goo blog サービス終了のお知らせ 

医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

カルシウムとビタミンDを一緒に摂っても7年間では股関節骨折を減少させることはできない

2006年02月21日 | 整形外科
Calcium plus vitamin D supplementation and the risk of fractures.
New England Journal of Medicine. 2006;354:669.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

Women's Health Initiativeというデータベースに登録している50歳から79歳までの閉経女性36,282名を対象として、毎日、カルシウム1,000 mg分の炭酸カルシウムと400 IUのビタミンD3を投与する群と、プラセボ群に無作為に振り分けました。追跡期間は7年間で骨折の確認と骨密度測定が行われました。

カルシウム+ビタミンD群の股関節の骨密度は、プラセボ群よりも1.06%高く(P<0.01)、股関節骨折の発症率に関しては、投与群は非投与群の0.88倍であり、痛みの症状がある脊椎骨折については0.90倍で、総骨折については0.96倍でしたが、カルシウム+ビタミンDが統計学的にこれらの骨折を減少させたとはいえませんでした。

一方、カルシウム+ビタミンD群では腎結石のリスクが1.17倍と増大しました。

ただ、この研究では決められた内服を順守しなかった被験者が相当数いて、これらのデータを除外すると、股関節骨折の発症率は0.71倍に低下しました。

また、従来から言われている「カルシウムとビタミンDの摂取量が高いと、結腸直腸癌のリスクとポリープ再発率が減少すること」に関して、投与群の結腸直腸癌のリスクは1.08倍と改善は認められませんでした。

この研究の限界として、カルシウム+ビタミンDに加えて他の複合ビタミン剤の使用を特定の量まで両群ともに許したことと7年という短い調査期間があげられています。

「なるほど、ためになった」と思われた方は、こちらからブログランキングに投票をお願いいたします

ブログランキング

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« タミフルの有効性(その2) | トップ | コーヒーは糖尿病の発症を減らす »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

整形外科」カテゴリの最新記事