セレンディピティ ダイアリー

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三島の定宿だった下田のホテル

2023年11月26日 | 日々のこと

作家の平野啓一郎さんのファンで、平野さんからのメールレターを読むのを楽しみにしています。11月24日に届いたメールレターに、三島由紀夫の定宿だった下田のホテルのことが書かれていて、思わず目を留めました。

ちなみに平野さんは小説の他に、三島由紀夫研究でも知られていて、2023年4月には大作「三島由紀夫論」を刊行されています。(表紙は、三島由紀夫の新潮文庫のデザイン!) 恐れ多いですが私も三島は好きな作家です。

三島のことですから、定宿はきっと老舗の日本旅館だろうと想像していたところ、なんと私たちが2か月前に宿泊した下田の東急ホテルだということです。(下田の東急ホテルに宿泊した時の記事をリンクします。写真は再掲ですが、その時撮ったものです。)

南伊豆 ビートリゾートの休日 & シュノーケリングを楽しむ (2023-09-18)

11月21日は、下田で三島由紀夫と海についての講演をしてきました。
三島は、1964年から亡くなる1970年まで、毎年夏に1ヵ月間、下田の東急ホテルに家族と滞在していました。(平野さんのメールレターより)

僕は、三島が執筆部屋に使っていた503号室に今回宿泊しました。(同メールレターより)

私たちが宿泊したのもたしか5階だったと記憶していますが、部屋番号までは覚えていなくて。でも503号室ではなかった気がします。次回宿泊する機会があったら、503号室に宿泊してみたいです。(内装は当時とまったく変わっているそうですが)

三島が日光浴をしたプールを見て(彼はカナヅチでした)、ビーチに降りてゆく階段も歩いてみました。(同メールレターより)

三島もこのプールサイドですごし、ビーチに降りていく階段を下りていったんだなーと思うと感慨深いです。

平野さんのインスタグラムを見たところ、このホテル、平野さん原作のNHKドラマ「空白を満たしなさい」(私は原作は読んでいますがドラマは未見) のロケ地にもなっていたとか。平野さん自身もご存知なかったそうです。^^

思いがけない偶然でしたが、このホテルに特別な思いを抱きました。

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話はがらりと変わりますが、この秋に購入したコスメの話です。

ADDICTIONでアイシャドウを2色購入しました。左は Tamarindo Beach という色でほんのりピンクがかったブラウンです。タマリンド・ビーチというのはコスタリカにあるビーチだそうですが、そのビーチの砂の色に似ているのでしょうか。

右は Cassis という色で、ボルドーのような紫がかったピンク色。どちらも秋~冬にぴったりの色でとってもお気に入りです。

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GOOD MORNING CAFE & GRILL &愛宕山散策

2023年11月25日 | グルメ

11月初めのある休日、虎ノ門ヒルズの目の前にある GOOD MORNING CAFE & GRILL (以下GMC) にお昼を食べに行きました。

GMCは本店が千駄ヶ谷にあった頃、当時通っていた大学の社会人クラスの友人たちとよく行ったお気に入りのお店。クワトロフォルマッジとはちみつのピッツァというものを、初めて知ったのもこのお店でした。

虎ノ門のお店は車で前を通るたびに気になっていました。空きスペースに建てられたコンテナ造りのお店で、ずっと仮店舗だと思っているうちにいつの間にか10年ちかく経っていました。テラス席があり、休日のブランチやランチをのんびり楽しむのにぴったりの雰囲気です。

ランチメニューから私が選んだのはパスタのセット。食事の前にコンソメスープと、カポナータ、フリッタータ (イタリア風オムレツ)、きのこのオイル煮などの前菜盛り合わせ。

こちらはお店のシグネチャーメニューのグッドモーニングバーガー。グリルでぎゅっと焼き上げたパティが、シンプルながらとてもおいしい。細めに仕上げたフレンチフライもおいしくて手が止まらない。

この日のパスタは、シーフードのラグートマトスパゲティ。たたいて細かく刻んだシーフードは、ミートのラグーとはひと味違った食感でした。

食後にコーヒー (私はカフェラテ) をいただきました。ミルクのほのかな甘さが体に優しくしみわたります。

私たちは屋内の席にしましたが、壁が取り払われていて、テラス席のような解放感があるのが気持ちよかったです。

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食事の後にすぐ近くの愛宕山まで散策しました。愛宕山は東京23区で一番高い山ですが、標高わずか25.7mです。江戸時代には眺めがよいというので浮世絵に描かれ、また日本で初めてのテレビ放送もこの山から発信されました。

虎ノ門ヒルズのレジデンス横の坂道を、のんびり10分くらい登ればそこが山頂です。^^

山頂には愛宕神社と、NHK放送博物館があります。愛宕神社は境内整備工事の真最中でしたが、お参りはできるようになっていました。境内の山茶花がきれいでした。

そして愛宕神社といえば有名なのが、出世の階段。

ひえ~っと言いたくなる急な階段ですが、ここは江戸時代に、徳川3代将軍家光公の命により馬にて階段を駆け上って梅の枝を取りに行って献上したという、曲垣平九郎 (くがき へいくろう) の故事にちなんで名づけられています。

