セレンディピティ ダイアリー

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反田恭平さんと、ジャパン・ナショナルオーケストラ

2024年09月14日 | 舞台・音楽会

9月5日、招待券をいただいてピアニストの反田恭平さんが率いるジャパン・ナショナルオーケストラ (Japan National Orchestra、以下JNO) の2024サマーツアーに行ってまいりました。場所は初台の東京オペラシティ コンサートホールです。

反田恭平さんは、2021年のショパンコンクールで2位を受賞した日本を代表するピアニスト。この年のショパンコンクールは、角野隼人さん、小林愛実さんらが出場して大いに盛り上がり、私も毎日コンクールの模様をYouTubeでチェックしていました。

反田さんは同じ年、奈良県の企業の支援を得て、JNOというオーケストラの会社を創立しました。私たちは、家族が就職して奈良に住むようになってから、奈良には特別なご縁を感じているので、JNOの活動にも注目していました。

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さて、この日はマチネの公演だったので、仕事もお休みして準備万端で出かけました。オペラシティのル・パン・コティディアン (Le Pain Quotidien) でランチをいただいてから、コンサートホールへ。

オペラシティは5月にヒラリー・ハーンのコンサートに行ったばかりです。この時のブログに「マチネの時は自然光の中で音楽が楽しめるのでしょうか。」と書いていますが、意外にも、天井窓は銀色のクロスで覆われていました。

自然光が入ると楽器に影響があるのか、あるいは演奏者が気が散るのか、何か理由があるのかもしれません。

この日は、オール・ベートーヴェン・プログラムでした。

序曲「コリオラン」作品62
交響曲第2番 ニ長調 作品36
ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73「皇帝」

ドラマティックなコリオランも、交響曲第2番も、比較的小編成のこのオーケストラにはぴったりの選曲で、キレのある演奏もすばらしかったですが、私が特に楽しみにしていたのはピアノ協奏曲「皇帝」です。

というのも、反田さんの指揮とピアノの演奏が同時に楽しめるからです。

「皇帝」の前の休憩時間にピアノが運び込まれました。通常コンサートでは、ピアノは横向きに置かれますが、今回は反田さんがピアノと指揮を同時に行うので、ピアノが観客に背を向けて置かれているのがユニークです。

ピアノを弾きながら、どうやって指揮をするのかと思いましたら、ピアノのソロパートはピアノを弾き、オーケストラだけのパートでは指揮を振り、ピアノとオーケストラが重なるパートでは、頭の振りや目の動きで指揮をしているようでした。

私は特に静謐で美しい第2楽章が大好きです。この曲を聴くとダルデンヌ兄弟の「少年と自転車」を思い出します。

映画『少年と自転車』予告編

細切れでわかりにくいですが、この予告映像で流れている曲です。(予告映像を見ただけで泣きそうになります…)映画ではエンドロールを通してこの第2楽章が流れています。

アンコールでは、弦楽トリオによるベートーヴェンの弦楽三重奏曲「セレナーデ」そして反田さんの「子犬のワルツ」心に残るコンサートでした。

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ヒラリー・ハーン & アンドレアス・ヘフリガー デュオ・リサイタル2024

2024年05月26日 | 舞台・音楽会

5月16日、東京オペラシティ コンサートホールにヴァイオリニスト、ヒラリー・ハーンさんのコンサートに行ってまいりました。

ヒラリー・ハーン & アンドレアス・ヘフリガー デュオ・リサイタル2024

会場は初台の東京オペラシティ コンサートホールです。石造りの円形広場は、写真には写っていませんが、座れるように石の階段が設えられ、古代イタリアの円形劇場を思わせる雰囲気です。

そういえば、以前オペラシティの新国立劇場で、シチリアオペラの「カヴァレリア・ルスティカーナ」を見たことを思い出しました。

木目を生かした美しいコンサートホール。モダンなデザインのパイプオルガンがすてきです。天井には採光窓があり、マチネの時は自然光の中で音楽が楽しめるのでしょうか。

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ヒラリー・ハーンは、クラシック音楽界の第一線で活躍するドイツ系アメリカ人のヴァイオリニスト。かつて住んでいたヴァージニア出身ということもあり、親近感を覚えていました。この日のプログラムは

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 Op.78 「雨の歌」
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ長調 Op.100
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調 Op.108

