セレンディピティ ダイアリー

映画とアートの感想、食のあれこれ、旅とおでかけ。お探しの記事は、上の検索窓か、カテゴリーの各INDEXをご利用ください。

オーキッドバー

2017年12月30日 | グルメ

クリスマスの夜、ホテルオークラ1階のダイニングに遅い夕食を食べに行くと、すでに8組待っているということだったので、ふと思いついて隣のバーをのぞいてみました。ところがこちらは煙草を吸う方が多いので、12階にあるもうひとつのバーはいかがですか?と案内してくださいました。

12階にあるメインバー オーキッドバーは工事中の本館から移ってきたバーです。シックで落ち着いた空間の中、カクテルをゆっくり楽しみながら、軽食をいただきました。

よけいなものがいろいろ写ってて見苦しいですが...^^; お酒の写真は高さがあって難しいですね。左はジンリッキー。ジントニックに似ていますが甘みがなく、ドライでさっぱりとしたお味でした。

私はホワイトレディをいただきました。ジンベースのさわやかなカクテルですが、2種類のお酒が入っているので意外とアルコール度数は高く、結構回りました。@@ この日は車だったので、若干一名ジンジャーエールに...でもピリッとドライで、ノンアルコールカクテルのようでした。

BLTサンドウィッチとミックスサンドウィッチをシェアしていただきました。BLTサンドウィッチ大好きです。小さめにカットされていてつまみやすく、お酒のお供にぴったりでした。

え??って感じですが、こちらでは中華料理もいただけるのです。桃花林さんが2階から12階に移ったので、そこから運ばれてくるのでしょうね。息子は大好きな麻婆豆腐が食べられて大満足。王道のお味でした。

夜景がとってもきれいでした。見下ろす夜景より、同じ高さから見る夜景の方が好きです。クリスマスとあって、バーも結構にぎわっていました。夜に飲みに行くことはめったにないですが、たまにはこういうのもいいですね。

飯桐(イイギリ)を大胆に生けたアレンジメント。垂れた赤い実の房がクリスマスオーナメントのようでもあり、お正月らしさも感じます。

***

昨日、銀座に出かけたら、和光さんのウィンドウディスプレイがお正月仕様になっていました。戌年にあわせて張り子の犬が向かい合い、口が阿・吽の形になっています。どことなく犬型ロボットのようにも見えて、明るい未来を感じるディスプレイでした。

来年もよい年になりますように。皆さま、穏やかな新年をお迎えください。

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たかが世界の終わり

2017年12月29日 | 映画

DVDで鑑賞。グザヴィエ・ドラン監督、製作、脚本、編集による家族の葛藤を描いたドラマです。ギャスパー・ウリエルが主演しているほか、フランスの名優たちが共演しています。

たかが世界の終わり (Juste la Fin du Monde / It's Only the End of World)

名画座の目黒シネマで「マイ・マザー」と「Mommy/マミー」の2本立てを見て以来、グザヴィエ・ドラン監督の密かなファンで、すべての監督作品とほとんどの出演作を見ています。本作は今年の公開時に気になっていたものの、口論するシーンが苦手なので見るのを躊躇していました。

でも実際に見てみたら、これまでの作品で一番好きかもしれないと思いました。フランスの名優たちが競演していて、作品の世界に入り込みやすかったというのもありますし、荒削りのところがなく、より洗練された作品になっていたように思います。

主人公は若き劇作家ルイ(ギャスパー・ウリエル)。彼は自分の死期が近いことを知り、そのことを家族に伝えるために12年ぶりに故郷の実家を訪れます。しかし彼にとって故郷は懐かしく思い焦がれる場所ではなく、家族は決して安らげる存在ではありませんでした。それをドランは、オープニングの曲で表現しています。

Camille - Home Is Where It Hurts (You Tube)

