1月26日にフランスの作曲家、ミシェル・ルグランが亡くなったというニュースを目にしました。1960年代から、数多くのミュージカルや映画音楽を手掛けてこられ、ジャズ・ピアニストとしても活躍されたミシェル・ルグラン。
私は一番好きな映画音楽家は誰か?と問われれば、最初に頭に浮かぶ作曲家です。特に「シェルブールの雨傘」と「ロシュフォールの恋人たち」が好きで、この2つの映画が組みになった2枚組のCDは大のお気に入り。2つともセリフがすべて歌になっているという画期的なミュージカルで、音楽を聴けば映画を”聴く”ことができます。
ハリウッドのミュージカル映画ももちろん好きなのですが、ヨーロッパならではの哀愁を帯びたメロディに心が震えます。ひとつ心残りなのは、ミシェル・ルグランは何度も来日しているのに、ライブを見逃してしまったこと。チャンスもあったのに、今となっては残念です。
さて、ミシェル・ルグランへの哀悼の気持ちを込めて、好きな3曲を映画のシーンとともにご紹介させていただきますね。どれも代表曲といえる作品です。
The Umbrellas of Cherbourg: opening credits
「シェルブールの雨傘」より 主題歌 (1963)
港町シェルブールを舞台に、戦争によって引き裂かれた恋人たちの物語。2人はのちにそれぞれ幸せになるのですが、完全なハッピーエンドといえないところにフランス映画らしい余韻を残します。名優カトリーヌ・ドヌーヴの出世作ですが、ドヌーヴはじめ歌はすべてプロの歌手が吹き替えをしています。
有名な主題歌は、アルジェリア戦争に出征するギイとジュヌヴィエーブの、シェルブール駅での別れの場面で歌われますが、私はオープニングのインストゥルメンタル・バージョンをご紹介します。石畳の上、クレジットに合わせて色とりどりの雨傘が上下左右に行き来するのが、なんともおしゃれですてきです。
LES DEMOISELLES DE ROCHEFORT - La Chanson des Jumelles
「ロシュフォールの恋人たち」より 双子姉妹の歌 (1967)
シェルブール~と同じく、ジャック・ドゥミ監督・ミシェル・ルグラン音楽・カトリーヌ・ドヌーヴ主演のミュージカル。田舎町ロシュフォールに住み、パリに憧れている双子姉妹の物語で、カトリーヌ・ドヌーヴと実の姉が双子姉妹を演じているほか、ミュージカルスターのジーン・ケリー、ジョージ・チャキリスも出演しています。
オープニングの「キャラバンの到着」は車のCMに使われたこともあるので、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、私が今回ご紹介したいのは「双子姉妹の歌」。フランスのエスプリが存分に味わえる一曲です。
Thomas Crown Affair opening sequence
「華麗なる賭け」より 風のささやき (1968)
こちらはアメリカ映画。スティーブ・マックイーンが大泥棒の大富豪を演じ、彼の正体を暴こうと近づく保険調査員をフェイ・ダナウェイが演じています。スティーブ・マックイーンもかっこいいですが、フェイ・ダナウェイがとにかくゴージャスでしびれます。2人の駆け引きに魅了されました。
主題歌の「風のささやき」(The Windmills of Your Mind) のシャンソンのような憂いのあるメロディにも惹かれます。劇中にも登場しますが、ご紹介するのはオープニング。スプリットスクリーンがかっこいい。