ブラームスが作曲したヴァイオリン・ソナタ全3曲です。ハーンは、チラシの写真では若手の新鋭ヴァイオリニストといった感じに見えますが、実際にはグレイヘアの落ち着いた雰囲気で、円熟味を増した柔らかくまろやかな音楽といった印象を受けました。

アンコールは、ハーン自ら日本語でご紹介。アメリカの作曲家ウィリアム・グラント・スティルの「マザー&チャイルド」という曲でした。初めて名前を聞く作曲家、初めて聴く曲でしたが、ハーンの演奏には母親の限りない優しさと愛情が感じられ、心を打たれました。

後からスティルは黒人の作曲家であると知りましたが、当時多くの苦難を強いられていたであろう黒人の作曲家が、こんなにも愛にあふれる曲を作ったことに感銘を受けました。

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コンサートの後に、先ほどの円形広場に面したブリティッシュパブで、ビールと軽食をいただきました。写真を撮るのを忘れましたが、お店の雰囲気もよかったし、ビールもおいしかった! でもふだん飲み慣れていないので、帰りはふらふらになりました。^^;

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グエン・ヴィエット・チュン ピアノ・リサイタル

2023年06月16日 | 舞台・音楽会

招待券をいただいて、ベトナムの新進気鋭のピアニスト、グエン・ヴィエット・チュン (Nguyen Viet Trung) さんのリサイタルに行ってまいりました。

日本ベトナム外交関係樹立50周年を記念してのこの音楽会。秋にオーケストラとの来日公演が予定されているグエンさんの顔見世的なコンサートだったようです。日本各地をまわり、2日後に千秋楽のサントリーホールでのコンサートが予定されていましたが

この日は招待客だけの内輪のリサイタル。場所は紀尾井町サロンホールです。永田町に近いこの界隈は、静かで端正で洗練された佇まい。会場のサロンのエレガントな雰囲気に心が華やぎました。

自由席なので仕事を終えた後に早めに会場を訪れたら、開場前にもかかわらず中に案内していただいて、ピアノの鍵盤の見える一番前の席に着くことができました。演奏者の指の動きが間近に見え、緊張までもが伝わってくるようなよいお席でした。

グエンさんは、ベトナムを代表する若手ピアニスト。東洋人で初めてショパンコンクールで優勝したダイ・タイ・ソン以来、ベトナム人として40年ぶりに昨年のショパンコンクールにエントリーされた期待の星です。

この日のプログラムは以下の通り。

ショパン ノクターン 作品27-2
モーツァルト ピアノ・ソナタ第10番 ハ長調 K.330
シューベルト 即興曲作品 90-1番、3番
ショパン ピアノ・ソナタ第2番「葬送」作品35 変ロ短調

私自身、昔弾いたことのある曲で、懐かしさもあってとても楽しかった。葬送以外は軽やかで親しみやすく、かわいらしい曲。当初予定されていたプログラムでは、私の好きなショパンのバラードが入っていましたが、本番ではノクターンに変わっていました。

おそらく葬送が重苦しい曲なので、同じくドラマティックで重いバラードから、ロマンティックで軽やかなノクターンに変更したのだと思います。このノクターンは、昔エールフランスのタヒチ便のCMに使われていたことを思い出しますが、私も大好きな曲です。

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グエンさんの演奏は誠実でまっすぐなところが好ましかったです。コンサートの後の挨拶には、謙虚なお人柄とともに、礼儀正しさと芯の強さが伝わってきました。これからのご活躍を応援します。

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ブルーノ・マーズ @東京ドーム

2022年11月03日 | 舞台・音楽会

記事にするのがすっかり遅くなりましたが... 10月26日東京ドームにブルーノ・マーズの来日公演を見に行ってまいりました。とっても楽しくて、ハートウォーミングで、心に残るすてきなコンサートでした。

Bruno Mars Japan Tour 2022

9月半ばに急遽発表されたブルーノ・マーズの来日公演。チケットは抽選でしたが、意外にもあっさり取れてラッキーでした。当初予定されていた4公演に10/30 東京ドームの追加公演が決定し、すべてSold Outだったそうです。

ブルーノ・マースが大好きで、ふだんからよく聴いています。もともとブラックミュージックが好きだったこともありますが、彼の音楽はホットでクール、新しいのにどこか懐かしい魅力があってたまりません。

会場は東京ドームです。平日だったので仕事の後にそそくさと駆け付けましたが、会場の周りはすでに熱気に包まれていました。写真は会場近くで調達してきたサンドウィッチをつまみながら腹ごしらえ。準備万端で開演を待っているところです。

