セレンディピティ ダイアリー

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グラディエーターにまつわるウソとホント

2024年12月19日 | +映画のよもやま

リドリー・スコット監督の名作「グラディエーター」の続編「グラディエーターII」が現在劇場上映されています。私は2011年に前作を見て、人間ドラマに大いに引き込まれたのですが、戦闘場面の残虐描写は苦手で、そこだけ早送りしてしまいました。

【過去記事】グラディエーター (2011-01-21)

そんなわけで、今回の「グラディエーターII」も劇場に見に行くのは躊躇しているのですが、予告で見た、コロッセオを海戦の場に仕立てる大胆な発想には度肝を抜かれました。

そんな折、ナショナルジオグラフィックに掲載されていた記事がとてもおもしろかったので、編集してご紹介させていただきますね。

コロッセオで海戦が行われた? グラディエーターのウソとホント4選

1.グラディエーターは愛称で呼ばれていた

古代ローマでは、グラディエーターたちは親しみを込めた愛称で呼ばれていました。たとえば、映画『グラディエーター』の主人公マキシマスも「スペイン人」と呼ばれていましたね。

グラディエーターはそれぞれ独自の戦闘スタイルや武器を持ち、ファンも多かったそうです。中には女性に大人気のグラディエーターもおり、ポンペイの遺跡には彼らへの熱烈なファンの落書きが見つかっています。

2.グラディエーターはプロのアスリートだった

一般的なイメージとは異なり、グラディエーターは養成校で訓練を受けたプロのアスリートでした。

犯罪者や捕虜が死ぬまで戦わされるという話は誤解で、特に人気のあるグラディエーターは次々と試合に出場して活躍しました。彼らは、現代のスポーツ選手のような存在だったのです。

3.コロッセオでの海戦

「グラディエーターII」では、コロッセオに水を張り、サメが泳ぐ中で軍艦同士が戦うという大胆なシーンが描かれています。実際に、コロッセオ以前の時代に模擬海戦を行った記録が残っています。

ただし、コロッセオで同様の海戦が行われたかどうかについては、専門家の間で意見が分かれています。

4.古代ローマは多様な社会だった

「グラディエーターII」には、さまざまな地域から来た人々が登場しますが、これは史実にも基づいています。

発見された遺骨のDNA鑑定から、古代ローマにはアフリカや中東、ヨーロッパなど世界各地からの人々が暮らしていたことが明らかになっています。ローマは国際的で多様性に富んだ社会だったのです。

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映画を通じて古代ローマの真実に思いを馳せるのも楽しいですね。

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ガガの新曲と、ヴェネツィア国際映画祭

2024年09月07日 | +映画のよもやま

大好きなレディ・ガガに関する(ちょっぴりミーハーな)話題です。

先月、レディ・ガガとブルーノ・マーズによるコラボレーションで、新曲「Die with a Smile」がリリースされました。ガガもブルーノも、どちらも大好きなアーティストなので、ティーザー広告を見た時から「何これ?!どういうこと?!」とわくわくしていました。

間もなくして発表された新曲は、ノスタルジックなテイストの甘い甘いバラード。

私はこの二人のことだから、きっとノリノリのエキサイティングな曲になるだろうと思っていたので、最初はちょっぴり拍子抜けしましたが、何度も聴いているうちに、しみじみといい曲だなぁと感じるようになりました。

Lady Gaga, Bruno Mars - Die With A Smile (Official Music Video)

ブルーノは「Silk Sonic」で70年代風のソウル・ミュージックを歌っているし、ガガも映画「アリー」(A Star Is Born) や先日のパリ五輪で古いシャンソンを歌っているので、二人がこういう歌を歌いたい!という気持ちが通じ合ったのだろうな、と思います。

おそろいのレトロなファッションや、ガガの盛り盛りのヘアスタイル、つけまつげバッチリのメイクもチャーミングです。

そしてもうひとつは、来月公開予定の「ジョーカー」の続編「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」(Joker: Folie a Deux)。ガガは、ジョーカーのパートナー、ハーレイクインを演じています。

ただいま開催中のヴェネツィア国際映画祭でも、ガガがひときわ話題をさらっていますね。

Lady Gaga GOES GLAM at ‘Joker: Folie à Deux’ Venice Film Festival Premiere

レッドカーペットでのガガは、ディオールのドレスに、ティファニーのジュエリー。そしてガガ=ハーレイクインのイメージにぴったりの個性的な帽子は、フィリップ・トレイシーというデザイナーの作品。英国キャサリン妃の帽子でも知られる帽子デザイナーです。

ガガといっしょにレッドカーペットに登場したのは、婚約者のマイケル・ポランスキー氏。IT企業を経営する実業家の方だそうです。二人ともゴージャスでとてもお似合いですね。

こちらは記者会見の写真。ガガと、ジョーカーを演じるホアキン・フェニックスです。映画はミュージカルの要素もあるようで、今からとっても楽しみです!

