セレンディピティ ダイアリー

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トッパンホール ランチタイムコンサート

2019年03月09日 | 舞台・音楽会

トッパンホールで定期的に開催されている、ランチタイムコンサート に行ってきました。

99回目となる今回は「天才モーツァルトへの憧憬と探求」と題し、原嶋 唯さんのピアノによるモーツァルトの「ピアノ協奏曲第12番 イ長調 K414」が演奏されました。といってもいっしょに演奏するのはオーケストラではなく、弦楽四重奏。これはモーツァルト自身によって弦楽四重奏に編曲されているのだそうです。

演奏するのは、渡邉ゆづきさん(ヴァイオリン)、土岐祐奈さん(ヴァイオリン)、田原綾子さん(ヴィオラ)、伊東裕さん(チェロ)という編成。いずれも若い才能あふれる演奏家たちですが、土岐さんは以前、国立新美術館のロビーコンサートでもお聴きしたことがあります。

木目の美しいホールは広すぎず、室内楽を聴くにはぴったりの空間でした。時間ぴったりに5人の演奏家たちがステージに現れましたが、4人の女性たちはドレスが水色、藤色、ワインカラーと色のハーモニーも完璧で、まるで花が咲いたようでした。小鳥がさえずるような美しいアンサンブルに心洗われ、しばし夢の時間をすごしました。

演奏時間は12時15分から30分間ちょうど。アンコールもありません。もう少し聴きたいなーという気持ちになりましたが、きっとお昼休みに来て、さくっと聴けるというのが、このコンサートのコンセプトなのでしょうね。チケットは事前にはがきでの申し込みが必要ですが、当日券もあるようです。

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トッパンホールのすぐ近くには、学生時代の教科書でなじみのある出版社 朝倉書店があって、へ~と懐かしくなりました。それから目白通り沿いには「国産飛行機発祥の地」という碑も。初めて試験飛行したのは今の代々木公園ですが、日野熊蔵大尉が飛行機を作った会社がここにあったそうです。

それから江戸川橋駅のすぐ横には、日本で初めてフランスパンを作ったという「関口フランスパン」の支店がありました。こちらのラスクをよくくださる方がいて、以前から名前を覚えていたのです。いろいろ発見がある一日でした。^^

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おまけに、最近作ったバナナの朝食から。

バナナとバニラアイスのダッチベイビー・パンケーキ

生地をスキレットに流して、オーブンで焼くタイプのパンケーキです。半割りにしたバナナとバニラアイスクリームをのせて、刻んで乾煎りしたくるみをぱらぱら。チョコレートクリームをささっとして、粉砂糖をふるいました。

バナナとピーナッツバターのトーストサンド

トーストした食パンの片側に甘みのあるピーナッツバター、もう片側に甘みのないピーナッツバターをぬり、縦に薄切りにしたバナナをはさみました。バナナとピーナッツバターは最強の組み合わせです♪

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壽 初春大歌舞伎(舌出三番叟/吉例寿曽我/廓文章/一條大蔵譚)

2019年01月08日 | 舞台・音楽会

お正月気分で、歌舞伎座に「壽 初春大歌舞伎 昼の部」を見に行きました。新春ということもあって、心なしかいつもより和服姿の方が多かったような気がします。晴れやかな舞台を堪能しました。

演目もお正月らしいおめでたいラインナップです。

舌出三番叟(しただしさんばそう)

能の「翁」をもとにした、天下泰平、五穀豊穣を願う祝祭の踊りです。幕が上がると、舞台いっぱい横2段に長唄とお囃子の衆が並んで圧巻。やがて威勢のいい音楽にあわせて三番叟(芝翫)と千歳(魁春)が登場すると、ぱ~っと舞台が華やぎました。

2人の踊りの掛け合いで、次々と交互に衣装が変わっていくところも見ごたえがあり、特に千歳の桜色や空色の衣装の美しさにはうっとりでした。でも衣装に気を取られて、三番叟のこっけいな舌出しをうっかり見逃してしまいました。><