Home is not a harbourという歌詞が胸にぐさりと響きます。家では、うれしさのあまりおしゃれして舞い上がり、ルイの好物を用意して待つ母(ナタリー・バイ)、幼い頃に別れたのでほとんどルイを覚えていなくて緊張気味の妹(レア・セドゥ)、

なぜか不機嫌な兄(ヴァンサン・カッセル)、初対面で不安そうな兄嫁(マリオン・コティヤール)がルイを出迎え、ぎこちなく会話がはじまりますが、やがていつものように言い争いとなり、ルイはととうとう告白するタイミングを逸してしまうのでした。

ルイは寡黙ででデリケートな青年。一方、家族のキャラクターは(唯一血のつながりのない兄嫁は別として)ものすごく濃い。ルイが12年前に家を出た理由については明らかにされませんが、彼は家族、特に粗野でひがみ根性の兄とは全く理解しあえず、きっとここに居場所はなかったのだろうな、と想像します。

死を前にして、ひょっとしたら関係を修復できるかもしれないという淡い期待が、ルイの中にはあったのかもしれないですが、それは脆くも崩れ去ってしまったのでした。モービーのエンディング曲がそんな彼の孤独を歌います。

Moby - Natural Blues (You Tube)

デビュー作の「マイ・マザー」から一貫して、自らの同性愛者というアイデンティティと、母との愛と確執をテーマにしてきたドラン監督。本作は美しい5人の俳優の丁々発止のやりとりが、スリリングな緊張感を生み出していて見応えがありました。まるで舞台劇みたいと思って見ていたので、戯曲が原作と知って納得しました。

(映像を出演者とチェックしているドラン監督)

ドラン監督といえば、2015年に大ヒットしたアデルのミュージックビデオも印象的。モノクロームの映像はまるで短編映画のようです。そしてこれまで年上の女性たちを魅力的に撮ってきたドラン監督らしく、このビデオのアデルは最高に美しい。

Adell - Hello (You Tube)

ドラン監督の最新作「The Death and Life of John F. Donovan」は彼が初めて手掛ける英語作品で、ジェシカ・チャステインとナタリー・ポートマンの出演が決まっています。(ciatr) 今からとっても楽しみです。

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FUNGO のハンバーガーと、GRANNY SMITH のアップルパイ

2017年12月27日 | グルメ

三宿にあるハンバーガー屋さん、FUNGO(ファンゴー)にお昼を食べに行きました。

場所は三宿通り沿い、世田谷公園の近く。鮮やかなブル―の外観、白いひさしが目を引きます。クリスマスが近かったので、お店の前のグリーンがサンタさんの帽子をかぶっていました。テラスにストーブがついていましたが、寒かったので中の席に案内していただきました。

ハンバーガーにセットでクラムチャウダーをつけました。とろりと濃度のあるクラムチャウダーは、懐かしいアメリカの味。毎年冬に行っていたバーモントのスキー場を思い出します。これにオイスタークラッカーを砕いて入れるのが大好きでした。冷えた体がぽかぽかと温まります。

私はクラシックハンバーガーのミニサイズに、アボカドをプラスしました。ころんと小さいですが、ボリュームたっぷりで私にはちょうどいい量です。肉汁がじゅわ~っとあふれるので、こぼれないようコーティングされた紙の袋に入れていただきます。ハインツのケチャップとマスタードをつけて。

こちらはクラシックハンバーガーのレギュラーサイズです。

ベーコンチーズバーガーにアボカドをプラスして。すごいボリュームですが、厚切りのカントリーベーコンがおいしそう。お肉のうまみがぎゅっとつまったハンバーガーはとってもおいしかったです。

***

食事のあと、お店の向かいにある GRANNY SMITH(グラニースミス)で、アップルパイを買って帰りました。こちらはFUNGOさんの姉妹店のアップルパイの専門店です。銀座の東急プラザ他、いくつか支店があります。