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Hasta la vista, baby.

2024年08月04日 | +映画のよもやま

ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌」の余談です。

映画の中で、JD(ヴァンス)と祖母がテレビで「ターミネーター2」を見ている場面がありました。シュワルツェネッガーが新型ターミネーターに「地獄で会おうぜ、ベイビー」と決め台詞を言い放つ有名な場面がありますが、その時、祖母も同時にその台詞を言ったのです。

驚いたJDは「どうしてわかったの?」と祖母に尋ねると、祖母は笑いながら「100回も見ているからね」と答えます。

Hillbilly Elegy a Ron Howard Film | Amy Adams & Glenn Close | Official Trailer | Netflix

(1:24くらいからご覧ください)

この台詞、耳慣れないことばだったので、後でググってみたところ、スペイン語で

“Hasta la vista, baby.” (アスタ・ラ・ヴィスタ、ベイビー)

と言っていることを知りました。「さようなら」「またね」といった意味ですが、スペイン語を使うことでおどけたニュアンスを加えているようです。

ちなみにスペイン語版では、”Sayonara, baby.” と言っているのだそうですよ。

***

それで思い出したのは「トイストーリー3」で、バズが突然スペイン語を話しだす場面です。

Toy Story 3 (2010): Spanish Buzz

(0:58くらいからご覧ください)

おもちゃたちがバズの言語設定を、間違えてスペイン語モードにしてしまったからです。

となると気になるのはスペイン語版ではどうなっているか?ですが、以前気になって調べたことがありました。

すると、メキシコなどの中南米のスペイン語圏では、バズが突然ヨーロッパのスペイン語を話し出すのだそうです。また、ヨーロッパのスペインでは、アンダルシア方言のスペイン語を話し出すのだそうです。

同じスペイン語でも地域によって微妙に話されていることばが違うというのは、当たり前と言えば当たり前ですが、おもしろいですね。

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平野さんの「本心」が映画化!

2024年06月22日 | +映画のよもやま

梅雨は来たのか、来ないのか。そんな話はさておいて。
作家の平野啓一郎さんのファンで、メールレターに登録しているのですが、昨日メールでうれしいお知らせが届きました。

平野啓一郎の最新長篇を原作とした映画『本心』が、11月8日より公開されます!

映画「本心」公式サイト

ちなみに私は原作を読んでいて、ブログに感想を書き残しています。

本心 (2021-09-01)

哲学的な要素や、格差などの社会問題がさりげなく取り入れられていますが、エンタメ性もあってすごくおもしろかったので、きっと映画化されるだろうなーと楽しみにしていました。

近未来が舞台ではありますが、描かれているのは普遍的な人間の心の物語である、と私は感じました。

昨日は気になるキャストも発表されました。
主人公の朔也に池松壮亮さん。三好に三吉彩花さん。イフィーに仲野太賀さん。朔也の母親役に田中裕子さん。監督は石井裕也さん。

平野さん原作の映画は前作の「ある男」がとてもよかったので、今回も期待していますが、バーチャルの世界はどんな映像になるのか、一抹の不安もよぎります。
とはいえ、やっぱり楽しみです!

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クロイスターズと、ラベック姉妹のマンボ

2022年03月09日 | +映画のよもやま

映画「ウエスト・サイド・ストーリー」に登場して、とても懐かしかったのがクロイスターズ (The Met Cloisters)。マリアとトニーが、最初で最後のデートで訪れた場所です。

クロイスターズは、ニューヨークのメトロポリタン美術館の別館です。場所はマンハッタン島の最北端に近い、ハドソン川を見下ろす高台にあります。

全体としては中世ヨーロッパの修道院の建築様式を模していて、フランスから移築された修道院の5つのクロイスター (回廊) から構成されています。

ニューヨークであることをしばし忘れてしまいそうな静かな佇まいに、心が洗われるような気持ちになります。トニーがマリアをここに連れてきたのは、ここが日常の争いとは無縁の世界だからかもしれません。

