医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

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小児期・青年期の牛乳の摂取は成人してからの骨密度を増し、骨粗鬆症性の骨折を予防する

2009年06月19日 | 整形外科
今日、他科から相談のあった患者(70歳代女性)ですが、第12番目の胸椎がぐしゃりと完全に潰れています。自宅玄関前で転倒し、下半身が完全に麻痺してしまいました。こういう写真を目の当たりにすると、エビデンスって大切だなぁと思います。



American Journal of Clinical Nutrition 2003;77:257からの報告です(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★★★)。

骨粗鬆症という病名はよくご存じだと思います。これは骨の密度が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。日本では約1,000万人の患者さんがいるといわれており、高齢者人口の増加に伴ってその数は増える傾向にあります。女性が男性の8倍で、閉経後のエストロゲンという女性ホルモンの減少が原因の一つです。

本研究の対象は20歳以上の白人女性3,251人です。研究対象者にアンケートで小児期(5歳~12歳)と青年期(13歳~17歳)の牛乳の摂取量を答えていただき、その結果を現在の骨折の状況と比較しました。

骨密度は骨盤部で測定されました。骨盤部・脊椎・腕の骨折は、過剰な力による骨折と骨粗鬆症性の骨折(50歳以後の、過剰な力によるものでない日常生活での骨折)に分類されました。

結果ですが、20歳~49歳では小児期の牛乳摂取が1週間に1杯以下の女性は1杯以上の女性と比べて統計学的に有意に骨密度が低く(5.6%)、青年期の牛乳摂取が1週間1杯以下の女性は1杯以上の女性と比べて3.0%骨密度が低かったそうです。50歳以上では小児期と青年期の牛乳の摂取量が骨密度と比例していました。

さて、問題の骨粗鬆症による骨折率ですが、小児期の牛乳摂取が1週間に1杯以下の女性は1杯以上の女性と比べて、50歳以降の骨折率が2倍でした。

小児期と青年期の牛乳摂取量が加齢後の骨折にまで影響します。

牛乳はカルシウム以外にビタミンD、リボフラビンを豊富に含む優良食品です。

↓こんなこと言ってないで、ちゃんと牛乳を飲みましょうね。
牛乳には危険がいっぱい?


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