セレンディピティ ダイアリー

映画とアートの感想、食のあれこれ、旅とおでかけ。お探しの記事は、上の検索窓か、カテゴリーの各INDEXをご利用ください。

富山 はま作

2021年04月30日 | グルメ

日本橋室町の三井記念美術館を訪れる前に、富山県のアンテナショップ「日本橋とやま館」の中にある和食レストラン「富山 はま作」さんでお昼をいただきました。

席がゆったりとして、明るい白木を中心とした、シンプルで清潔感のあるインテリア。ひのきのカウンターの向こうには一面金箔を使った絵と思いましたら、海越しの立山連峰を描いた組子細工だそうです。

お昼は、ランチセット(定食)の中から、それぞれ選んでいただきました。

こちらは「富山米わっぱ」です。東銀座「新湊はま作」で17年間愛されたお味だそうです。白海老唐揚げ・鮭・しらす・いくら・シイタケ・山菜をトッピングした、蒸したわっぱご飯です。

わっぱご飯は、ごはんのおともがぜいたくにのっていて、わくわくしました。富山は米どころでもあるので、ごはんもとてもおいしい。おだしで炊いているのかもしれません。

私は「富山湾刺身定食」をいただきました。多彩な魚で「天然の生け簀」とよばれる富山湾の海の幸をお刺身でいただく御膳です。お惣菜は、揚げ茄子の煮びたし、切り干し大根風のお漬物。そしてお味噌汁にはおぼろ昆布がたっぷり入っていました。

この日のお刺身は、説明していただいたのですが、全部は覚えておらず... 左はたしか鰆のあぶり、その隣は鯛の昆布締め?とほたるいか、その隣はブリの幼魚(名前は失念)、あと手前右は貝です。どれも海の恵みとよぶのにふさわしく、上品なおいしさでした。

店内には富山の工芸品がさりげなくセンスよく飾られていて、ショップでも買うことができます。ショップにはこのほかにもおいしそうな食品がいろいろあって、私もお漬物や瓶詰など、いくつか買っていきました。

***

美術館のあとは、帰りに学芸大学のフランス菓子店 patisserie RUE DE PASSY (リュードパッシー) でケーキを買って、家でお茶の時間にしました。

右はオペラピスタッシュ、ピスタチオで作られたオペラケーキです。左はブルーベリーとカラントをあしらったフロマージュ、レアチーズケーキです。繊細なお味を堪能しました。

コメント (4)

小村雪岱スタイル 江戸の粋から東京モダンへ

2021年04月29日 | アート

三井記念美術館で開催されていた「特別展 小村雪岱スタイル 江戸の粋から東京モダンへ」を見に行きました。(4/18で終了、4/27~6/13 富山県水墨美術館、7/8~8/29 山口県立美術館に巡回)

小村雪岱(1887-1940) という日本画家は存じ上げませんでしたが、ポスターを見た時に福田平八郎のデザイン性に近いものを感じ、ひと目で引き付けられました。

その後、大正から昭和にかけて、画家の枠を超えて商業美術の世界で活躍し、装丁や挿絵、舞台美術、また発足間もない資生堂意匠部で、商品や広告デザインに携わったと知り、私のアンテナがぴぴっと反応したことに、大いに納得しました。

***

本展では、装幀、挿絵、舞台装置画、肉筆画、版画など、雪岱の画業が総合的に紹介されているとともに、雪岱にインスピレーションを与えた鈴木春信の作品や、同時代の工芸品も展示されていました。

壮麗な三井本館7階にある、三井記念美術館の重厚でクラシックな内装や調度もすばらしく、心豊かなひと時をすごしました。なお、展覧会はコロナ対策として日時指定予約制となっていました。

『小村雪岱画集』表紙絵「柳に梅花図帯」より  木版多色刷 1942

濃紫の地に、幾本も垂れ下がった細い枝が、風にそよいでいるようです。柳の枝の繊細さが梅の愛らしさを際立たせています。

おせん 雨  木版 1941

邦枝完二の新聞小説「おせん」の挿絵から。小説の内容は割愛しますが、人込みの中を逃げる黒頭巾のおせんの姿が右下の傘の間に描かれています。なんともモダンで洒落ていますよね。