カントリーテイストのかわいいお店。店名のグラニースミスは、りんごの品種です。さわやかな酸味のある青りんごで、アメリカではクッキング・アップルやベイキング・アップルとよばれ、お料理やりんごのお菓子によく使われていました。

好きなのをひとつずつ選んで買いました。左の”ダッチ・クランブル”はアメリカでポピュラーなクランブルをのせて焼くアップルパイ。市販のパイシェルを使って簡単にできるので、私も数えきれないほど何度も作りました。懐かしい味です。

右はカスタードクリームの入った”イングランド・カスタード”。期間限定に弱い私は、”クリスマス・アップルパイ” にしてみました。

ピスタチオの緑と、いちごで色付けしたりんごを使って、クリスマスカラーに仕上げたアップルパイ。クランブルにもピスタチオといちごが使われています。なんだかスイカのようにも見えますが^^ 甘酸っぱくておいしかったです。

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ライトスタッフ/アイランド/地獄の黙示録

2017年12月26日 | 映画

DVDで鑑賞した旧作、3作品の感想です。

ライトスタッフ (The Right Stuff) 1983

ドリーム」を見た時に、マーキュリー計画(有人宇宙飛行計画)に携わった宇宙飛行士たちを描いた作品があると知りました。アメリカ初の宇宙飛行士として選ばれた7人の話ですが、彼らの成功の前にはある飛行士の存在がありました。ドキュメンタリーが原作とあって、ドラマを交えつつも記録映画のように手堅く作られた作品でした。

3時間以上の長編ですが、それもそのはず、まずはプロローグとして音速への挑戦から始まるのです。この時点で何人もの飛行士が犠牲になったことを知り、愕然としました。そして天才飛行士イェーガー(サム・シェパード)が初めて音速飛行を実現しますが、その彼も宇宙飛行士には選ばれなかったのです。

宇宙飛行士を選考するための、首をひねりたくなるような試験の数々もおもしろかった。その中から「ドリーム」にも出てきたジョン・グレン(エド・ハリス)をはじめ、選りすぐりの7人が選ばれます。今も宇宙飛行士になるのは難関ですが、アメリカ初の有人宇宙飛行ですから、その注目度は半端ありません。家族の苦悩も描かれていました。

誰も経験したことのない命がけのミッションにチャレンジする、彼らの勇気とフロンティアスピリットにただただ感銘を受けました。あらゆる訓練を乗り越えてきた自分に対する自信であり、支える技術者たちへの絶対的な信頼があってこそ、初めてなし得た偉業だったのでしょうね。宇宙開発の礎を知り、胸が熱くなりました。

アイランド (The Island) 2005

カズオ・イシグロさんがノーベル文学賞を受賞した時に「わたしを離さないで」に似た作品として一部で話題になっていた本作。イアン・マクレガー、スカーレット・ヨハンソン主演のSF映画ですが、マイケル・ベイ監督らしい良質の娯楽作品となっていて、すごくおもしろかったです。

「わたしを~」では文学的・哲学的に婉曲に表現されていることがらが、本作ではクローンがいたらこんなことができちゃいますよ、こんな問題が起こりますよ、とずばり描かれています。それでいて人権や倫理の問題もさりげなく織り込まれていて、考えさせられる作品にもなっていました。

リンカーン(マクレガー)とジョーダン(ヨハンソン)は、清潔な施設の中で規則正しく、厳しく管理された生活を送っていました。ところがリンカーンはふとしたことで、自分たちが外界の富豪やセレブリティのクローンであり、臓器提供のためだけに生かされていることを知ってしまいます。リンカーンはジョーダンとともに施設から逃げ出しますが...。

リンカーンのオリジナルの人物は、著名なカーデザイナーという設定。というわけで、オリジナルvsクローンのイアン・マクレガー1人2役演技や、マイケル・ベイ監督らしいスリリングなカーアクションが存分に楽しめました。リンカーンが自分たちだけでなく、施設の仲間たちも助けようと奮闘するなど、気持ちのよいストーリーとなっています。