3塁側の席でしたが、比較的ステージに近く、よく見えてよかった! 開演を待つ間、ブルーノではないですが、ファンキーでのりのりの音楽がかかっていて、わくわくと気分が盛り上がりました。

東京ドームは、先日ガガのコンサートで訪れたベルーナ・ドームの1.5倍くらいあると思いますが、アリーナ席から天井桟敷までファンがびっしり。ガガの時はキメキメのファッションの方がそここにいましたが、今回は比較的カジュアルな方が多かった印象です。

そしていよいよ、Moonshineからコンサートはスタート。(写真は2曲目の24K Magicの場面) ブルーノが現れたとたん、きゃーっと歓声とともに総立ちで歌ったり踊ったり。私はこの日ヒールの靴を履いていましたが、興奮して疲れをまったく感じませんでしたよ。^^

ギターのMateus Asatoさんのロマンティックなソロに続く Versace on the Floor は鳥肌ものでした。観客たちもスマホのライトを振って応えています。満天の星のようでとってもきれいでした。

大阪からはじまった今回の来日コンサート。大阪のコンサートに行った方たちからSNSで、ブルーノがマイクを向けるので、みんなで応えて歌って!というアドバイスがあったこともあり、東京公演ではその度に大合唱が沸き起こり、ブルーノも大喜びでした。

世界最高レベルの歌声とダンス。魅せる、聴かせるコンサートであるのはもちろんですが、会場がひとつになる心温まるコンサートだったことが、なおのこと心に残りました。

ラストは予想通り Uptown Funk で大興奮。大満足のエンディングでした。

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レディー・ガガ @ベルーナ・ドーム

2022年09月09日 | 舞台・音楽会

先週末、レディー・ガガの来日公演に行ってまいりました。

レディー・ガガの最新アルバムを冠した The Chromatica Ball というワールドツアー。場所は埼玉・所沢にあるベルーナ・ドーム (西武ドーム) です。初めて訪れましたが、ドームでありながら解放感があってすてきな球場でした。

ガガは楽曲のすばらしさもさることながら、稀代のエンターティナーでもあるので、生のステージをとってもとっても楽しみにしていました。そして期待以上に楽しかったです! パワフルでゴージャスなガガの魅力を堪能しました。

私たちの席はステージからは離れていますが、真正面のボックス席だったので、ゆったりしていて快適でした。これはコンサートが始まる前のステージの様子です。アルバムのイメージにあわせて、ハードでゴシックな雰囲気です。

Bad Romance からコンサートはスタート。コンサートはACT 1・2・3・4と舞台形式になっていてそれぞれテーマがあるのですが、ダークで背徳的なイメージ。黒の女王様風ファッションがかっこいい! ヒットナンバーの数々に酔いしれました。

そして時々ぶおっ!と炎が噴き出します。私の写真だと迫力が伝わらないですが、天井まで届くほどに火柱が上がって、会場の熱気に火がつくような勢いです。

アリーナ席に座るファンの中を縫うように練り歩いて、中央のステージへ。ゴールドの衣装に身を包んだガガが、ピアノを弾きながら歌い始めたのは映画「アリー スター誕生」(A Star Is Born) の Shallow、Always Remember Us This Way と続くスローナンバー。

ガガのノリノリのダンスナンバーも大好きですが、ピアノ好きの私はこの ACT に心を奪われました。音楽が好き、ピアノが好きというガガの原点のようにも感じられて。そして、時々「東京!愛してます!」とファンサービスも忘れない。^^

パープル&ブラックの昆虫風の衣装。ハデハデのファッションに目が釘付けになりました。この日は観客の中にも、全身黒に網や、黒のシースルーといったガガ風のファッションでキメている人がいましたよ。

アリーナ席の人は手首にLEDライトをつけていて、曲に合わせていろいろなカラーに変わるようコントロールされているようです。手首の動きにあわせてゆらゆら揺れるのが幻想的でとってもきれいでした。

ピアノ好きの私が、もうひとつ楽しみにしていたのは、ガガのステージで使われる Piano Arc という円形のピアノ。(ステージの奥に小さく写っています) ガガのキーボード奏者である Brockett Parsons さんが生み出したピアノなんですよ。

FINAL ステージのあと、アンコールで歌ってくれたのは映画「トップガン マーヴェリック」の主題歌 Hold My Hand。心憎いエンディングでした。

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實川 風さんのピアノリサイタル

2022年06月25日 | 舞台・音楽会

記事にするのがすっかり遅くなりましたが、GWに若手実力派ピアニスト 實川 風 (じつかわ かおる) さんのピアノ・リサイタルに行ってまいりました。場所は紀尾井ホールです。