おせん 縁側  木版 1941

同じく「おせん」からの一場面。この女性の描き方は、鈴木春信の「夜更け」から影響を受けているとされています。胸元が見えていても清潔感があって、楚々とした魅力が感じられます。

青柳  木版多色刷 1941

畳の上に置かれた鼓と三味線は、おけいこの前か後でしょうか。手前に柳の枝があることで、スポットライトのような効果を生み出しています。雪岱は柳の使い手ですね。

雪の朝  木版多色刷 1941

全体の左下約半分が白い雪、という大胆な構図がかっこいい。雪で煙った柔らかい色調がきれいです。

泉鏡花『日本橋』装幀  冊子 1914

雪岱は泉鏡花の熱心なファンだったそうですが、ひょんなご縁で知り合い、以来、鏑木清方と並び、鏡花作品の装幀や挿絵を手掛けるようになりました。連続性にリズムが感じられ、モダンで軽快なデザインです。

泉鏡花『愛染集』装幀  冊子 1916

三井記念美術館の入口に展示されている、鹿の彫刻に思わずパチリ。

コメント (2)

北欧料理リラ・ダーラナ(2021・春)

2021年04月28日 | グルメ

日比谷で映画を見た後、六本木で待合せして、駅の近くにある「北欧料理リラ・ダーラナ」(Lilla Dalarna) でお昼をいただきました。スウェーデンにある美しい田舎、ダーラナ地方の家庭の雰囲気をイメージしたレストランです。

家庭的な温かみのある空間で、伝統的なスウェーデン料理がいただけるのが気に入って、これまでに何度か訪れています。過去記事はこちら。

北欧料理リラ・ダーラナ (2018.12) クリスマスの飾りつけがすてきです
六本木「リラ・ダーラナ」の北欧料理 (2013.19)

前回訪れた時はクリスマスでしたが、今回はイースターの飾りつけでした。

テーブルの上にイースターエッグと、イースターバニー。テーブルクロスもたまご色。

ランチメニューは8種類あり、どれもサラダとパン/ライス、食後の飲み物がつきます。

野菜もりもりのサラダ。グリーンの下にはスパゲティサラダともやしサラダが隠れています。

自家製のほかほか柔らかいパン。

私は日替わりランチにしました。この日は、ポークピカタでした。

こちらはチキンオバジン (オバジンのチキン添え) です。オバジンというのはこちらのお店の名物料理?で、米ナスのアンチョビグラタンです。

揚げた米ナスにアンチョビの塩味を効かせたクリームグラタンですが、これはチキンソテーが添えられいてボリュームたっぷり。下にライスが敷いてあり、ドリアのようでした。

この他にミートボールやサーモンなどの北欧の伝統料理がラインナップ。時々足を運びたくなるお店です。

コメント (2)

ノマドランド

2021年04月25日 | 映画

フランシス・マクドーマンド主演。それぞれの事情から車上生活という道を選び、アメリカの大地を移動しながら生きる高齢者たちの姿を、ドキュメンタリータッチに描いた社会派ドラマです。

ノマドランド (Nomadland)

社会性のあるテーマ、壮大な映像、マクドーマンドの渾身の演技に圧倒され、アカデミー賞の有力候補というのも大納得の作品でした。ただ、映画としてはすばらしかったですが、主人公の生き方に共感することは、私にはなかなか難しかったです。

冒頭、クリスマスシーズンに梱包の仕事をするために、大きなバンでAmazonの倉庫に向かう主人公ファーン(フランシス・マクドーマント)。つい先日、Amazonで労組結成の是非を問う従業員による投票の行方が注目されていたこともあり、タイムリーな展開でした。

Amazon従業員、労組結成を否決 組合側は異議(日経 2021.04.10)