地獄の黙示録 (Apocalypse Now) 1979

フランシス・コッポラ監督による、ベトナム戦争の狂気を描いた作品。「猿の惑星:聖戦記」に登場した大佐が、本作のカーツ大佐をモデルにしているのでは?という声があり、見てみたくなりました。3時間半もの長編で、ようやくカーツ大佐が登場するのが2時間半を過ぎてからです。><

サイゴンのホテルで待機していたウィラード大尉(マーティン・シーン)は、ジャングルの奥地で勝手に自らの王国を築いたというカーツ大佐(マーロン・ブランド)を暗殺する指令を受けます。何も知らない部下たちを連れ、小型船で川を遡って王国を目指すウィラードたちは、途中で数々の異様な体験をします...。

ラスボスであるカーツ大佐が登場するまでに、狂ったエピソードがてんこ盛り。どうしても川でサーフィンがしたくて、ベトコンの村を襲撃する中佐とか、ジャングルの中で開催されるプレイメイトたちのステージとか...。そんなわけでカーツ大佐が登場する頃にはすでにへろへろでした。

傑作といわれる作品ですが、あまりリアリティが感じられなくて、私にはそこまで心に響きませんでした。

 

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クリスマスの食卓 2017

2017年12月24日 | 料理

23日、家でクリスマスのお祝いの食事をしました。毎年のことですが、おつきあいくだされば幸いです。

昨年作っておいしかったので、今年もブルスケッタを用意しました。薄切りにしたパンをトーストし、自家製ドライトマトのオイル漬け、きのこのアヒージョ、かぼちゃのマッシュをのせました。パンはバタールを使いましたが、バゲットにした方が小さくておしゃれだったかな?

Twitterで見た、ナッツのメイプルシロップがけを作ってみました。スキレットでミックスナッツを炒って、メイプルシロップをからめます。オリジナルレシピではカルダモンをいっしょにからめていましたが、私はクミンシードを使いました。簡単にできておつまみにぴったり。

常備菜の赤キャベツのマリネ、セロリのピクルス、キャロットラぺ。

春菊と牡蠣のサラダ。牡蠣は塩こしょうして小麦粉をまぶし、にんにくみじん切りを炒めたオリーブ油でソテーします。穂先の柔らかい春菊といっしょにドレッシング(粒マスタード・酢・グレープシードオイル・塩)であえ、プチトマトを飾りました。

全部盛り合せていただきます。

フレシネ(スペインのスパークリングワイン)で乾杯。パン(バタール)はTRASPARENTEで用意しました。

スープは昨年と同じく白菜とベーコンのチャウダー。上に九条ネギとピンクペッパーを飾って。

今年もローストターキーを焼きました。約3.7kgのヤングターキーにスタフィングを詰め、160℃のオーブンで4時間焼きました。(作り方はこちら) ソースはハニーマスタード(粒マスタード・はちみつ・酢・マヨネーズ)を用意しました。

ターキーの付け合わせは2種類用意しました。手前は、Williams SonomaのレシピでCrispy Roasted Potatoes。小さめのメークインを極薄切りにしてスキレットに並べ、塩とエルブドプロヴァンス(ハーブミックス)をふってオリーブ油をかけ、190℃のオーブンで1時間焼きました。

奥は芽キャベツのロースト。半分に割ってスキレットに並べて塩をふり、オリーブ油をかけて、200℃のオーブンで30分焼きました。オーブンはローストターキーが占領しているので、どちらもグリルのオーブン機能を使って作りました。

デザートはこれも毎年おなじみのブッシュドノエル(ロールケーキ)。断面の写真がないですが、今年はたまごに那須の赤い太陽を使ったので、黄色の濃いスポンジになりました。

 

食事の後は恒例の映画上映会です。ワンダーウーマン(Wonder Woman)は、ワイルド・スピードシリーズのガル・ガドット主演というので気になっていました。女性だけの島で育ったアマゾン族の王女ダイアナが、第1次世界大戦中の外の世界に飛び出して大活躍します。キュートで強いガルがとってもかっこよかったです♪

