さなだ虫先生の講演
とまりぎ
免疫学の東京医科歯科大学名誉教授、藤田紘一郎先生の講演を聴く機会があった。
自分の体に、さなだ虫を寄生させて実験した話題の人だ。
免疫のはたらきは、感染防衛、健康維持、老化予防などで、免疫力を高めると①ガンの発生を抑える、②うつ病などの心の病気を予防する。
免疫のバランスがくずれると、アレルギー性疾患の発生や自己免疫疾患の発生などが起きやすい。
アレルギー性鼻炎(花粉症)、気管支喘息、アトピー性皮膚炎など、昔はなかった。これはキレイ社会が私たちの体を守る常在菌を排除しているからだ。
もうひとつが、免疫力を低下させる活性酸素を文明社会が多量に生んでいることだ。活性酸素が原因の病気は、脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病、高血圧、アルツハイマー、認知症など200種ある。
抗酸化作用のある食品は、植物化合物(フィトケミカル)、酵母、カビ、腸内細菌、プロポリス、地中から湧き出た生の水。
フィトケミカルには、ポリフェノール、カロチノイド、イオウ化合物(ニンニク、ネギの香り、大根やからし菜などの辛味)、テルペン類(ハーブ、柑橘類の香り、苦味)、βーグルカン(きのこ類、酵母)がある。
ガン予防の可能性のある食品には、ガーリック、キャベツ、大豆、生姜、セリ科植物(にんじん、セロリ)、次にタマネギ、茶、ターメリック、玄米、全粒小麦、柑橘類、ナス科(トマト、ナス、ピーマン)、十字科(ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ)、その次にメロン、バジル、エンバク、ハッカ、オレガノ、きゅうり、タイム、アサツキ、ローズマリー、セージ、じゃがいも、大麦、ベリーをあげている。
50歳からは、白米、白いパン、精白小麦を玄米、全粒粉に変える。炭水化物の摂りすぎは、ミトコンドリアエンジンから活性酸素が出るからだという。
ストレスが免疫力を低下させるので、よく笑うこと。 生活習慣としては、よく噛む、ゆっくり食べる、ゆっくり呼吸する、体を温める、適度で過激な運動をしない、自然の中で生活する。
もうひとつ、出生時には乳児の腸になかった大腸菌が、急激に増えるのはなぜか。なぜ、赤ちゃんは何でもなめたがるのか。
土壌菌を腸内に摂取して、腸内細菌を増やそうとしているのだと。腸内細菌は最大の自然治癒力で、病原体の排除、食物の消化、ビタミン合成、幸せ物質(ドーパミン、セロトニン)の前駆物質を脳に送る、免疫力をつけるなど有益なのだ。
現実の生活では外食に頼っているから、実行は難しいことが多い。