トニーとってマリアは、平和な世界で生きていくための道しるべとなる、まさに聖母のような存在だったのでしょうね。

よろしかったら、過去記事もどうぞ。
クロイスターズ(メトロポリタン美術館別館) 2007-05-23

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スピルバーグのウエスト・サイド・ストーリーは、悲劇的なストーリーや、圧倒的な歌やダンス、フレッシュなキャスト、臨場感あふれる映像もすばらしかったですが、バーンスタインの音楽の力を改めて実感しました。

曲の中にさりげなく取り入れられている、長調でもなく短調でもない、かといって不協和音でもない独特の音階は、不穏な空気に包まれていて、結末の悲劇を予感させます。

名曲揃いの中で、私が今回取り上げたいのはマンボ! 映画では高校のジム (体育館) で開かれるダンスパーティで演奏されます。学校のジムというのがいかにもアメリカン。敵対するチームが来るとわかっていて、どうしてわざわざ行くのか謎ですが。^^;

下にリンクする動画は、ピアノのラベック姉妹が演奏するマンボです。ラベック姉妹のこの演奏が大好きで、映画を見る前からよく聴いていました。ピアノ2台で繰り広げられるオーケストラのような迫力の演奏を是非聴いてみてくださいね。

Katia & Marielle Labèque: West Side Story

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懐かしいELO @クルエラ

2021年06月06日 | +映画のよもやま

映画「クルエラ」の感想にもちょこっと書きましたが、本作は70年代を彩る音楽も魅力のひとつ。特に私は ELO (Electric Light Orchestra) が懐かしかったです。

映画を見てから、家で ELO のCDを引っ張り出してみたり、YouTubeを聴いたりして、余韻を楽しんでいます。

家に唯一残っているELOのCDはベストアルバム。CDなのでおそらく80~90年代頃にお店で見かけて、懐かしくて衝動買いしたものと思われます。ジャケットデザインは、おそらく Earth Wind & Fire のアルバムジャケットを多く手掛けた長岡秀星さん。

この中から、どれにしようか悩みますが、いくつか代表作をご紹介させていただきますね。

Electric Light Orchestra - Livin' Thing (Official Video)

「クルエラ」に登場した "Livin’ Thing"。いきなりバイオリンが出てきてびっくりするかもしれませんが、ELO はロックバンドにストリングス(バイオリン、チェロ)を取り入れているのが画期的なんです。だからクラシック音楽好きの私の心をとらえたのかもしれません。

Electric Light Orchestra - Don't Bring Me Down

J・J・エイブラムス監督の「SUPER8」に登場した "Don't Bring Me Down"。SUPER8は1979年が舞台で、この年のヒット曲がBGMにふんだんに使われていました。そういえばこの年、SONYのウォークマンが発売された、という描写もありました。

ELO - Shine A Little Love (with lyrics)

私は後にも先にも一度だけラジオ番組にリクエストを送って、しかもそれが紹介されたことがあるのですが、その時のリクエスト曲がこの "Shine A Little Love” 。懐かしいです。^^

ELO - Xanadu

オリヴィア・ニュートン・ジョン主演の映画「ザナドゥ」の音楽を担当した ELO が作った主題歌。オリヴィアが歌うバージョンが有名ですが、ELO が歌うバージョンはメロディの美しさが際立つように感じられて好きです。

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アップリンク渋谷が閉館

2021年04月23日 | +映画のよもやま

渋谷にあるインディペンデント系の小さな映画館「アップリンク渋谷」が、2021年5月20日をもって閉館するというニュースを目にしました。

アップリンク渋谷閉館のお知らせ

アップリンクは、1995年にイベントスペースとしてはじまり、2004年に渋谷東急本店の奥、今は通称 ”奥渋” とよばれるエリアの一画に日本一小さい映画館としてスタートしました。

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私のブログを振り返ると、初めて訪れたのは2011年とあります。会議室のような小さい空間にばらばらの椅子が並べられ、手作り感満載の温かい雰囲気が、心地よい思い出として記憶に残っています。

ここで上映される映画は、映画人の強い思いが実って公開された作品ばかり。ここでしか上映されていない作品も多く、私もドキュメンタリーや、あまりなじみのない国の映画など、どうしても見たい作品があって、この映画館に何度か足を運びました。

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過去にアップリンクで見た作品の過去記事を引用させていただいて、アップリンクがどういう映画館だったかをお伝えするとともに、惜別のメッセージに代えたいと思います。

グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独 (Genius Within: The Inner Life of Glenn Gould)

大好きなピアニスト、グレン・グールドの伝記的なドキュメンタリー映画を見に訪れたのが、私のアップリンクとの出会いです。

生い立ちから音楽家としてのさまざまなエピソード、演奏シーンと、グレン・グールドの魅力をたっぷり堪能しました。初めて訪れたアップリンクの印象についても触れています。

