浅田次郎さんのちょっとオモシロ本
参勤交代を描く時代小説、
小野寺家は代々続く御供頭、
当代である父親が国元で失火のため命を落とし、
19歳で江戸詰めの嫡男一路は急きょ跡を継ぎ、
参勤交代の供頭をしていくお話、
失火は大罪につき、道中に不手際あれば即刻家名断絶の瀬戸際、
うつけ者のお殿様、一路を取り巻く周辺、
登場人物のエピソード、
そして、大きく藩ののっとりの人物やらが蠢いて、
たいへん面白うございました、
まず、焼け跡から唯一残った参勤交代のマニュアル本が出てきまして、
まあそこには、江戸時代の初め、制度の何たるかを書いてあるわけで、
「いざ・鎌倉!」ならぬ、「参勤交代は行軍、戦そのものである」で、
いかに効率よく、しかも戦いに赴くかが書かれているわけです、
一路は江戸詰めの身で後継ぎらしいものは一切行われていなかったし、このマニュアル本が頼りなわけです、
で、国元である西美濃・田名部藩のお殿様が蒔坂左京大夫(まいさか さきょうのだいぶ)、
この人物が世継ぎとして生まれるまで、藩主が叔父である蒔坂将監(まいさか しょうげん)だったわけで、
うつけ者のお殿様では世が成り立たんとばかり、転覆をはかっていくんですね、
そんなこんなも知らぬ一路が出立までの供揃えから、道具、宿の手配を一切合切していくんです、
はじめは失火大罪の家なわけなもんで、かかわりを避けようと人々はそ知らん顔をするんですけど、
そこには、やっぱり訳しりな人たちも居るもので、
道中先者、供奴、馬たちまで立派な行列が出来上がって、
各宿場での出来事、雪中峠越え、関所、殿様の病気・・・
多難苦難の連続であります、
しかし、旅に付いている占い師や髪結い、坊主たちも良い働きをします、
陣をはる宿場での差し合い(宿泊藩が重複すること)、藩主とのいざこざ、・・・
それを、お殿様左京大夫は誠意を持って処して、一致団結して行軍し続けて、めでたく完結します、
最後にオチもあるし、
浅田次郎さんと言えば「蒼穹の昴」「終わらざる夏」はシリアスもののイメージで、
でも、これは一種コメディ?と思えるほど愉快に読めました、
最後ホロっともさせていただきましたし、
あ~ユカイでした
佐々木蔵ノ介主演の映画「参勤交代」も可笑しかったようですけど、
こっちも読みごたえたっぷりで、大満足でした、
いやあ、本は良いですなあ