Amazonのブラック労働はこれまで何度も取り沙汰されてきましたが、映画の中のファーンのことばを聞くに、彼女たちにとっては待遇がよく、働きやすい職場なのだと理解しました。たしかに国立公園の清掃や、農作物の収穫の方がずっと過酷そうでしたものね。

映画はエモーショナルな描写を避け、ドキュメンタリー風に作られていましたが、エンドロールを見て、実際にノマド生活を送っている方たちが、ご自身を演じていらっしゃることを知りました。そこに違和感なくなじむマクドーマンドの演技は見事の一言でした。

ファーンは、住んでいた企業城下町が不況のために消失し、夫が亡くなったのを機に、バンで移動しながら生活する道を選びます。でも、もしも私が生活を縮小せざるを得ない状況に陥ったとしたら、おそらくどこかの町で定住する道を選ぶだろうと思いました。

アメリカの大自然やドライブ旅行は私も好きですが、それが楽しいと感じるのも、帰る場所があってこそと思うから。それに、(誤解を招くことを恐れずにいうと) 文化的な刺激にアクセスできない生活は、おそらく私には耐えられないだろうと思います。

それはDNAに沁み込んだ、狩猟民族と農耕民族の違いでもあるかもしれません。本作とまったく状況は異なるものの「イントゥ・ザ・ワイルド」のような生き方を求める人は一定数いるのでしょう。(本作でも、アラスカを目指すという人がいました。)

ファーンには2度、定住生活を選ぶ機会がありました。1度目は妹からの誘いですが、私には妹の心配が手に取るように理解できました。でもファーンは、妹を取り巻く世界の、行き過ぎた資本主義を肯定する考え方を決して受け入れることはできなかったのでしょうね。

そして2度目の誘いはノマド仲間のデヴィッドから。家族とともに生きる道を選んだデヴィッドからサンクスギビングのディナーに招かれたファーンは、おそらく一人で生きていく以上の孤独を、この時感じたのだろうと思います。

間違いなく現代のアメリカを描きながら、どこかアメリカン・ニューシネマのテイストも感じる作品でした。

コメント (12)

アップリンク渋谷が閉館

2021年04月23日 | +映画のよもやま

渋谷にあるインディペンデント系の小さな映画館「アップリンク渋谷」が、2021年5月20日をもって閉館するというニュースを目にしました。

アップリンク渋谷閉館のお知らせ

アップリンクは、1995年にイベントスペースとしてはじまり、2004年に渋谷東急本店の奥、今は通称 ”奥渋” とよばれるエリアの一画に日本一小さい映画館としてスタートしました。

***

私のブログを振り返ると、初めて訪れたのは2011年とあります。会議室のような小さい空間にばらばらの椅子が並べられ、手作り感満載の温かい雰囲気が、心地よい思い出として記憶に残っています。

ここで上映される映画は、映画人の強い思いが実って公開された作品ばかり。ここでしか上映されていない作品も多く、私もドキュメンタリーや、あまりなじみのない国の映画など、どうしても見たい作品があって、この映画館に何度か足を運びました。

***

過去にアップリンクで見た作品の過去記事を引用させていただいて、アップリンクがどういう映画館だったかをお伝えするとともに、惜別のメッセージに代えたいと思います。

グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独 (Genius Within: The Inner Life of Glenn Gould)

大好きなピアニスト、グレン・グールドの伝記的なドキュメンタリー映画を見に訪れたのが、私のアップリンクとの出会いです。

生い立ちから音楽家としてのさまざまなエピソード、演奏シーンと、グレン・グールドの魅力をたっぷり堪能しました。初めて訪れたアップリンクの印象についても触れています。

ふたりのイームズ 建築家チャールズと画家レイ (EAMES: the architect and the painter)

こちらも大好きなアメリカのミッドセンチュリーモダンの建築家、デザイナーである、チャールズ&レイ・イームズ夫妻のドキュメンタリーです。デザイナーとしての活躍の他に、映画製作などさまざまな活動についても知りました。

アップリンクの受付で購入したイームズの本は、今も大切にしています。

オマールの壁 (Omar)

初めて見たパレスチナ映画は、衝撃で見た後もしばらく打ちのめされる、でもすばらしい作品でした。今も心に残っています。

映画を見たあとで、アップリンク1階のエキゾチックなカフェで、タイアップメニューのアラブのお茶とお菓子をいただいたこともうれしい思い出です。

サーミの血 (Sameblod / Sami Blood)

スウェーデン北部の少数民族サーミの血を引く監督の長編デビュー作で、サーミの人たちによって演じられています。サーミの人々と、彼らのたどってきた苦難の歴史について知り、衝撃を受けました。この年のベストにも選んでいます!