ワイルド・スピード SKY MISSION(Fast & Furious 7)は公開時に見ていますが、息子のリクエストで再見しました。アゼルバイジャンで空から車ごと落下したり、アブダビでビルからビルへと飛び移ったり、物理の法則をことごとく無視したカーアクションに大笑いしました。ポール・ウォーカーにも再会できてうれしかったです。

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ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命

2017年12月22日 | 映画

第2次世界大戦中のポーランド・ワルシャワで、300人ものユダヤ人を匿い、命を救った動物園長夫妻を描いた実話に基づくドラマ。ジェシカ・チャステイン主演、「クジラの島の少女」のニキ・カーロが監督を務めています。

ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命 (The Zookeeper's Wife)

1939年、ポーランド。アントニーナ(ジェシカ・チャステイン)と夫のヤンは、ワルシャワで大きな動物園を営んでいましたが、ドイツがポーランドに侵攻し、爆撃によって動物園が大きな被害を受けます。さらに猛獣たちが安全のために射殺され、希少動物はベルリンの動物園へと移送されてしまいました。

一方ユダヤ人たちは市内のゲットーに強制収容され、劣悪な環境の中で不当な扱いを受けていました。友人のユダヤ人も連れ去られ、惨状を知ったヤンとアントニーナは、できるだけ多くのユダヤ人たちをゲットーから救い出し、動物園に匿う決断をします...。

ジェシカ・チャステイン主演ということで楽しみにしていた本作。はからずも先日読んだ「また、桜の国で」と同じく第2次世界大戦中のワルシャワが舞台だったので、さまざまな場面を重ねながら見ていました。小説でも描かれていたゲットー殲滅やワルシャワ蜂起は、映像で見るとよりいっそう衝撃が胸に迫りました。

「クジラの島の少女」のニキ・カーロ監督とあって、アントニーナと動物とのふれあいもどこかスピリチュアルで神々しく感じられました。序盤でパーティの女主人として客人をもてなしていたアントニーナが、突然のトラブルに園舎へと飛び出し、呼吸困難に陥った子象を助ける場面には、彼女の生き物に対する深い愛情と、確固たる信念が伝わってきました。

ナチの目をごまかし、ゲットーに収容されたユダヤ人をどうやって助けるか。ヤンが考えたのは、動物園で養豚をはじめることでした。生ごみをエサとしてもらい受けるためにゲットーに出入りし、ユダヤ人をゴミの下に隠して連れ出します。夫妻の家の地下室でしばらく匿い、のちに別の仲間が機を見て彼らをトラックでより安全な場所へと避難させるのです。

ヤンとアントニーナの行いも尊いですが、他にもユダヤ人たちを助ける仲間たちがいたことに感動しました。夫妻の家で一時避難していたユダヤ人たちをより安全な場所へと連れ出す仲間たち。あるいは、彼らが逃亡するのに必要な偽の身分証明書を用意する仲間たち。

夫妻の家には事情を知らない家政婦さんが通ってきますし、動物学者のヘック(ダニエル・ブリュール)をはじめ、バイソンの交配実験のためにドイツ軍が毎日動物園にやってきます。彼らの目をごまかしてユダヤ人たちを匿うのは至難の業で、何度もハラハラする場面がありました。

アントニーナが安全・危険を知らせる合図として使ったのがピアノというのも心憎かった。夜、アントニーナのピアノにあわせて地下でひっそりと隠れていたユダヤ人たちがほっとした表情でリビングに集まってくる場面は、つかの間の平和を感じるシーンでした。

一方、季節外れの雪が舞うシーンはあまりに衝撃的でした。雪と思ったのは実は灰で、よりによってユダヤの祝日にあわせて、ナチがゲットーを焼き払ったのでした。真相を知ったユダヤ人たちが、悲しみの中で祈りを捧げる場面は、本作の中で最もつらいシーンでした。