吉例寿曽我(きちれいことぶきそが)

江戸歌舞伎の吉例にならって上演される、新年を寿ぐ「曽我狂言」です。舞台は相模国大磯。幕が上がると富士山を背景に雪がはらはらと舞い、静謐な美しさに息をのみました。私にとってはお正月に伊豆に行く途中、大磯によって相模湾を眺めるのがお決まりのコースなので、情景が目に浮かぶようでした。福助さん演じる梛の葉のラスボス感は圧巻でした。^^

廓文章(くるわぶんしょう)

上方和事の代表作で、やはりお正月に上演されることが多く、私は7年前に愛之助さんと壱太郎さんで見ています。今回は伊左衛門を幸四郎さん、夕霧を七之助さんが演じていますが、幸四郎さんの伊左衛門、喜怒哀楽の表現がはっきりしていて、お茶目ですごくよかったです。憎めないぼんぼんというキャラクターが幸四郎さんともどことなく重なったりして...。

伊左衛門が夕霧を探している時に次々と現れる襖絵も、紙芝居みたいで楽しめました。

一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)

白鸚さんが47年ぶりに大蔵卿を演じます。大蔵卿というのはいわゆるばか殿様なのですが、実はそれには訳があり...というお話。大蔵卿の2つの顔を、白鷗さんがみごとに演じ分けます。事前にわかっているからこそ、垣間見える一瞬の表情にはっとしました。剣の舞にも魅せられました。

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三島由紀夫原作の舞台「豊饒の海」

2018年12月06日 | 舞台・音楽会

三島由紀夫原作の舞台「豊饒の海」を見に行きました。場所は新宿の ”紀伊国屋サザンシアター TAKASHIMAYA” です。東京公演は既に終了していますが、12月8・9日に大阪公演が予定されています。

「豊饒の海」は三島由紀夫の最後の作品で「春の雪」「奔馬」「暁の寺」「天人五衰」の4部から構成されています。私にとって心に残っている特別な作品ですが、ちょうど先日「奔馬」の舞台である奈良の三輪山を訪れたばかりだったこともあり、不思議な縁を感じました。先日偶然この舞台のことを知り、急遽チケットを取って見に行ってきました。

「豊饒の海」は輪廻転生の物語。「春の雪」の主人公である侯爵の令息 松枝清顕が、「奔馬」では右翼の少年剣士、「暁の寺」ではタイの王女、「天人五衰」では孤独な通信員に転生していきます。この壮大な4部の物語を、どうやって2時間40分の舞台に収めるのか。駆け足になってしまうのでは?と少々心配でもありました。

ところが舞台では、第1部の「春の雪」をベースに、他の3つの物語が交錯する作りになっていたので、なるほど~と納得しました。たしかに時系列に展開すると、第1部に登場する清顕は、前半早々に退出することになってしまいますものね。4つの物語が交錯することで、4人の関係性が鮮やかに浮かび上がり、物語に深みを与えていたように思いました。

主人公の松枝清顕を演じるのは東出昌大さん。とにかく背が高くて(189cm)、足が長く、頭が小さくてびっくり。@@ 繊細で誇り高く、未熟さゆえに情熱に突っ走り、やがて破滅へと突き進む清顕。白いシャツを清潔に着こなし、どこか古風な佇まいも感じられる東出さんは、清顕のイメージにぴったりでした。

清顕が転生する少年剣士 飯沼勲に、宮沢氷魚さん。小説では、勲には男くさくてごついイメージを抱いていましたが、宮沢さんのもつ透明感やひたむきな雰囲気は、勲の理想に向かって突き進む純粋な精神に通じるように思いました。最後に転生する孤独な通信士 安永徹に上杉柊平さん。真に迫った酷薄な演技にぞくっとしました。

