招待券をいただいて、渋谷のル・シネマ宮益坂下で開催中の、この夏に亡くなられたアラン・ドロン追悼上映に行ってきました。「太陽がいっぱい」ほか全3作が上映されていますが、私たちが見たのは「冒険者たち」です。
※ ル・シネマが東急文化村から宮益坂下に移転してから初めて訪れました。シアターは7階と9階にありますが、チケット発券所は1階にありますのでご注意くださいね。
冒険者たち (Les Aventuriers / The Last Adventure) 1967
飛行機操縦士のマヌー(アラン・ドロン)、レーシングカーのエンジン開発者ローラン(リノ・ヴァンチュラ)、現代美術アーティストのレティシア(ジョアンナ・シムカス)。
それぞれ夢に破れた3人は、コンゴの海底に眠る5億フランの財宝の噂を聞きつけ、アフリカへと旅立ちます。
男性2人、女性1人の3人が宝探しの旅に出る冒険映画で、この作品は「明日に向かって撃て!」など、後のさまざまな映画に影響を与えたと言われています。
久しぶりに見たフランス映画ということもあり、とても楽しめたのですが、最初のうちは、3人の生き方が地に足がついていないように思えて、共感しにくい部分もありました。
例えば、マヌーが凱旋門の上を飛ぶ前に法律を調べなかったことや、ローランが安全性を考えずに実験したこと、レティシアが全財産を個展に注ぎ込んだことなど、どれも見込みが甘く無鉄砲に思えて、ちょっといらいらしました。
でもそれは、私が常識的だからかもしれません。コンゴに行くことも、コンゴでの3人の行動も、見ていて冷や冷やするばかりでしたが、そもそも私のように心配していては映画にはなりませんね。
印象に残ったのは、マヌーとローランが、レティシアの故郷を訪ねる場面です。どことなく「男はつらいよ」のテイストを思い出しました。ローランがレティシアの夢を実現しようと熱く計画を語る場面も、胸にぐっときました。
意外だったのは、レティシアがハンサムで年齢も近いマヌーではなく、年上のローランを将来のパートナーとして選んだことです。でも、彼女はローランの誠実さや優しさに惹かれたのかもしれません。
一方で、マヌーがレティシアに対して最初から一歩引いていた点も、彼の思いやりを感じて、好感を持ちました。この3人だからこそ絆が深まり、関係がうまくいったのでしょうね。
そして、ローランがマヌーに語りかけた最後のことばに心を強く揺さぶられ、そのとたんに涙があふれてしまいました。なんだかんだと文句を言いましたが、私はこの作品をとても気に入りました。