最初はアントニーナの美しさと聡明さに惹かれながらも、あくまでよき友人として接していたヘック。しかし危険な任務を全うするためにアントニーナはヘックの恋心を利用し、ヘックもまたナチとして徐々に高圧的な態度を見せるようになります。

ヘックがとうとう隠れ家のことを知っても、彼はアントニーナの家族に銃を向けることはありませんでした。それは彼の愛だったのかもしれないし、彼が最後まで失わなかった良心だったのかもしれません。

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武蔵野うどんと、鹿児島とんこつ

2017年12月20日 | 料理

先週テレビの「秘密のケンミンSHOW」で豚肉料理の特集を見た家族から、作って~とリクエストされたので、録画をチェックして作ってみました。

武蔵野うどん

番組では埼玉県の郷土料理で”肉汁うどん”と紹介されていましたが、東京・多摩地域と埼玉県に伝わり”武蔵野うどん”ともよばれているようです。(Wikipedia) 隣の県のお料理ですが、意外と知らないものですね。

番組ではおしょうゆベースの温かいおつゆに、豚肉、ねぎ、油揚げを入れて軽く煮るとありましたが、私は冷蔵庫にあったものをいろいろ加えて、豚バラしゃぶしゃぶ肉、白ねぎ、油揚げ、ちくわ、しいたけ、舞茸を入れて作りました。上には塩ゆでしたちぢみゆきなとゆずの皮をトッピングしています。

湯通ししたさぬきうどんをおつゆに入れていただくと、体がぽかぽかと温まります。具だくさんでボリュームたっぷり。ヘルシーにおいしくいただきました。

鹿児島とんこつ

鹿児島県の郷土料理で、豚スペアリブと大根、にんじん、こんにゃくを味噌味で煮込んで作ります。かごしまの食というサイトを参考にして作ってみました。彩りに塩ゆでした菜の花を飾っています。

家にある材料で、芋焼酎→料理酒、麦味噌→信州味噌、黒糖→三温糖と代用して作った”なんちゃって豚骨”です。サイトの写真を見るとこっくりとした仕上がりですが、私のは水分が多く、味噌味ポトフみたいになってしまいました。でも2時間煮込んでいるのでお肉がほろほろに柔らかく、これはこれでおいしくいただきました。

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麦焼酎の”いいちこ”のポスターが好きで、いつも電車のホームで見るのを楽しみにしています。以前、ポスター30周年の記念の展覧会にも行ったことがあります。

iichikoデザイン30周年展 @東京藝術大学大学美術館 (2014-11-30)

この時いいちこは、各月+クリスマスの年間13枚のポスターを作っていることを知りました。

今月はしばらくこのポスターでしたが...

今日、電車に乗ったらこちらのポスターに変わっていました。12月版ですが、赤と緑でどことなくクリスマスっぽい。冬というと白のイメージがありますが、冬の緑もきれいだなーとしばし見とれました。

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また、桜の国で

2017年12月19日 | 

須賀しのぶさんの「革命前夜」が気に入ったので、他の作品も読んでみたくなりました。第2次世界大戦時のポーランドを舞台に、ロシア人の父をもつ日本人外交官の奮闘と運命をドラマティックに描きます。第4回(2016年)高校生直木賞受賞作。

須賀しのぶ「また、桜の国で」

1938年、ロシア人の父をもつ棚倉慎は、外交書記官としてポーランドの日本大使館に着任します。彼にとってポーランドは、少年時代に出会ったポーランド人孤児カミルの記憶につながる大切な国でした。ナチスドイツの台頭とともに戦争への足音が高まる中、慎は母国日本、そしてポーランドの戦争回避に向けて尽力しますが...。

