医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

ブレイキング・ニュース

2005年11月17日 | 循環器
ダラスで開催されている米国心臓病学会に来ています。学会も最終日になりました。

今回は、12時間前に発表されたばかりの情報です。その時の写真を撮りました。

この学会には「Late-Breaking Clinical Trial」というものがあります。これは治療に関わる重要な最新情報が発表されるもので、採択数が少ないため、競争率が非常に高くなっています。ここに選ばれるためにはエビデンスレベルの高い臨床研究でなければなりません。ここで発表される内容は、従来の治療法に進歩をもたらすほど重要なものになっています。

今回は日本からMAGA studyの結果が発表されました。日本では主にアメリカで行われた研究の結果を参考に医療がなされています。これは日本では「倫理的な問題」「医療に対する国民の協力・理解の違い」「マスコミによる間違った認識の植え込み」から臨床研究が生体実験のように考えられ、大規模臨床試験が行いにくい状況があつたからです。これを打ち破り、日本初の二重盲検・無作為比較試験が行われたのです。アメリカの研究を日本人に当てはめるには人種の違いを考慮する場合があるため、日本でも大規模臨床試験を行う必要性が以前から指摘されていました。

この試験は8,009人において、プラバスタチン「メバロチン」を1日10mg~20mg内服する群と内服しない群を5年間比較調査したものです。結果は非内服群で全死亡率が約2.7%、内服群で約1.8%(約としたのはスライドのグラフから読み取っただけだからです。後日数字が発表されたら詳しくお伝えします)と0.9%改善されました。また、動脈硬化性の心臓病の死亡率は非内服群で約4.5%、内服群で約3.5%と約1%改善されました。

NNTはそれぞれ119と91です。すなわち全ての理由の死亡を減らすのに119人がこの薬を内服してはじめてその中の1人が薬の恩恵を受けるし、動脈硬化性の心臓病の死亡を減らすのに91人がこの薬を内服してはじめてその中の1人が薬の恩恵を受けるという事です。

NNTがちょっと高すぎる気がします。みなさんも高いと思いませんか。

今は何位かな?クリック、宜しくお願いします

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 鉄と亜鉛のサプリメント | トップ | もう一つのブレイキング・ニ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

循環器」カテゴリの最新記事