この他、清顕と禁断の恋に落ちる幼なじみの綾倉聡子に「終戦のエンペラー」の初音映莉子さん。全作にわたって登場する清顕の親友 本多は、青年、中年、老年と3人の役者さんがリレーで演じます。老年の本多に「沈黙 サイレンス」の笈田ヨシさん。本多の女友達 慶子に舞台女優のベテラン神野三鈴さん。

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白木の床に黒を背景にした舞台は、シンプルにてスタイリッシュ。幕が上がると、舞台中央の奈落に三光の滝が設えられていて、一気に物語の世界に引き込まれました。そして印象的だったのは黒子たちの所作の美しさ。大道具・小道具のセッティングだけでなく、登場人物たちを死の世界へと誘う悪魔を演じているように感じました。

死の気配が濃厚なこの作品を見ていると、私はどうしても老いることへの恐怖に打ちのめされます。決して夭逝することを美化しているわけではないし、清顕たちが幸せな最期を遂げたわけではないのですが。

清顕に魅せられ、彼の亡霊に人生を翻弄されてきた本多。ところが老いてから、聡子が出家した月修寺を訪れると、聡子は清顕を知らないというのです。聡子が到達したこの境地こそが、私たちが目指す場所なのかも...とふと思いました。

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NHK音楽祭2018 NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団

2018年11月20日 | 舞台・音楽会

NHKホールで開催された「NHK音楽祭2018 NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団」のコンサートを聴きに行きました。

NHKの音楽番組で知って、曲目が好みだったので楽しみにしていたコンサートです。ところが会場を目の前に、チケットを忘れたことに気づくという失態を犯してしまいました。幸い早めに家を出ていたので、慌てて取りにもどって1曲目のローエングリンの前奏曲をミスしただけですみましたが、こんなことは初めてです。夫にチケットを渡しておいてよかった...。

NDRエルプフィルハーモニー交響楽団(旧北ドイツ放送交響楽団)は、ハンブルクに本拠を置くオーケストラ。指揮者のアラン・ギルバートさんは、ニューヨークフィルの音楽監督ほか、世界各地の名門オーケストラで音楽監督、主席指揮者を歴任され、2019年からNDRの首席指揮者に就任することが決まっています。この日の曲目は

ワーグナー:歌劇≪ローエングリン≫から 第1幕への前奏曲
ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 作品98

ラヴェルのピアノ協奏曲ト長調は特に好きな曲なので、楽しみにしていました。穏やかな中にも詩的な情感のこもる第2楽章は、ハビエル・バルデム主演の「BIUTIFUL ビューティフル」やフランス映画の「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」など、映画の中でも印象的な場面に使われています。

ピアニストは予定されていた方が肩の故障でキャンセルされ、代わってドイツを拠点に世界で活躍されているアンナ・ヴィニツカヤさん。

何度か来日しているヴィニツカヤさんですが、私は2010年に彼女の「展覧会の絵」を聴いています。→ アンナ・ヴィニツカヤ ピアノリサイタル「展覧会の絵」

不思議なご縁を感じましたが、たぶんラヴェルやドビュッシーなどの彼女が得意とするレパートリーが、私の曲の好みに合うからかもしれません。今回も、ラヴェルの華やかで抒情的な協奏曲が、彼女の演奏スタイルにぴったりあってとってもすてきでした。

そして協奏曲のあとには、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」「ミンストレル」と2曲もアンコールがあって大感激。幸せな余韻に包まれながら、休憩に入りました。

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ブラームスの交響曲第4番も、センチメンタルでドラマティックで、大好きな作品です。物思う今の季節にぴったりだな~と思いながら酔いしれました。最後にアンコールを2曲。1曲目のブラームスのハンガリー舞曲第6番は、ドイツのオーケストラということもあって納得の選曲でしたが、2曲目が日本の童謡「浜辺の歌」だったのに意表をつかれました。

しかもオーケストラへの編曲がすばらしかった。日本の美しい浜辺の風景が目の前に浮かびました。今回の来日ツアーのために準備してくださったのだとしたら感激です。すてきな夜になりました。

