夫の誕生日のお祝いランチに、まだ~むさんに教えていただいた奈良のアンテナショップ「奈良まほろば館」2階にある Restaurant & Bar TOKi に行ってまいりました。奈良まほろば館は、以前は日本橋室町にありましたが、いつの間に新橋に移転していたのですね。
室町にあった時はたしかショップのみだったと記憶していますが、今回レストランができて、とてもうれしいです。落ち着いた雰囲気の中、ゆったりと食事が楽しめる、洗練された大人の空間でした。
席数が抑えられていて、静かにくつろげるのがよかったです。テーブルの上のナプキンが、きちんと折られているのではなく、ふわっと泡のように置かれていたのが新鮮でした。
こちらのお店は、奈良にあるスペイン料理レストランとのコラボレーションで、奈良の食材を使ったモダンなスペイン料理がいただけます。週末はランチ、ディナーともにコースのみとなっています。
テーブルの上に置かれた本日のコース名は「奈良・東京・スペイン『冬』」とありました。蛇腹に折られたメニューに、謎めいたお料理名が書かれていて想像をかき立てます。メニューを押さえているのは、シャーレー風のガラス器に入った薬師寺の石です。
飲み物は、夫は奈良の日本酒「大倉」をいただきました。少し重さのある日本酒で、力強さを感じるお味です。酒器は奈良県の赤膚焼。端正な美しさに見惚れました。
私は、橘花 KIKKA GIN という奈良のクラフトジンを、トニックウォーターで割っていただきました。柑橘系の清涼感があって口当たりよく、私の好きなお味でした。お食事にもよく合いました。
さて、最初のひと皿は「分解再構築 カンパチ・春菊・白菜」というお料理です。なにやら難し気な名前ですが、私はスペインのエル・ブリのお料理を思い出しました。
というのも、これは日本の鍋料理を分解し、前菜に再構築したお料理なのです。湯引きしたカンパチ、春菊のソース、生の白菜の薄切りに、りんごの薄切りをあわせ、鍋特有の白菜の甘さを表現。そして、ねぎのような細い薬味が添えられていました。
「冬の香りのソパ 土の香りの芋」という名のお料理です。ソパとは、スペイン語でスープのこと。冬野菜のねぎを使ったポタージュの中に白子、上に香ばしいお芋のチップスが添えられています。
器は奈良県の赤膚焼。2月にちなんで器の外側に「福は内」と小さく書かれ、スープを全部いただくと、器の底になすびの形のおかめの絵が現れる、という遊び心あふれる演出でした。
「秋に咲き、冬に楽しむ」という名のお料理。タイトルはスペイン料理にかかせない、サフランのことを指しています。お料理は、奈良の名産、三輪そうめんを使ったパスタ料理で、サフランを使ったソースであえてあります。
右に添えられているのは、北海道産の牡蠣。牡蠣も冬には欠かせない食材ですね。サフランとは意外な組合せですが、よく合いました。
「バカラオ・ピルピル 結崎ネブカ」お魚料理です。バカラウとは、干し鱈のことです。以前、ポルトガル料理にはまっていた時に、バカリャウ(干し鱈) をよくいただいたのですが、スペインも地理、文化が近いので干し鱈をよく食べるのですね。
【過去記事】ポルトガル料理を楽しむ (2009-11-25) 渋谷「マヌエル」のポルトガル料理 (2013-06-11)
ピルピルというのは、もどした干し鱈を焼いた時に皮が縮む時の音、結崎(ゆうざき)ネブカは大和野菜(奈良の野菜)のねぎです。
お肉料理の「鴨と蕎麦」。肉厚の鴨肉がとてもおいしかったです。スタッフの方が、途中でグラスに入ったわさびの一口かき氷のようなものを持ってきてくださって、それを鴨肉の上にのせて、味変していただきました。
デザートは「タルタ・デ・サンティアゴと奈良の栗」。タルタ・デ・サンティアゴはスペイン伝統菓子のアーモンド・ケーキですが、泡々で隠れていますね。左は奈良の栗を使ったアイスクリームです。鹿の絵の描かれたかわいい食器は、こちらも赤膚焼です。
食後の飲み物はコーヒーなどもありましたが、せっかくなので奈良のお茶3種類の中から、紅茶(奥)とほうじ茶(手前)をいただきました。色が淡くて驚きましたが、お味はまぎれもなく紅茶とほうじ茶。まろやかで優しいお味でした。