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ショパンの”革命のエチュード”にのせて描かれる、ポーランドを舞台にした歴史小説。史実の中に織り込まれるように展開する物語はフィクションながらリアリティがあり、スリリングな興奮を味わいました。戦争という抗えない運命の中で、ひとりの人間として生きようと奮闘する主人公の姿が心に響きました。

ポーランドがドイツとロシアという2つの強国にはさまれ、過去に何度も過酷な運命にさらされてきたという歴史は多少なりとも理解していましたが、日本とも深いつながりがあったことを、本作を読んで知りました。1920年頃、日本はシベリアで劣悪な環境におかれていたポーランドの戦災孤児たちを受け入れ、しばらく保護していたのです。

慎が少年時代に孤児カミルとすごしたのはほんの数時間。しかし自らのアイデンティティに悩んでいた慎にとって、カミルとの出会いは、その後の彼の生き方を左右するほどの大きな力となったのでした。慎がその後、外交官への道を進み、ポーランドに配属されたことに、運命の不思議を思います。

物語は、ワルシャワに向かう列車の中で出会ったユダヤ人のヤン、日本大使館で働くポーランド人のマジェナ、元戦災孤児でポーランドの地下活動を率いるイエジ、アメリカ人ジャーナリストのレイ、彼が思いを寄せるユダヤ人のハンナなど、さまざまな背景をもつ人たちが登場し、慎の人生と関わっていきます。

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本作を読みながら私が何度も思い出したのは、映画”戦場のピアニスト”。特にワルシャワの重厚な街並みがことごとく破壊される風景は、映画で見たシーンがオーバーラップしました。ドイツの圧倒的な軍事力の前になす術のないポーランド。頼みの綱のイギリスやフランスにも見捨てられ、人々の悲痛な叫びが胸をえぐります。

日本はドイツの同盟国となりますが、慎はポーランドの人たちの信頼を裏切ることができず、イエジたちの地下活動に身を投じ、ポーランドの人々とともに戦う道を選びます。冷静に考えたら、え??という展開ですが、歴史を動かす熱いうねりの中で、慎の決断と行動がごく自然なものとして共感できました。

思えば杉原千畝さん(本作にもちょこっと名前が出てきます)にしても、日本の外交官ではなくひとりの人間として、数多くのユダヤ人たちを救済したのですものね。慎のような気概をもった人がいたとしても不思議ではないかもしれません。

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八山さんで和のランチ

2017年12月18日 | グルメ

六本木の「しゃぶしゃぶ・すし 八山」(はっさん)さんでお昼をいただきました。

場所は六本木通り沿い、青山ブックセンターの地下です。通りからは入口が目立たないので、地下にこんなに広々とした和の空間があったなんて、と驚きました。お料理は衒いのない日本料理ですが、そこがよかったです。テーブルの個室でゆったりくつろぎながら、黒毛和牛すき鍋とお寿司のセットをいただきました。

前菜2種。右下はにんじんと思ったらからすみでした。お豆腐の食感がおもしろかったですが、何かに漬けてあったのかな?

天ぷら。塩もありましたが、おつゆが合いました。

牛すき鍋は旅館みたいなひとり鍋です。割り下に野菜、その上に牛肉という関東風。我が家のすき焼きも関東風です。スキレットを使って、家でひとりすき焼きしてもいいですね。

甘辛味の割り下がお肉によく合いおいしかった。白いごはんが食べたくなるところですが...

この後にぎりとお味噌汁がつきました。江戸前の小ぶりのお寿司ですが、ごはんはもう少し少なくてもいいくらい。でもさっぱりおいしくいただきました。

食後のデザートはいちごかな?と予測しましたが、黒ゴマプリンとわらびもちでした。日本茶といっしょにおいしくいただきました。

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街はすっかりクリスマスムードですが、我が家も例年通り、今月初めからクリスマスツリーを飾っています。

今年はオーナメントの追加はありませんが...

