いちよう:二千和会だより

 会報「いちよう」を通して、人生がさらに豊かに広がるよう「今も青春!」の心がけで楽しく交流しながら散策しましょう。

文学散歩じゃないけれど!

2008年02月23日 | 会報お役立ち

 原点は文学散歩に通ずると思って足を止めた。わずか面影が残っていたのに…消えていくんですから…。
 ここはお馴染みの稲毛駅に行くバス通り。かの有名な千葉高女から千葉二高、千葉女子高と名前こそ変わったが、ここは千葉大生の関心を集めた女子校生と千葉大生のかよった道であった。

 そのころ駅を降りると、女子高校まで13分くらいの道のりを、ぞろぞろと通って行った道。あのころにしては、しゃれたデザインで明るい紺のスーツ型制服に可愛いネクタイをつけて、先輩後輩なく校舎までず~っと歩いて行った懐かしい道。
 
 その通りを歩いていて驚いた。「この樹を伐ってしまうのですか?」
 くすのきの芳香性のある風が私の鼻に届く。その太いくすのきの枝を落としていたのである。その下で小母さんが工事の青い制服を纏い、旗を振って通行人を誘導していた。思わずその人に質問してしまった。
「これは枝を落とすだけですよ」
 良かった…と胸をなでおろした。銀杏の太い並木がいつの間にか伐られてしまって、もうかつての面影を無くしているのだ。昔ここは千葉大の文理学部があった。門から学舎につながった銀杏並木。学部事務を受け持つ学生課につながる厳かにも感じられたあの道は、高校生だった私はとおったことが無い。高校に通う途中見ただけだったが…。
 大学受験は亥鼻学舎で受けた覚えがある! 幸せなことに国立二校から合格通知をもらったあの時、愛知の大学に行かず、ここの大学生になっていたら…? 人生が変わっていたろうな…?
 人はみんな、どこかで、そしていくつもの人生の分岐点があるものだ。

 立派な楠だ。青いポリプロピレンの紐は何の印だろうか?伐ってしまう樹か、残すつもりの樹か?
 イメージチェンジは嫌いではないけれど、やはり昔の姿が消えていくのは寂しい。そう感じるのは、長く生きてきた証拠だ。思い出をいっぱい蓄えている証拠だ。もともと稲毛に住んでいた人はもっと感慨深いことだろう。


 見えていない右側の部分はYGさんが以前アップした小中台公民館がある。その公民館の境の立て看板に小さく千葉大学とあった。この先には大学女子寮や職員宿舎として使われているそうだ。

 向かいの中華料理屋さんは昔は「若菜」と言ったのではないかな? 千葉大生のお兄さんに聞いた覚えがあるが、可愛い看板娘がときどき手伝っていた…というような。それが二高生だったとか…。憧れの眼で語っていたような微かな記憶…。

 中華の店のちょうど前の所が下の写真。ここがいわゆる千葉大学文理学部のメインだったと思う。


 ここを学び舎として通った学生の皆さんは懐かしいだろうと、カメラを取り出して残さずにはいられなかった。この写真の先は一番最初に登場の弧を描く建物「稲毛図書館」や交番、小学校。みんな千葉大の敷地だった。母校の千葉二高の敷地にぶつかるまで、広大な土地が大学であったのだ。
 けれど、その当時、東京大学生産技術研究所が西千葉の東側駅前にあったが、そこが千葉大学に換地し、千葉大は一箇所に統合された。
 別に受験して蹴っただけの千葉大なのに、この感慨は何だろう!冷静に見れば年を取ったということだけだったのか?!
 
 大学構内の、かつては道だった所に植えられていた雑木が二列に並んでいた。だからここは道だったのだとわずかにわかった。それも伐られていくらしい。
 
 立派な楠が、リフトに乗った伐採の工事人に枝を落とされようとしている。伐られる樹もあれば、新しく道路が出来て新しく植えられる小さな細い木もあれば……。
 なんとか長く生きてきた樹たちよ、うまく生き延びてそれを囲む人たちにたくさんの思い出をもっともっと温めてくれたらいいな…と密かに祈ってしまっていた。