ふたりのイームズ 建築家チャールズと画家レイ (EAMES: the architect and the painter)

こちらも大好きなアメリカのミッドセンチュリーモダンの建築家、デザイナーである、チャールズ&レイ・イームズ夫妻のドキュメンタリーです。デザイナーとしての活躍の他に、映画製作などさまざまな活動についても知りました。

アップリンクの受付で購入したイームズの本は、今も大切にしています。

オマールの壁 (Omar)

初めて見たパレスチナ映画は、衝撃で見た後もしばらく打ちのめされる、でもすばらしい作品でした。今も心に残っています。

映画を見たあとで、アップリンク1階のエキゾチックなカフェで、タイアップメニューのアラブのお茶とお菓子をいただいたこともうれしい思い出です。

サーミの血 (Sameblod / Sami Blood)

スウェーデン北部の少数民族サーミの血を引く監督の長編デビュー作で、サーミの人たちによって演じられています。サーミの人々と、彼らのたどってきた苦難の歴史について知り、衝撃を受けました。この年のベストにも選んでいます!

こうしてラインナップを見てみると、やはりアップリンクは唯一無二の映画館だったのだなーという思いを強くしています。

アイリッシュマン (The Irishman)

ここなつさんからコメントをいただいて、本作のことを思い出しました。男気あふれる (という言い方は今の時代にはポリコレ的にふさわしくないかもしれませんが) マフィアの世界に魅了されました。

本作は Netflix での配信映画でしたが、アップリンクが劇場上映してくれたことで、私も見ることができました。映画ファンの気持ちによりそう、アップリンクならではの心憎い企画でした。

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Everything Happens to Me @レイニーデイ・イン・ニューヨーク

2020年08月01日 | +映画のよもやま

映画「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」を見てから、ティモシー・シャラメが歌う Everything Happens to Me に触発されて、いろいろなアーティストの演奏を聴き比べています。

アート・ペッパーのサックスや、チェット・ベイカーのヴォーカル&トランペットも好きですが、ピアノ好きの私が特に気に入っているのが、デューク・ジョーダンのピアノ。

Duke Jordan - Everything Happens to Me

装飾を抑えたタイトな演奏が、洗練された雰囲気があって好きです。おそらくクラシック音楽好きの人にとって、とっつきやすい演奏だと思います。

それとひと味違っているのが、セロニアス・モンクのピアノ。

Thelonious Monk - Everything Happens to Me

モンクは、実はそれほど好きというわけではないのですが、この演奏は気に入っています。おもちゃのピアノをたたきつけるような独特の奏法に魅力を感じます。

ヤマハのぷりんと楽譜に、ビル・エヴァンスのアレンジバージョンがあったので、こちらも購入してリズムをデューク・ジョーダン風に少しアレンジして弾いています。

最後に、映画に登場したティモシー・シャラメが歌う Everything Happens to Me を。

Timothee Chalamet singing Everything Happens to Me

(映画を見ていない方は、ご注意を)

ピアノを演奏しているのはシャラメではなく、Conal Fowkes というピアニスト。グラミー賞を受賞していて、ウディ・アレン作品でよく共演しているアーティストのようです。

シャラメの、繊細でささやくような歌声がなんとも魅力的。こんな風に歌われたら、誰でもきゅんとしてしまいますね。(^_-)-☆

【関連記事】レイニーデイ・イン・ニューヨーク 2020-07-29

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エンニオ・モリコーネに捧げる

2020年07月19日 | +映画のよもやま

7月6日にイタリアの作曲家、エンニオ・モリコーネが亡くなられました。1950年代末から数多くの映画音楽を手掛け、名だたる映画賞の作曲賞を何度も受賞しています。手掛けた作品は数えきれないほど。

Wikipedia のフィルモグラフィを見て、初期の頃は西部劇の音楽を数多く手掛けていたと知って驚きました。

モリコーネの作品の中で、一番人気があるのはおそらく「ニュー・シネマ・パラダイス」だと思いますが、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」や「アンタッチャブル」などマフィア映画の哀愁を帯びたメロディも忘れ難いです。

でも音楽に着目すると、私が一番好きなのは「海の上のピアニスト」(The Legend of 1900)です。豪華客船の中で生まれ、生涯船を降りることのなかったピアニストの物語で、ヒューマンドラマであり、音楽映画でもあります。