この日のコンサートは、12月2日(日)午後9時より、Eテレの「クラシック音楽館」で放送されます。私ももう一度聴きたいと思います。

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国立新美術館 ロビーコンサート「弦楽四重奏の魅力」

2018年09月10日 | 舞台・音楽会

国立新美術館で開催された、ロビーコンサートに行ってきました。

暮れなずむ空と、ほんのり灯りが透けた建物のコンビネーションが美しい。この時間帯に美術館に来ることはめったにないのでなんだか新鮮でした。私が着いた時にはすでに立ち見が出ていましたが、幸い席を見つけることができてほっとしました。

国立新美術館のロビーで不定期に開催されているコンサート。今回は、音楽の楽しみ「弦楽四重奏の魅力」と題し、大山平一郎さんヴィオラを中心に、水谷晃さん(ヴァイオリン)、土岐祐奈さん(ヴァイオリン)、辻本玲さん(チェロ)による透明感あふれる伸びやかな演奏を楽しみました。曲目は

ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第8番ハ短調 作品110 (1960)
ボロディン:弦楽四重奏曲第2番ニ長調 (1881)

実はこの日、夏の疲れが出て体調が今ひとつだったので、内心「ショスタコーヴィチか...でもまあ、ボロディンもあるし」と思っていたのですが、結果としてはショスタコーヴィチ、とっても楽しめました。

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静かな不協和音からはじまる第1楽章から、間をおかずに演奏される激しい第2楽章へ。銀行から横領した大金をトランクに詰め込み、不安に怯えながらひたすら車を運転し続ける私...。ヒッチコックのサイコの主人公になりきりました。(注:サイコの音楽は、バーナード・ハーマンです)

ところがこの日いただいた解説を読むと、この曲はショスタコーヴィチが共産党に強制的に入党させられた直後に悲しみの中で作られ、表向きは「ファシズムと戦争の犠牲者の思い出に捧ぐ」となっていますが、実は自身へのレクイエムとして作られたそうです。第2楽章はサイコではなく^^; 共産党による粛清の嵐を表しているとのだとか。

そして後から知ったのですが、この曲にはショスタコーヴィチ(Dmitri Schostakovich) のイニシャル D-S(Es)-C-H、すなわち「レ・ミ♭・ド・シ」がテーマ音として織り込まれています。冒頭からこの音形が現れるので、思わずお~っとなりました。

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続いてのボロディンは、甘やかで美しい曲。この曲は、ボロディンが妻へのプロポーズから20周年を記念して作曲したそうです。なんともロマンティックな贈り物ですね。

どちらもロシアの作曲家ながら雰囲気はまったく違い、それぞれの個性が楽しめました。

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東京藝術大学 モーニング・コンサート

2018年07月31日 | 舞台・音楽会

東京藝術大学・奏楽堂で開催されているモーニング・コンサートに行ってきました。

東京藝術大学 モーニング・コンサートは、学内各専攻科から選抜された優秀な学生が、ソリストあるいは作曲者として、藝大フィルハーモニア管弦楽団(東京藝術大学に所属するプロのオーケストラ)と共演するコンサートです。2018年・第9回となるこの日は、作曲科4年生の山下真実さん、ピアノ科3年生の尾城杏奈さんが、日々の研鑽を披露されました。

奏楽堂というので、てっきりこちらかと思ったら...

門が閉まっています。どうしたことかともう一度チケットを確認すると、大学構内の奏楽堂でした。^^; こちらの旧奏楽堂は現在保存活用のための工事中で、11月に再開されるということです。

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まずは山下真実さんによる作曲の発表です。タイトルは "Theory of GRAFFITI" 。現代音楽によく用いられる不協和音は苦手ですが、この作品は視覚的イメージが浮かんで、とっつきやすそう...と期待しました。私が習っていたピアノの先生が実は作曲専攻で、月1回作曲のレッスン(楽典・ソルフェージュなど)があったこともあり、作曲に興味がありました。