なぜかカルディのクマちゃんマスコットが仲間入りしています。

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北斎とジャポニスム

2017年12月17日 | アート

上野の国立西洋美術館で開催中の「北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」展(~2018年1月28日まで)を見に行きました。

19世紀西洋美術における日本美術の影響、いわゆるジャポニスムについては3年前に世田谷美術館で大規模な展覧会を見ているので、今回はどうしようかな~と迷っていましたが、ドガの踊り子と北斎の力士のポーズを並べたポスターを見て、その愛らしさにひと目で惹かれ、やっぱり見に行こうと決めました。

【関連記事】ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展 @世田谷美術館 (2014-07-15)

場所が上野なので混雑が心配でしたが、最初の展示室を抜けてからは比較的余裕があり、じっくり鑑賞することができました。今回も、西洋美術の作品と影響を与えたとされる北斎の作品が並べられ、ひと目で影響がわかるよう展示が工夫されていました。西洋美術220点と北斎の作品110点、絵画以外に彫刻、美術工芸もあり、至福の時間がすごせました。

(左)エドガー・ドガ「踊り子たち、ピンクと緑」1894年
(右)葛飾北斎「北斎漫画」十一編 刊年不詳

力士のポーズから踊り子のポーズを発想するなんてすごい!と思いますが、そもそもこういう何気ないポーズを描くというのが、西洋絵画にはこれまでにない斬新なことだったようです。ピンクと緑は私も大好きな色の組合せですが、特にピンクの愛らしさに心を奪われました。展示室も同じローズピンクでした。

(左)メアリー・カサット「青い肘掛け椅子に座る少女」1878年
(右)葛飾北斎「北斎漫画」初編(部分) 1814年

北斎による影響以前は、絵に描かれる女の子はお行儀のよいポーズをとっていたそうです。リラックスした自然なポーズにリアリズムを感じました。メアリー・カサットはパリで活躍したアメリカ人画家で、浮世絵の影響を受け、女性の何気ない日常を数多く描きました。

【関連記事】メアリー・カサット展 @横浜美術館 (2016-09-13)

(左)ポール・ゴーギャン「三匹の子犬のいる静物」1888年
(右)葛飾北斎「三体画譜」1816年

ゴーギャンらしからぬ?愛らしい作品ですが、丸みを帯びた平面的な3匹の子犬は、北斎の影響と考えられています。

(左)クロード・モネ「陽を浴びるポプラ並木」1891年
(右)葛飾北斎「冨嶽三十六景 東海道程ヶ谷」1830-33年

木々が作るリズム感は、北斎の影響とされています。木の間から見る風景というのも、それまでにはなかった描き方だったようです。

(左)ジョルジュ・スーラ「とがったオック岬、グランカン」1885年
(右)葛飾北斎「おしをくりはとうつうせんのづ」1804-07年頃

北斎の波と同じ構図で岬を描いています。近くで見ると点描の繊細さ、色の美しさに引き込まれました。

(左)カミーユ・クローデル「波」1897-1903年
(右)葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」1930-1833年頃

ロダンの恋人だった彫刻家カミーユ・クローデルも北斎の影響を受けていたのですね。このほか、やはり同じ「神奈川沖浪裏」にインスピレーションを受けて作曲されたドビュッシーの「海」の楽譜(表紙に神奈川沖浪裏の模写が描かれている)も展示されていて感激しました。

***

他に印象に残ったのは、クリムトが北斎の春画の影響を受けていたということ。また北斎の影響によって、それまで西洋美術では宗教画に比べて各段に地位の低かった動植物画が注目されるようになったそうです。動植物をモチーフにしたエミール・ガレやドーム兄弟の美しいガラス工芸にもうっとりしました。

「冨嶽三十六景」に影響されたという、アンリ・リヴィエールの「エッフェル塔三十六景」も楽しかった! また北斎が富士山を様々な角度から描いたのに影響されて、セザンヌはサント=ヴィクトワール山を繰り返し描いたのだそうです。北斎の魅力に改めて気づかされた企画展でした。

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