實川 風 ピアノ・リサイタル

實川さんが演奏するショスタコーヴィチを偶然SNSで聴いた時、見た目の柔らかい雰囲気からは想像できない意外な選曲、そして骨太の力強い演奏が心に刻まれ、一度じっくり演奏を聴いてみたいと思っていました。

会場となる紀尾井ホールは、紀尾井町にあるこじんまりとした木目の美しいホール。演奏者との距離が近いので、音楽とひとつになるような親密感を感じる一方、適度な大きさもあるので、音の響きがすばらしく、音楽に包まれるような感動を味わいました。

この日實川さんが選ばれたピアノは、ベーゼンドルファー・Model 280VC。深々とした森に響き渡るような温かさと力強さが感じられ、實川さんの演奏と、この日のプログラムによく合っているように思いました。

ベートーヴェン:ピアノソナタ 第21番 ハ長調「ワルトシュタイン」op.53
ショパン:ピアノソナタ第2番 変ロ短調「葬送」op.35
---- intermission ----
ファリャ:アンダルシア幻想曲
ドビュッシー:前奏曲集 第1集より 沈める寺
プロコフィエフ:ピアノソナタ 第7番「戦争ソナタ」op.83

この日のプログラムは、ショスタコーヴィチはなかったものの、やはり渋い、骨太の選曲で、お客様にあわせるというよりは、實川さんの弾きたい、伝えたいという思いが伝わってくるラインナップでした。

プログラムノートによると、實川さんは「最初にベートーヴェンのワルトシュタインを弾きたい」というのがあり、そこからそれに対抗できるソナタとしてショパンの「葬送」といった具合に、曲を選んでいったとのことですが

私は勝手に、昨今の世界の情勢に思いを寄せた、祈りのようなメッセージと受け止めてしまいましたが、考えすぎでしょうか。どれも重めの作品ではあるけれど、ロマン派や印象派の音楽が好きな私にはとっても楽しめました。

---- uncore ----
シューベルト:4つの即興曲op.90 D899より第3番変ト長調
J.S.バッハ:フランス組曲第2番ハ短調BWV813より第1曲アルマンド
ドビュッシー:12のエチュードL.136より第1集 第6番「8本の指のための」

アンコールもバラエティに富んだ、やはり渋めの選曲です。思いがけずたくさん弾いてくださってうれしかった。最後のドビュッシーを弾いた後に、これでおしまい、という風に微かなジェスチャで示してくれる礼儀正しさに思わずにこり。心豊かになるひとときでした。

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SINGIN' IN THE RAIN 雨に唄えば

2022年03月13日 | 舞台・音楽会

2月の3連休に、アダム・クーパー主演のミュージカル「SINGIN' IN THE RAIN 雨に唄えば」の日本特別公演を見てきました。場所は渋谷の東急シアターオーブです。

コロナ禍に入ってから舞台がことごとく上演中止となっていたので、2年ぶりの舞台鑑賞となりました。今回も年末からオミクロン株が猛威をふるっていたために、上演期間が短縮されましたが、無事に見ることができてほっとしました。

ちなみに見に行ったのは、ウエスト・サイド・ストーリーを見た翌日で、この週末は奇しくもミュージカル・ウィークエンドとなりました。ミュージカルの魅力を大いに堪能した2日間となりました。

舞台に14トンの雨を降らせる本作。前から5列目までの席は、水がかかってもいいように黄色のレインコート付きのチケットとなっています。私は1階の中ほどの水がかからない席でしたが、舞台にあわせてこの日は赤いレインコートを着て行きました。^^ 

主演のアダム・クーパーは元はロンドンのロイヤルバレエのプリンシパル。映画「リトル・ダンサー」のラストシーンや、マシュー・ボーンの「白鳥の湖」(男性が白鳥を演じる演出は圧巻!)でご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

アダムが日本公演のために出演するミュージカル「SINGIN' IN THE RAIN」は、2014年、2017年に続く3回目の上演だそうです。アダムが優雅な身のこなしで歌い踊るステージはきらきらと輝いていて、しばし夢の世界に酔いしれました。

有名な主題歌はよく知っているものの、オリジナルのミュージカル映画 (1952) は見たことがなく、どんなストーリーかまったく知らずに見に行きましたが、ひとことでいえば、サイレントからトーキーへと大きな変化を遂げようとしている