こうしてラインナップを見てみると、やはりアップリンクは唯一無二の映画館だったのだなーという思いを強くしています。

アイリッシュマン (The Irishman)

ここなつさんからコメントをいただいて、本作のことを思い出しました。男気あふれる (という言い方は今の時代にはポリコレ的にふさわしくないかもしれませんが) マフィアの世界に魅了されました。

本作は Netflix での配信映画でしたが、アップリンクが劇場上映してくれたことで、私も見ることができました。映画ファンの気持ちによりそう、アップリンクならではの心憎い企画でした。

コメント (6)

小割烹おはし 六本木

2021年04月17日 | グルメ

日比谷のシネマズシャンテで映画を見た後、六本木で待合せして、ヒルズの中の定食屋さん「小割烹おはし 六本木」でお昼をいただきました。焼き魚や煮魚、お刺身などの和定食の種類が充実していて、どれもおいしそうです。

こちらは季節の定食で、この日はかつおのたたき定食でした。小鉢にお味噌汁、ごはんのおとももいろいろついています。

かつおのたたき用に、塩、しょうが、ポン酢と調味料が並ぶ中、マヨネーズがあるのがおもしろい。でも意外と合うかもですね。

私は迷うことなく「おはしの籠盛りおばんざい御膳」にしました。いろいろなお料理が少しずつ楽しめるのがうれしい。見た目も美しいです。上野の韻松亭さんを思い出しました。

籠の中はこんな感じ。手前から時計回りに、お漬物と梅酢らっきょう、かぼちゃの煮物、出し巻き卵、まぐろのお刺身と湯葉、きゅうりとトマト、精進揚げ、中央は南蛮漬けです。

おいしくいただきました!

コメント (4)

ミナリ

2021年04月14日 | 映画

1980年代、カルフォルニアからアーカンソー州の農村地帯に引越してきた、韓国系移民の家族の苦労を描いた物語です。

ミナリ (미나리 / Minari)

アカデミー賞の有力候補のひとつで、良質な小品を数々世に送り出している A24 と PLAN B がプロデュースしている作品とあれば、否が応でも期待が高まりますが、その期待を上回る、静かに心を震わせるすばらしい作品でした。

映画の中ではさまざまな問題が家族を襲いますが、柔らかい色調に彩られた映像は美しく、ことさらにドラマティックに事を荒立てることもなく、淡々と物語が進んでいくので、見終えた時にはむしろあっけなく感じたほど。

でもそれからじわじわと感動が広がって、気がつけば胸が締めつけられるような気持ちでいっぱいになっていました。今から20数年前、初めてアメリカ・バージニア州で暮らしはじめた頃の記憶が少しずつよみがえりました。

映画のアーカンソーほど田舎ではないけれど、日本人がほとんどいない、日本の食材もほとんど手に入らない場所で、苦労を苦労と思わなかったのは、会社のバックアップがあったこともあるし、若さゆえのバイタリティと、ノー天気が性格が幸いしたのかもしれません。^^

サザン・ホスピタリティと呼ばれる南部の人たちの温かさを、映画を見ながら思い出しました。

住む場所を決めるのに、医療と教育を第一に考える母親と、農業で生活基盤を築こうとする父親。家族を大切に思う気持ちは同じなのに、方向性が違ってしまうのは、洋の東西を問わず、ありがちなエピソード。