階段を下りて見上げると、このような眺めとなっています。

この後は再び階段を上って、NHK放送博物館に寄りました。ラジオ・テレビ放送の歴史と、放送技術の変遷、昔の懐かしいテレビ番組、放送の最新技術の紹介と、無料ながらなかなか見応えがありました。

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ノッティングヒルの恋人 / サタデー・ナイト・フィーバー

2023年11月23日 | 映画

配信で、久しぶりに再見した2作品です。

ノッティングヒルの恋人 (Notting Hill) 1999

この映画は、公開時にアメリカの劇場で見て、その後日本のテレビで偶然見て、今回見るのが3度目でしたが、何度見てもおもしろい。そして最後の記者会見の場面では、何度見ても号泣してしまいます。序盤で、スパイクがTシャツ着て階段を下りてくるところから

オチがわかっているのに、にやにやが止まらない。アナの I am just a girl. は、いつか使いたいと思いながら、いまだに使うチャンスがない。ヒューが Horse & Hound を持ち出す度に笑い転げてしまう。それもこれも、リチャード・カーティスの脚本がすばらしいから。

主演のジュリア・ロバーツとヒュー・グラントはじめ、登場人物がみな魅力的で、ノッティング・ヒルという舞台が魅力的で、そして何よりエルヴィス・コステロの「She」が魅力的。私にはエターナル・ベストというべき、大好きな作品です。

サタデー・ナイト・フィーバー (Saturday Night Fever) 1977

公開時に劇場で見て以来の再見です。当時はビージーズの音楽とトラボルタのダンスばかりが印象に残っていましたが、年を重ね、経験を重ねた今改めて見ると、さまざまな気づきがありました。以下思いつくままに書いていきます。

ウエストサイド物語 (1961) へのオマージュ

ブルックリンの空撮からはじまるオープニング、プエルトリコ移民との確執など「ウエストサイド物語」を彷彿とさせる場面がいくつもありました。主人公の名前も同じくトニー。トニーは悪友たちとつきあっていますが、実はまじめで、頭がきれる青年です。

トニーが恋をするステファニーは、これまでトニーの周りにいた女性たちとはまったく違うタイプ。彼女の白いドレスは、ウエストサイドのマリアを彷彿とさせました。名前がマリアではないのは、上昇志向の強いステファニーが、自分のステップアップのために

有力者の愛人となっているからと理解しました。ステファニーの鼻持ちならない自慢話の数々は、実は劣等感の裏返しなのでしょう。でもトニーは彼女と出会ったことで、これまでの生き方を変える決心をするのです。

トニーの部屋と、狼たちの午後

ファラ・フォーセット、ブルース・リーなど、当時のスターたちのポスターが懐かしい。アル・パチーノに似ていると言われたトニーは、自室のアル・パチーノのポスターに向かって、似ているかな?と自問します。

そのあとの「アッティカ!アッティカ!」(映画ではアディゴ!アディゴ!と聞こえる) というセリフは、映画「狼たちの午後」(Dog Day Afternoon・1975) の一場面ですが、これも映画を見たからこそ、わかったことです。

イタリア系移民と、ブルックリンの今むかし

ブルックリンに住むイタリア系移民の物語といって思い出すのは、シェールの「月の輝く夜に」(Moonstruck・1987)。月の輝く~はイタリア系らしい大家族の心温まる物語でしたが、本作のトニーを取り巻く環境はあまり芳しいとはいえません。

口うるさく、いがみあってばかりの両親。お世辞にも素行がいいとはいえない友人たち。勤務先のペンキ店では仕事ぶりを評価されているけれど、長年働いたところでいいことなんてひとつもない。先の見えない閉塞感の中で、トニーが唯一誇れるものがダンスでした。

当時、白人といっても下層に位置していたイタリア系は、マンハッタンではなく下町のブルックリンに住んでいましたが、そのブルックリンも今は様変わりしています。マンハッタンの家賃の高騰により、ソーホーに住んでいたアーティストたちが

家賃の安いブルックリンに移り住むようになったのを機に、今ではすっかり人気のおしゃれエリアに。2015年の映画「マイ・インターン」(The Intern) ではアン・ハサウェイ演じるイーコマースの社長が、ブルックリンのれんが造りの倉庫をオフィスにしています。

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人種差別、性差別、格差、暴力など、当時の社会問題 (と認識されていたかどうかわかりませんが) が生々しく描かれていて、単なるディスコ映画ではなかったことを、今さらながら知りました。それだけでも見る価値のある作品でした。

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京都旅行記(2023・夏)河井寛次郎記念館

2023年11月15日 | +京都

だいぶ間があいてしまいましたが、京都旅行記(2023・夏)の続きです。前回までの記事はこちら。

1.京都旅行記(2023・夏)松粂さんのミニ会席 ~ 鹿苑寺 (金閣寺)
2.京都旅行記(2023・夏)新島旧邸 ~ kawaCOFFEE
3.京都旅行記(2023・夏)草風土 うしのほね @先斗町
4.京都旅行記(2023・夏)高木珈琲店のモーニング
5.京都旅行記(2023・夏)畳アート @東福寺光明院