1920年代のハリウッド映画界を舞台にしたロマンティックコメディ。私は映画「アーティスト」を思い出しましたが、何事も変革が起こる時には、さまざまなドラマが生まれるのでしょうね。ハリウッドにとってはマイルストーン的な事件だったのでしょう。

ドン(アダム・クーパー)とリナは、サイレント時代の大スターでしたが、時代の波にあらがえず、トーキー映画を撮ることに。しかしリナの声はひどく、歌も音痴。そこでドンが偶然出会ったキャシーが、リナの吹替をすることになり...というストーリー。

当時の映画界の華やかな雰囲気がたっぷり味わえる一方、スターたちの苦悩も垣間見えて、結末は想像できるけれど、とてもハッピーになる作品でした。でも、リナはたしかに声はひどいし、性格も悪いけれど、ラストはちょっとかわいそうになりました。

みんなの前で、あんな赤っ恥をかかされて...。そういえば、今の俳優さんは歌もダンスも楽器もアクションもこなせて、みんなすごいですよね。昔のミュージカル映画は、歌は吹替というのがふつうにあったように思います。

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上の画像3点は、ネットからお借りしました。舞台の後のカーテンコールでは、写真撮影ができました。下2枚はその時に撮ったものです。

アダム他、主要キャスト3名が黄色いレインコートを着て登場。

雨の中で、英国紳士たちがカラフルな傘を広げて歌い踊ります。

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チャップリン歌舞伎「蝙蝠の安さん」

2019年12月27日 | 舞台・音楽会

クリスマスの夜、国立劇場にチャップリン歌舞伎「蝙蝠の安さん」(こうもりのやすさん) を見に行きました。

今月の東京の歌舞伎は、大胆な新作3本です! 歌舞伎座では、玉三郎さんの白雪姫、新橋演舞場では風の谷のナウシカ。そして国立劇場ではチャップリンの「街の灯」を原作とする蝙蝠の安さんが上演されました。主演は松本幸四郎さんです。

チャップリンの街の灯が大好きなので、最初に新聞で知った時から気になっていましたが、一抹の不安も覚えていました。でもアメリカで映画が公開された1931年に本作が上演されたこと、主演の幸四郎さんが長年思い焦がれていた作品であることなど知って、どうしても見てみたくなりました。

国立劇場のロビーには、幸四郎さんとチャップリンが並ぶ等身大のパネルがお出迎え。

今年はチャップリン生誕130年の記念の年だそうです。そして12月25日がチャップリンの命日であることから、この日はお芝居のあとにトークショーもありました。

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私がチャップリンの街の灯を見たのは、学生時代のリバイバル上映です。前知識なく見ましたが、ものすごく感銘を受けて、以来お気に入りの作品になりました。今もラストを思い出す度に涙ぐんでしまいます。

原作では、チャップリン演じるホームレスの男性が、盲目の花売り娘に恋をして、お金持ちの紳士のふりをして毎日彼女のもとに花を買いに訪れます。やがて彼女が最新の眼の治療が受けられるように、ボクシングの試合に出るなどして費用を工面しようとして...というストーリーです。

歌舞伎ではそのお話が、江戸を舞台に展開しますが、ボクシングが相撲になっていたり、車が籠になっていたり、なるほど~というアレンジでした。江戸時代にはお花屋さんはまだなかったそうですが、違和感なく、菊というのが日本的でよいなーと感心しました。

チャップリンならではのコミカルな場面もたくさんありました。特に幸四郎さんと、上総屋の旦那を演じる猿弥さんのの絡みには大笑いしました。そして、原作では号泣してしまうラストを、あえて駄洒落で締めくくって、感動しすぎないように?していたのに、幸四郎さんの思いを感じました。なんとなくフーテンの寅さんを思い出しました。

舞台のあとのトークショーも楽しかったです。幸四郎さんが考えた安さんのモノクロつぎはぎの衣装は、チャップリンと歌舞伎に対するリスペクトが表れていると感じました。

黒地に文字が書かれた布は、廓文章吉田屋の紙子の衣装からアイデアを取り入れたのだとか。ちょうど今年のお正月に、幸四郎さんの吉田屋を見たばかりだったので、大いに納得しました。舞台では文字の書かれた道具幕も登場しましたが、チャップリンのセリフがデザインされていたのも新鮮でした。