祖母が娘を思って、はるばる故郷から唐辛子と煮干し(そして現金も)を持ってくる場面もぐっときました。字も読めないし、家事もできないという設定でしたが、ひとりで韓国から飛行機に乗って(おそらくトランジットで)やってくるだけでもすごいことです。

祖母の存在がコメディリリーフというか、いいアクセントになっているなーと思いました。

あと忘れてはいけないのは教会の存在。私も今は幽霊クリスチャンですが、当時はアメリカの教会にもちゃんと通っていたので、映画に登場する、教会の善意あふれる人たちがとても懐かしかった。

それから東洋人の女性は、アメリカ社会にいるとほんとうに子供みたいに見られてしまうのよね、というのも思い出しました。当時は私もお酒を買うたびに、IDを見せて、と言われたものでした。(さすがに2度目のニューヨークの時にはそれはなかったけれど)

アメリカ人とのつきあいよりも、むしろ同胞とのつきあいの難しさが、さりげなく描写されていたのもあるあるでした。

映画の感想というより、私の思い出話になってしまいましたが、本作を見て、私と同じようにアメリカにやってきた頃のことを思い出したアメリカ人はきっと多かったのではないかと想像します。

アメリカでここのところ再熱している人種差別問題に心を痛め、多くの人に、アメリカがどういう国であったかを思い出してほしいと願わずにはいられませんでした。

コメント (6)

THE CITY BAKERY BRASSERIE RUBIN

2021年04月10日 | グルメ

赤坂アークヒルズにある THE CITY BAKERY BRASSERIE RUBIN (シティベーカリー・ベーカリー&カフェ) でお昼をいただきました。

ニューヨーク発のシティ・ベーカリーがプロデュースしているレストラン。ジャンルとしてはアメリカ料理になるのでしょうが、メニューはニューヨークらしく多国籍なお料理がラインナップされています。

カラヤン広場に面していて、テラス席もありますが、この日は少々肌寒かったので屋内の席を案内していただきました。黒を基調にしたシンプル&モダン、スタイリッシュなインテリアです。

夫のお料理についているサラダと、私のお料理についているスープ。スープはたぶんポテトのポタージュです。

バスケットいっぱいのシティ・ベーカリーのパンは、フォカッチャ、バゲット、ハードブレッドの3種類でお代わり自由ですが、これで十分すぎる量でした。オリーブオイルをディップしながらいただきました。

チキンのサブジ。サブジとは、インドの家庭料理で野菜の炒め煮だそうです。

こちらのお店ではケバブスパイスをすり込んだチキンと、ポテト、なす、紅芯大根などさまざまな野菜を煮込んだスープカレー風のお料理が、スキレットでサーヴされました。レモンをぎゅっとしぼっていただきます。

私は、モロッコ風イワシローストとライムオレンジサラダにしました。ケールやレタスなどの葉物野菜にナッツや柑橘類が散らしてあるのが、アメリカらしい。クミンが香るイワシのローストとともにおいしくいただきました。

食後のコーヒーは、香り豊かで華やかなお味。色違いでサーヴされる、カップとソーサーがかわいかったです。

***

ニューヨークのシティベーカリーは私にとっても懐かしいお店ですが、2019年にクローズしていたことを知りました。

NYのシティベーカリーが閉店。約30年の歴史に幕 (mashup NY)

寂しいですが、こういう形で日本に遺伝子が受け継がれている?のは、せめてもの幸いかもしれません。

コメント (2)

パスタ・プリマヴェーラ @イースター2021

2021年04月09日 | 料理

4月4日のイースターサンデーのお昼に、パスタ・プリマヴェーラを作りました。

パスタ・プリマヴェーラは野菜を使ったシンプルなパスタ。名前は ”春のパスタ” を意味するイタリア語ですが、アメリカ生まれのパスタです。

ニューヨークの有名レストラン Le Cirque のシェフ、Sirio Maccioni によって1975年に考案され、1977年にNew York Times で紹介されたことから広く知られるようになりました。アメリカのイタリアンレストランにはたいていある、ポピュラーなお料理です。

