招待券をいただいて、乃木坂の国立新美術館で開催中の「マティス 自由なフォルム」展に行ってまいりました。
ポスターのメインビジュアルは「ブルーヌードIV」(1952) 。オルセー美術館所蔵、マティスの切り絵の代表的作品です。肉体賛歌を感じる、私も大好きな作品です。今回の美術展ではニースのマティス美術館が所蔵する作品が多く展示されていました。
マティス展は、思えば昨年の夏に行ったばかりですが
【過去記事】マティス展 (2023-08-02)
今回は特に、舞台衣装やタペストリーの数々が心に残りました。また、前回映像で見たヴァンスのロザリオ礼拝堂を、再現展示で体感できたのも楽しかったです。絵画のみならず、総合芸術家としてのマティスの魅力を堪能しました。
これはマティスの作品ではなく、マティスの所有品で「赤いムシャラビエ」というタイトルの北インドのタペストリーです。ムシャラビエというのはアラブの格子出窓だそうですが、刺繍とアップリケが施され、透かし模様の入った手の込んだものでした。
エキゾチックな赤色がいかにもマティス好み。このタペストリーが背景に描かれたマティスの作品「小さなピアニスト、青い服」(1924) と並んで展示されているのも、おもしろい趣向でした。
ストラヴィンスキーが作曲したモダンバレエ「ナイチンゲールの夜」が1920年にパリで初演された時、マティスが美術と衣装を担当しました。クラシックバレエとはひと味違う衣装が斬新。バレエの映像も迫力があって、興味深かったです。
「ポリネシア、海」(1964) 1964年のマティスの切り絵をもとにしたタペストリーです。
ここから先の展示室は写真撮影可となっていました。
「花と果実」(1952-53) 写真だとお伝えしにくいですが、5枚のキャンバスを並べた大型の作品です。果実はどこに? 中央の左寄りに、オレンジ3つが3組描かれています。
テラコッタのタイルが12枚並べてあります。どれもマティスらしいカラフルな切り絵のモチーフです。ワカメ?のように見えるのは「パルメット」というヤシの文様のようです。
「蜜蜂」(1948) こういう幾何学的な作品、好きです。蜜蜂はどこに? おそらく白と黒の四角で構成されているのが蜜蜂を表しているのだと思います。
前回のマティス展と同様、ヴァンスのロザリオ礼拝堂に関する展示です。マティスは礼拝堂の調度品だけでなく、司祭服一式もデザインしました。色違いで6種あり、こちらは白地の司祭服一式です。海藻類のフォルムがデザインされているということです。
フィナーレを飾るのは、ヴァンスのロザリオ礼拝堂の再現展示です。前回のマティス展で見た映像が、立体的に再現され、臨場感をもって体感することができました。
ライティングで、朝から昼、夕方、そして夜へと日光の移り変わりが表現され、真っ白な礼拝堂内に反射する、青と黄色のステンドグラスの模様がとてもきれいでした。