手慣れたストーリーテリングで面白く仕上がっていた。