山下さんは他大学の経済学部を卒業してから東京藝大の作曲科に入学されたというユニークな経歴の方。この作品は1960年代にニューヨークではじまったグラフィティアート、いわゆるスプレーを使った街の落書きアートを音楽で表現しているそうです。

曲の前半では、スプレーやマーカーを使って絵や文字が描かれていく様子が、躍動感のあるリズムと音で表現されていました。何種類もの打楽器の音や、時につんざくような管楽器の音から、夜の街でひと目を忍んで作品を仕上げる、アーティストの敏捷な動きを想像しました。スプレー缶を楽器代わりに、プシューッという音も使われていました。

そして後半では、ニューヨークでゲリラ的にグラフィティアートを展開したアーティスト、バンクシーの活動が音楽で表現されていました。警察や人々をも巻き込んだ大騒動、描いては消されるのイタチごっこが、パワフルな音の洪水によって表現され、ちょっぴり頭がクラクラしつつも、エネルギーに圧倒されました。

 

(バンクシーのグラフィティアート)

その後は、尾城杏奈さんによるピアノで、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番が演奏されました。この曲は、ラフマニノフが1909年のアメリカ訪問にあわせて完成させ、ラフマニノフのピアノとウォルター・ダムロッシュの指揮、ニューヨーク・フィルによって初演され、大きな成功を収めたそうです。

甘美で華やかな、ラフマニノフらしいドラマティックな作品。すばらしい演奏にうっとりしました。

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シルク・ドゥ・ソレイユ キュリオス

2018年07月20日 | 舞台・音楽会

来日公演中のシルク・ドゥ・ソレイユの最新作「キュリオス」を見に行きました。のんびりしているうちに予約するのが遅れて、ぎりぎりの千秋楽になってしまいましたが、やっぱり見に行ってよかったです。東京公演は終了しましたが、7月29日より大阪、のち名古屋、福岡、仙台と巡演します。

シルク・ドゥ・ソレイユは、1984年にカナダのモントリオールで生まれたサーカス。15年前に初めて見た時に、従来のサーカスの枠を超えた芸術性の高いパフォーマンスに感動し、以来何度となく見てきました。今回の公演のタイトル「キュリオス」(KURIOS)は”好奇心”と”骨董品”という2つの意味があるそうです。

場所はお台場の広場に特設された大型テント”ビッグトップ”。パフォーマーのことを考えて温度が低めに設定されているので夏も快適です。中央の円いステージは、レトロな実験室のような設えで、舞台がはじまる前から、白衣を着た博士と奇妙なクリーチャーがパントマイムで観客を楽しませ、わくわく期待が高まりました。

舞台がはじまると、ステージ中央に大きな機関車が登場。時は産業革命の時代。中から19世紀の衣装に身を包んだマダムや紳士、曲芸師や音楽家が下りてきて、にぎやかにジャグリングや演奏、ダンスなどが始まり、一気に物語の世界に引き込まれました。

「ロシアン・クレードル」船のマストような高いところで、大きな男性が小柄な女性を放り投げては捕まえて、女性は空中で宙返り。軽々と宙を舞っているのがすごい。

「エアリアル・バイシクル」空中に吊られた自転車をこいだり、ぶらさがったり。吊り輪のような楽しいパフォーマンスです。

「コントーション」大仏のような大きな手の上で、4人のパフォーマーがアクロバティックなポーズを決めます。イソギンチャクか?ウミウシか?軟体動物のような体の柔らかさにびっくりしました。幻想的で美しかったです。

「アクロネット」シルク・ドゥ・ソレイユおなじみの大きなネットを使ったトランポリンの演技ですが、毎回趣向が違っていておもしろい。レインコートを着たパフォーマーたちがやってきた...と思いきや、コートを脱ぐと海の世界が繰り広げられました。

「バンキン」ラストは、シンクロナイズド床体操?リズミカルで息のぴったりあった演技から目が離せませんでした。

カーテンコールでは撮影の時間がありました。少し熱気が伝わるでしょうか? 今回、なんだかとっても短く感じられたのですが、楽しい時はあっという間に過ぎてしまうものかもしれません。夢のひとときを満喫しました。

