愚か者の石(河﨑秋子 小学館)
明治時代、本人としてはあまり身をいれて活動した覚えがないものの政治犯として北海道の監獄で10年以上懲役となった瀬戸内巽を描く。監獄内で瀬戸内と仲がよかった山本大二郎は、石英の小さな石を隠し持ちとても大事にしていた。山本は脱獄し、恩赦により仮放免となった瀬戸内は、山本の過去をさぐるが・・・という話。
瀬戸内と山本が主人公格なのだけれど、キャラクターとして二人以上に魅力的なのが獄卒の中田。獄卒としての務めを忠実に果たし、毎日制服の手入れをして狭い官舎にも満足しているストイックさがかっこいい。瀬戸内と山本を普通の社会的生活になじめない人物として描くことで、中田の生真面目さを際立たせているようにも思えた。
小説としては、出所後に山本の行動の真相をさぐるあたりが読みどころなのだと思うが、明治時代の刑務所の、過酷なようでそれなりに官としての規律も働いていた様子を描いた前半の方が興味深く読めた。
明治時代、本人としてはあまり身をいれて活動した覚えがないものの政治犯として北海道の監獄で10年以上懲役となった瀬戸内巽を描く。監獄内で瀬戸内と仲がよかった山本大二郎は、石英の小さな石を隠し持ちとても大事にしていた。山本は脱獄し、恩赦により仮放免となった瀬戸内は、山本の過去をさぐるが・・・という話。
瀬戸内と山本が主人公格なのだけれど、キャラクターとして二人以上に魅力的なのが獄卒の中田。獄卒としての務めを忠実に果たし、毎日制服の手入れをして狭い官舎にも満足しているストイックさがかっこいい。瀬戸内と山本を普通の社会的生活になじめない人物として描くことで、中田の生真面目さを際立たせているようにも思えた。
小説としては、出所後に山本の行動の真相をさぐるあたりが読みどころなのだと思うが、明治時代の刑務所の、過酷なようでそれなりに官としての規律も働いていた様子を描いた前半の方が興味深く読めた。