アンジェリーナ・ジョリー主演の、アメリカ西部の森林地帯を舞台にしたクライムサスペンス。「ウィンド・リバー」のテイラー・シェリダンが監督を務めています。
モンタナの目撃者 (Those Who Wish Me Dead)
ウィンド・リバー (Wind River) がとても気に入ったので、本作も楽しみにしていました。前作と同じく、アメリカの広大な自然を舞台に展開する本作は、サスペンスとしてのスリルもさることながら、ヒューマンドラマとしても見応えがあって、引き込まれました。
アンジーの出演作を見るのは久しぶりでしたが、これまで見た彼女の出演作の中で本作のアンジーが一番好きです。これまでが女優としてのアンジーだとすると、本作のアンジーは、ありのままのアンジーのように感じたからです。
映画を見る前はなんとなく、山火事で活躍する勇敢な消防士の話なのかな~?と思っていましたが、冒頭フロリダでとある豪邸がガス爆発する場面から、いきなり意表を突かれました。
不正を暴こうとしていた父親は、自分が悪の組織から命を狙われていることを知り、幼い息子を連れて知人のいるモンタナへとたどり着きますが、父親は息子の目の前で殺されてしまいます。
隠れていた息子はなんとかその場は逃げおおせたものの、顔を見られた悪人2人によって執拗に追われることとなります。(これが原題につながります)
本作は、この少年コナーと、森林の中で偶然コナーと出会った森林消防隊員のハンナ (アンジェリーナ・ジョリー) の逃避行、ハンナをよく知る保安官とその妻、少年を追う2人の悪党を軸として物語が進みますが
ウィンド・リバー同様、モンタナの美しく、たくましくも過酷な大地とともに、この地にしっかりと足をつけて生きている人たちの姿が、力強く描かれています。ハンナ自身、過酷な山火事の現場で、救えなかった命があったことがトラウマとなっていて
自然の驚異、人間の命のはかなさを存分に知っているからこそ、少年コナーに安易に甘いことばをかけることはありません。でも、私はそこに彼女の誠実さと、信念を感じました。
最後に命が助かったものの、天涯孤独の身となったコナーは、ハンナに「この先、僕はどうなるの?」と問いかけます。その時、ハンナが「大丈夫よ」でも「私にまかせて」でもなく、「いっしょに考えましょう」(Figure out together.) といった言葉が心に残りました。
本作、アンジー演じるハンナと保安官の妻アリソン、強くてたくましくて勇気ある女性2人が登場するのもうれしかった。シェリダン監督作品に登場するヒロインはいつも魅力的です。