***

ルールは特にありませんが、グリーンの野菜で統一したり、カラフルにしたり、春らしく仕上げるのがコツ。私は今回、ブロッコリー、そら豆、レッドオニオン、プチトマト、ハムも少々加え、隠し味にアンチョビとケイパーを使いました。

上にはマイヤーレモンの皮をマイクロプレインで削り、広島県産レモスコを少々振りかけていただきました。さっぱりとしておいしかったです。

***

この4月から私にもちょっとした変化がありました。

今年の初めに仕事のことで悩んでいると少々触れましたが、あれから思い切って環境を変えることを決意して、組織内で転職しました。まだ1週間とちょっとですが、のびのびと自分らしくいられる幸せをかみしめています。

今までせまい世界で思い悩んでいたことがばかみたい。でもこれもまた、私にとっては次に進むために必要な試練だったのだろうと思います。(プラダを着た悪魔のアンディのようにね) いくつになってもチャレンジすることを恐れずにいたいです。

最近新しく買ったシャドウは、ADDICTIONのもの。濃いめのピンクに見えますが、実際には淡いパープルといった感じです。パレットで買うと使わない色があまってしまうので、私は単色で買って組み合わせるのが好きです。

コメント (4)

盤上の向日葵

2021年04月06日 | 

2018年本屋大賞第2位。将棋の世界を舞台に重厚な人間ドラマを描いた、長編ミステリーです。

柚月裕子「盤上の向日葵」(上) (下)

年末に実家を訪れた時に、偶然TVでやっていたドラマが思いの他おもしろく「砂の器」を思わせる展開にぐいぐいと引き込まれました。思わずタイトルをチェックしたら、後から原作があることを知り、読んでみたくなりました。

page turner とは、まさにこういう小説をいうのでしょう。私は将棋の知識はまったくないですが、それでも十分楽しめました。文庫版の下巻の初版が出版された際に、大量の誤植が発覚し、100カ所以上の正誤表が発表されたことも話題になっていたようです。^^;

中公文庫「盤上の向日葵」に大量誤植 先手と後手が逆 (朝日新聞デジタル)

***

私は文庫で読んだのですが、静の上巻、動の下巻というくらいテイストががらりと変わっていて驚きました。上巻では、埼玉県の山中で名匠の将棋駒を抱いた白骨死体が発見され、事件の核となる駒の持ち主を探る2人の刑事の物語と

将棋界に彗星のように現れた異端の天才棋士、上条桂介の不幸な生い立ちの物語とが交互に進行していきます。砂の器のセオリーから、桂介が事件に関わっているであろうことは容易に想像がつきますが、下巻での一筋縄ではいかない結末にうなりました。

***

下巻の中で私が一番好きな場面は、東京大学に入学した桂介が将棋部を訪ねるところです。私はなぜか「シェーン」のような西部劇を思い出しました。

はぐれもののガンマンが、荒野の酒場を訪れると、そこでは荒くれどもが遠巻きにこのガンマンを値踏みしている。やがてリーダーがガンマンに勝負を挑むと、仲間の一人がリーダーに近づき ”手加減してやれよ” とそっと耳打ちする... そんな場面が思い浮かびました。

***

でも私は、この後に登場する真剣師、東明重慶のことはどうしても好きになれなかったです。彼には小池重明という実在のモデルがいるそうで、人間としてはクズだけど、棋士としてはどうしようもなく魅力的な人物ということになっていますが

いやいや、人間としてクズというだけで、私としては受け入れられませんから。^^; 桂介が東明に出会わなかったら、彼はもっと違った人生を歩んでいたのではないか、と思わずにはいられませんでした。

***

私にとって将棋というのは、冷静沈着、知的な頭脳ゲームというイメージでしたが、実は格闘技のような激しい世界もあるのだということを、この作品によってはじめて知りました。

オール読物 2021年2月号

特集「将棋」を読む で、作家の黒川博行さんと柚月裕子さんの対談があったので図書館で借りてきました。小説を読んだ後のデザート感覚で、こちらも楽しめました。

コメント (6)