(パフォーマンスの画像は、ネットよりお借りしました)

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七月大歌舞伎 昼の部(矢の根/加賀蔦/連獅子)

2017年08月02日 | 舞台・音楽会

一時帰国している友人の誘いで、歌舞伎座に「七月大歌舞伎 昼の部」を見に行ってきました。久しぶりの観劇でしたが楽しかった!華やかで迫力ある舞台を堪能しました。ちなみに話題の勸玄くん(海老蔵さんのご子息)が出演されてたのは夜の部のみですが、海老蔵さん、中車(香川照之)さんはじめ花形スターたちの演技に酔いしれました。

演目は荒物の「矢の根」、世話物の「加賀鷹」、舞踏の「連獅子」とバランスのとれたプログラム。今やたいていの演目はネットに詳しい解説が出ているので、事前に目を通して予習しておきました。

歌舞伎十八番の内 矢の根

紅白梅が咲き誇る初春。父の仇を討つため、正月も矢の根を研ぐ曽我五郎(右團次)のもとに、大薩摩文太夫が新年の挨拶にやってきて、縁起のいい宝船の絵をおいていきます。それを枕に寝ていると、夢に兄の十郎が現れ、囚われの身になっていることを告げます。飛び起きた五郎は、あわてて大根売りの馬を奪って飛び乗り、助けに向かいます...。

歌舞伎は季節感はあまり関係ないようで、以前も春に「紅葉狩」を見たことがあります。^^ 赤い隈取にお布団のような分厚い衣装をまとった右團次さんの豪快な動き。そして独特の台詞回しも朗々と、ザ・歌舞伎の様式美を堪能しました。

いざ助けに行くという場面では、太い縄が舞台の上で鮮やかにたすきに結ばれていく様子に見惚れました。馬にまたがり、大根を鞭にして出発する姿に大笑いしました。

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盲長屋梅加賀鳶(めくらやしき うめが かがとび)

江戸の大名火消しと、悪党道元の物語。海老蔵さんが加賀藩お抱えの火消し 加賀鳶の頭である天神町梅吉と、盲長屋に住む悪党 竹垣道元の2役を演じ分けます。

アメリカのファイアファイターも毎年カレンダーになるほど人気がありますが、江戸の火消しも命知らずの勇敢な男たちで、当時の花形職業だったと、以前「お祭り」を見た時に知りました。加賀鳶と定火消(じょうびけし)の喧嘩騒ぎから始まるこの作品、粋な火消したちが勢揃いする場面はかっこよく、圧巻でした。

一方、道元は人の目をごまかすために盲人のふりをして、殺人、強盗、家では妻子に暴力をふるうとんでもない悪人。海老蔵さんが演じる道元は、目つきが鋭くいかにも悪人という風貌ながら、どこか抜けていてお茶目な魅力がありました。

加賀藩上屋敷といえば、今の東大本郷キャンパスがあるところ。最後は赤門の前で道元の捕り物劇が繰り広げられますが、当時は街灯もなく夜はまっ暗。捕り手の松蔵(中車)たちと道元が、暗闇の中、手探りで追う/逃げると攻防する、だんまりの動きがコミカルで楽しかったです。

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連獅子(れんじし)

親獅子は仔獅子を谷底に蹴落とし、這い上がってきた子だけを育てるという故事を踊りで表現。親獅子を海老蔵さん、仔獅子を巳之助さんが踊ります。

狂言師右近(海老蔵)と狂言師左近(巳之助)がそれぞれ親獅子・仔獅子に扮し、獅子の子落とし伝説を美しく優雅に舞います。2人のお坊さんによる間狂言のあとは、親獅子・仔獅子の精となって再登場。フルメイク、フル装備、長い毛をぶんぶん振り回しながら豪快に踊る親子獅子は大迫力!大興奮のエンディングでした。 

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