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先日「ルース・エドガー」で久しぶりにティム・ロスを見て「海の上のピアニスト」を思い出し、 YouTubeで音楽を聴いたり、ピアノを弾いたりしていたばかりだったので、今回の訃報を不思議な偶然のように感じていました。

そしてこれも偶然ですが、「海の上のピアニスト」は8月に4Kデジタルリマスター版、9月にイタリア完全版が劇場公開されることが予定されています。

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前置きが長くなりましたが、エンニオ・モリコーネへの追悼を込めて「海の上のピアニスト」から2曲、映画のシーンとともにご紹介します。

The Legend of 1900 (1998) - 'Playing Love' scene [1080p]

主人公の 1900 が船の上で演奏するピアノが話題をよび、レコーディングの話が持ち上がります。そんな話はおかまいなしに、1900 は甲板を歩く美しい女性にひと目惚れし、彼女を思いながら即興でピアノを弾き始めます。

ティム・ロスの恋する切ない表情と、その気持ちとリンクするように奏でられる音楽がロマンティックで美しい "Playing Love" という曲です。

The Legend Of 1900 "Magic Waltz" HD Ennio Morricone

私が一番好きなシーンです。海が大荒れに荒れたある夜、船酔いしてぼろぼろになったマックスが 嵐に合わせてピアノを弾く1900 といっしょにいるうちに、いつしか楽しくなってニコニコしてくる ”Magic Waltz” という曲です。

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最後に「ニュー・シネマ・パラダイス」より ”Love Theme”。この曲はクラシックのアーティストもよく演奏していて、先日はチェリストのヨー・ヨーマが追悼の演奏を Twitter にアップしていました。

私が好きなのはヴァイオリニストのイツァーク・パールマンの演奏です。パールマンはユダヤ系ヴァイオリニストで、映画「シンドラーのリスト」の演奏でも知られていますね。

私も大好きなヴァイオリニストで、1980年頃と1993年頃、来日公演を聴きに行きました。20世紀を代表する偉大なアーティストのひとりです。

Cinema Paradiso Theme By Itzhak Perlman & The City of Praga Orchestra

これは、チリのオーケストラとの演奏ですが、美しいのびやかなヴァイオリンの音色が、映画とはまた別の感動を与えてくれます。

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オーチャードハウスと、ベートーヴェンの「悲愴」

2020年07月15日 | +映画のよもやま

続きますが「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」(Little Women) についてもう少しおつきあいを。

オルコットの故郷で「若草物語」の舞台となったマサチューセッツ州コンコードは、ボストンから車で1時間ほどのところにある小さな町です。私も14年前に訪れ、当時のブログに残しています。

コンコード - 「若草物語」が生まれた町 (2006-12-1)

上はその時撮った写真で、オルコットの家族が20年間(1857-1878)住んでいた オーチャードハウス (Orchard House) です。映画に使われたのは撮影用のセットだと思いますが、忠実に再現されていましたね。

オルコットの父がこの家を買った時、敷地にりんごの果樹園 (オーチャード) があったことから、名付けたそうです。オルコットは、父が彼女のために特別に作った机で、1868年に「若草物語」を執筆しました。

オルコットが住んでいた頃の調度や装飾が、大きく変えないままに保存されています。オーチャードハウスの内部を紹介する映像を見つけたので、よかったらご覧になってみてください。若草物語の世界そのものです。

Little Women: The House of Little Women

映画に登場する音楽は、アレクサンドル・デスプラによるオリジナル曲もドラマティックですばらしかったですが、私はピアノが好きなので、ベスが演奏するクラシックのピアノ曲の美しさに心を動かされました。

サウンドトラックには入っていませんが、映画の中で演奏されたクラシック音楽のリストをまとめているサイトを見つけたので、ご紹介させていただきますね。リンク先で曲を聴くこともできます。

Soundtrack.com/Little Women Soundtrack (2019)

ショパンのノクターン、ブラームスのワルツ、シューマンの子どもの情景と懐かしい曲が続く中、ベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴」の第2楽章もありました。

その名にふさわしい、激しい慟哭のような第1楽章とは打って変わって、甘く詩情あふれる第2章。(余談ですが、ビリージョエルがこのメロディを This Song という歌に取り入れています。(^_-)-☆)

映画ではこの曲が2回演奏されます。1回目はベスによって。そして2回目は、フレデリックがジョーに会いにマーチ家を訪れる場面で。

Friedrich at Jo's House - Little Women 2019

(演奏の場面は 1:55 くらいから。映画を見てない方はご注意を)

音楽によって、そしてベスによって導かれた運命に、胸が熱くなりました。

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