医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

患者から摘出された腎臓の移植に関する調査班報告書

2009年08月15日 | 総合
沖縄に来ています。

以前「倫理委員会」について書きました。

先日、論文の審査をしていると、例のごとく、インフォームドコンセントと倫理委員会での承認の記載がありませんでした。インフォームドコンセントと倫理委員会での承認の記載がありませんよとコメントすると、次の変更でインフォームドコンセントの記載は追加されたのですが倫理委員会の記載はありませんでした。

インフォームドコンセントはあるけれど倫理委員会の記載がないということは、正直に倫理委員会からは承認されていないということを言いたいのかなぁと思いつつ、その医学雑誌の投稿規定を調べてみると倫理委員会での承認の記載が必要とはどこにも書いてありませんでした。そこで、チーフ・エディター(編集委員長みたいなものです)にあなたの雑誌は倫理委員会での承認の記載は必要としないのですか、というコメントを送っておきました。倫理委員会での承認の記載を必要とする場合、この論文の採否は微妙になってきます。


インフォームドコンセントといえば、以前、徳州会が病腎移植を行った件について論文が発表されたとお伝えしました。この論文には全ての患者からインフォームドコンセントを得たと書いてあります。

原文ではこう書いてあります。
In all recipients and donors, written consent forms with the patients signature of the operative procedure were obtained.

しかし、↓の臓器移植委員会の報告書の2ページ目をよく見ると、全ての患者からインフォームドコンセントを得ていなかったことが明らかになっています(真実性)。

↓原文はこちらです。
患者から摘出された腎臓の移植に関する調査班報告書

そうであるならば、この論文の著者たちは医学論文に嘘を書いたことになります。通常の論文の投稿規定では、フォームドコンセントと倫理委員会で承認の記載は必須事項ですから、全ての患者からインフォームドコンセントを得ていなかったとするとこの論文は医学雑誌に掲載されるに値しないことになります。

さらに、論文での記載が偽りだとすると、その論文の内容に関しても信頼性に疑問が生じてきます。そうであれば今後、病腎移植の成績が間違ったデータで行われることになり、公共の利益が失われてしまいます(公共性)(公益性)。

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