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今日は、「世田谷区いのちの日フォーラム」の講演を聴きに行きました。
基調講演 上田紀行先生 テーマ「生きる意味」
(文化人類学者・東京工業大学大学院準教授)
上田先生は、日本で初めて「癒し」という言葉を用いた癒しブームの
立役者。著書「生きる意味」は、2006年大学入試で出題率第1位と
注目を集めたそうです。
12月1日は「いのちの日」です。
世田谷区では、平成19年から12月第1週に「いのちの日フォーラム」
を開催しています。
私は、これまで、自殺対策の議会質問を数々重ねてきましたが、この
フォーラムも、行政が議会質問を真摯に受け止めてくれた結果なので、
感慨深いです。
「地域の自殺対策を推進する地方議員有志の会」で自殺予防や遺族
ケアが進むよう活動してる中で、お互いの自治体の施策の状況を情報
交換し合っていますが、なかなか行政が理解を示さない、というところ
もあります。
しかし、世田谷区では、自殺対策のことをまっすぐに受け止め、対策を
進めてくれています。まだ十分ではありませんが、質問を始める前に
比べたら、本当に数々の施策が実現しています。評価したいと思います。
上田先生のユーモアも交えてのお話は、命というテーマで重い部分が
あるはずなのに、楽しく、しかし(ご自身の大変な体験も含み)示唆に
富んだすばらしい講演でした。
父親が2歳半の時に失踪してしまい、母親と二人でがんばってきた。
自分を支えていたのは母親が苦労している「男性社会への怒り」だった。
しかし、思春期になった時、母子密着の状況に葛藤し、ノイローゼになり、
カウンセリングも受けた…、そうです。
「交換可能な人間(=誰でもよい)」反対は「かけがえのない人間」。
今の日本社会はそれが薄れている。支えがなくなってしまった社会
である。
絶望した人が、教会に行った時、夜中でも開いていて気持ちが救われた、
という例がある。しかし、お寺は閉まっていた。
どうしようもなくなった時、気持ちがボロボロになってしまった時、ここに
来れば大丈夫、支えてもらえる、という場所があるかどうか。
支えがあれば、人は自由になれる。
「生きる意味」とは、傷ついた時は絶望的だが、どんな逆境にあっても、
必ず大きな流れの中では、生きる意味がある…、ということ。
「スリランカ」の悪魔払いの話も興味深かったです。
ちなみに、上田先生は、春風亭小朝さんが従兄弟で、妻はNHKアナウン
サーの武内陶子さんです。
著書「生きる意味」岩波新書、「かけがえのない人間」講談社、
「癒しの時代をひらく」法蔵館、「がんばれ仏教」NHKブックス
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