それからお花さんの手押し車は、シニアの方がスーパーに行く時に押しているショッピングカートから着想を得たそうです。おもしろいお話がいろいろとうかがえました。

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シルク・エロワーズ「サルーン」

2019年11月20日 | 舞台・音楽会

今月初めに、シルク・エロワーズの最新作「サルーン」を見に行きました。場所は渋谷のシアターオーブです。

シルク・エロワーズは、1993年にカナダのモントリオールで生まれたパフォーマンス集団です。シルク・ドゥ・ソレイユと同じく、アクロバティックな動きに音楽や演劇などの要素を取り入れた、芸術性の高いサーカスです。

私はニューヨークで、初めてシルク・エロワーズの レイン(Rain) という舞台を見て、センスのいい音楽や、舞台の上に水たまりを設えた、水を使った幻想的なパフォーマンスに心を奪われました。↓公式サイトに動画があります。

CIRQUE ELOIZE - Rain

さて今回は、前回見たヨーロピアンな雰囲気からがらりと変わって、西部開拓時代のアメリカを舞台にしています。サルーンというのは、西部劇によく出てくるたまり場的な酒場のことです。こちらも広告用の動画があるので、よかったらご覧になってみてください。ほんの少しですが雰囲気がお伝えできると思います♪

SALOON | Teaser 1m30

シルク・ドゥ・ソレイユに比べると、ファンタジー色は控えめで、お芝居仕立てになっています。男女の駆け引きがあったり、バラバラ事件があったり、銃が出てきたり、ほんのちょっぴりお色気?やブラックユーモアを感じさせる演出が大人心をくすぐります。

ポールダンスや、ジャグリング。大きなホイールを使ったパフォーマンスなど、アクロバティックな演技や、ダイナミックなダンスがすばらしく、わくわくしながら引き込まれました。個人的には舞台に置いたピアノを使ったパフォーマンスが、このサーカスならではで気に入っています。

カーテンコールは撮影が可能でした。ウエスタンな衣装も決まってますね。(^_-)-☆

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舞台のあとに... この日は新しい商業施設、渋谷スクランブルスクエアのオープンの日でもあったのですが、きっと激混みだろうな~と明治通りを南にぶらぶらと。金曜日の夜でどこも混んでいましたが、居酒屋さんに空きを見つけて入りました。

焼鳥やサラダなどつまみ、楽しい夜になりました。

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王様と私

2019年08月09日 | 舞台・音楽会

先週末、渡辺謙さんの来日ミュージカル「王様と私」(The King and I) を見に行きました。場所は東急シアターオーブです。

1951年にユル・ブリンナー&デボラ・カーが初演した名作を、2015年にケリー・オハラさん&渡辺謙さん主演でニューヨークのリンカーンセンターでリバイバル上演しました。今回はその来日公演で、謙さんの凱旋公演ともいうべきものです。

2015年に謙さんがミュージカルに初出演すると聞いた時には、驚きと感激で、こんな記事を書き残しています。いつか見たいと思っていた作品なので、今回の来日公演を楽しみにしていました。

謙さんが、ケリー・オハラさんの歌声を是非日本の観客に聴かせたいと願ったことから実現したという夢の競演。ケリー・オハラさんはブロードウェイの大女優で、「王様と私」で2度目のトニー賞を受賞しました。

今回の舞台でも他を圧倒するほどのすばらしい歌声で、感動して何度も涙ぐんでしまいました。謙さんとの息もぴったりで、やりとりがとても自然に感じられたのがよかったです。クライマックスともいうべき Shall We Dance? では、舞台が狭く感じるほどの躍動感あふれるポルカを堪能しました。

1860年代のシャム(現代のタイ)を舞台に、イギリスから王子たちの家庭教師として招かれたアンナと、何人もの妻を持ち、少々暴君なところもある王様とが、文化の違いを超えて互いを理解し、尊重するようになるという、クラシックミュージカルながら、今の時代にふさわしいストーリー。

列強から国を守るために、アンナの助言を受け入れて、民主化の道を模索していく王様。それと並行して描かれる、王の側室として隣国ビルマから贈られたタプティムと、恋人ルンタとの悲恋が物語に緊張感を与えています。子どもたちによる劇が「アンクルトムの小屋」というのも象徴的でした。

アンナの教育を受けた王子が、新しい時代を切り開こうとするラストに胸が熱くなりました。鳴りやまない拍手の中、3回もカーテンコールに応えてくださったお二人。いつまでも感動の余韻が残る、すばらしい舞台でした。

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