医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

コーヒーを飲むと心筋梗塞の危険が高まる

2006年03月20日 | 循環器
CYP1A2という酵素に対する遺伝子のわずかな違いによって体内でのカフェイン分解が遅い人と早い人があります。*1A/*1Aという遺伝子をもつ人はカフェイン分解が早く、*1A/*1Fや*1F/*1Fという遺伝子をもつ人はカフェイン分解が遅いそうです。2月26日にコーヒーは糖尿病の発症を減らす事をお伝えしましたが、個人の遺伝子のわずかな違いによってコーヒーが必ずしも健康に良くないという論文が今月発表されました。

Coffe, CYP1A2 genotype, and risk of myocardial infarction.
Journal of American Medical Association. 2006;295:1135.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

対象は中米コスタリカで1994~2004年に1回心筋梗塞を起こしたことがある人2,014人(平均59歳)と、心筋梗塞を起こした人と年齢をそろえた、心筋梗塞を起こしていない人(2,014人)です。

カフェイン分解が遅い*1A/*1Fや*1F/*1Fという遺伝子をもつ人は心筋梗塞を起こしたことがある人の54%で、起こしたことのない人の55%と両群で違いはありませんでした。

カフェイン分解が遅い遺伝子をもつ人は、コーヒーを1日1杯(1杯250cc)飲む場合は差がないのですが、2~3杯の場合は1.36倍、4杯以上の場合は1.64倍発症率が高かったそうです。

カフェイン分解が早い遺伝子をもつ人は、1日1杯、2~3杯、4杯以上のいずれの場合も発症率は増えませんでした。

この傾向は、平均値である60歳未満の年齢でさらに強まり、カフェイン分解が遅い遺伝子をもつ人は、コーヒーを1日1杯飲む場合は1.24倍、2~3杯の場合は1.67倍、4杯以上の場合は2.33倍発症率が高かったそうです。60歳以上ではこの傾向は認められませんでした。

60歳以上では加齢に伴う後天的な因子の方が遺伝子よりも影響を与えていると考えられます。

コーヒーが好きな人は、自分がどちらの遺伝子型か気になりませんか。著者らは「遺伝子により食事指導を変えなければいけない時代が到来するかもしれない」と言っています。

心筋梗塞の発症率は、高血圧、糖尿病、喫煙、高脂血症などの危険因子がない方の場合は年齢にもよりますが10年でだいたい1,000分の4です。カフェイン分解が早い遺伝子をもつ人が1日4杯以上のコーヒーを飲むとそれが1,000分の9になるということです。


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