畳アートを見た後は、東山五条のオムライス屋さんでお昼をいただいてから、河井寛次郎記念館を訪れました。

清水寺からほど近い住宅街にある、味わいのあるこのお家は、柳宗悦、浜田庄司らとともに民藝運動に携わった、陶芸家の河井寛次郎が生前住んでいた住宅で、現在は寛次郎の記念館となっています。

太い梁と柱、どっしりと風格のある住宅に、寛次郎のぽってりとした厚みのある陶芸作品、ひいては日々の暮らしを見つめ続けた、寛次郎の実直な生き方に通じるものを感じました。

古風で伝統的な日本住宅ながら、どことなくモダンで粋なところも感じられるすてきなお家でした。

住宅から長く続く廊下を通って、奥の窯のあるエリアへと向かいます。白砂が敷かれたシンプルな中庭に、凛とした清潔感を感じました。

廊下にはガラスのケースがあり、寛次郎の作品が展示されていました。ルーシー・リーを思わせる美しいローズピンクにうっとりしました。

八角形ですが、角の取れた四角形といった感じで、やわらかさを感じる器です。温かみのある青色と、幾何学模様の美しさに惹かれました。

寛次郎の作品を見ると、飾りたいというよりは、日常生活に取り入れて日々大切に使ってみたい、と思います。まさに民藝運動が目指した用の美、ここに極まれりです。

廊下を抜けたところから奥は、窯のある作業場となります。これは素焼窯。乾燥した粘土の段階の作品は、この窯に入れて焼きます。

奥の離れも、趣のある建物で、庇に藤棚がありました。この離れにも、寛次郎の作品のほか、東京高等工業学校 (現・東京工業大学) の窯業科を卒業した寛次郎の、克明に記された勉強ノートなどが展示されていました。

さらに奥にある登り窯です。素焼きにした作品は、釉薬をかけた後、この窯で焼きます。登り窯は共同窯で、近隣の20軒が使っていたそうです。このあたりは清水寺に近いので、清水焼の窯元がたくさん集まっていたのでしょうか。

登り窯には階段状に窯が並んでいます。

各窯の室は、こんな風になっています。

再び住宅にもどって、今度は2階に上がってみることにしました。奥に見える階段を上ります。階段の下に収納がついていて、家具のようになっています。

寛次郎の書斎です。

再び1階にもどりました。お座敷の中央に寛次郎のオブジェがあります。

寛次郎は猫を飼っていたようで、今も看板猫が受け継がれていました。ちょっぴりおデブな猫ちゃんが気持ちよさそうにお昼寝の最中でした。

寛次郎の作品、寛次郎の暮らしぶりに触れ、東京にもどったら、寛次郎らが開館に携わった駒場の日本民藝館も訪れよう、と心に決めました。

これで京都旅行記(2023・夏)の〆といたします。長々とおつきありくださり、ありがとうございました。

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ペイン・ハスラーズ

2023年11月03日 | 映画

Netflix配信の新作。エミリー・ブラント主演の社会派?ドラマです。

ペイン・ハスラーズ (Pain Hustlers)

家も職もすべて失ったシングルマザーが、ひょんなことから製薬会社の営業員として採用されて大活躍。会社も大きく業績を伸ばしますが、さらなる金儲けをもくろむ会社が、やがて倫理的に許されざる道へと突き進んでいく...という実話をもとにした作品です。

エミリー・ブラントが好きで、不正を暴く社会派作品が好きなので、配信を楽しみにしていました。見る前は、大好きな「エリン・ブロコビッチ」みたいな作品を想像していたのですが、そこまでの爽快感がなかったのは

エミリー・ブラント演じる主人公のライザ自身が不正に手を染めていたからでしょうか。もっともライザは会社のために、そして自分のために必死にがんばっているうちに、いつの間にか越えてはいけない一線を踏み出してしまったわけで

誰もが陥る危険のある落とし穴、と少し怖くなりました。まわりが見えなくなるくらいに、すべてが順調にいっている時は、ふと立ち止まって冷静にまわりや自分を見つめる勇気が必要、という忠告と受け止めました。

それから本作では、アメリカの拝金主義が「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のようにシニカルに、カリカチュアに描かれていて、もちろんそうではない人もたくさんいることはわかっていますが、少々嫌気がさしました。

ライザが家族とうまくいかなくなったのもお金が原因ですし、その後仲直りしたのもお金のおかげなのですよね。貧しさを知っていても(あるいは知っているからこそ?)お金を手にしたとたんに、高級車を乗り回し、豪邸を手に入れ、人が変わってしまう。

お金はつくづく魔物なのだと思います。子どもの教育も、医療も、そして正義さえも金次第。そんな現実もコミカルに描かれていました。

ノー天気な博士を演じていたのは、アンディ・ガルシアだったのですね。私は宮崎駿さんに見えてしまって困りました。^^

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