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異端児と言われた行動とは『五代友厚』

2019-02-18 08:34:45 | 歴史から学ぶ

@「異端児」と言われる所以はなんなのか。そこから想像できるビジネスマンの行動とは。幕末から明治にかけた薩摩藩の商売人五代友厚の行動は、社会構造・商売・外国等を十分理解し、それを自分自身で勇気を持って実践する事だった。特に外国人に対して、人をどこまで信頼し、信用し、任され、最後には任すことができるのかではなかったのか。 時代がら「外国を知る」為の日々の努力が一介の薩摩家臣五代を上海・欧州まで行かせる行動に繋げている。文中にある「西洋人は、自分の才能に応じて生涯忠実に生き抜く」による実践、それは江戸時代の生き様からは外れた「異端児」的な行動になったのだろう。五代の場合、薩摩藩の財政が乏しいにもめげず、莫大な額の契約を外国人と対等に折衝する度胸と勇気はまさに「異端児」であるからできたのかもしれない。それには外国人の特性など十分な知識を持ち合わせていたからに違いない。現代、日本人の外国との折衝、交渉能力は欧米人と比較すると非常に劣っている。それは単に語学力だけではなく、歴史背景からあらゆる習慣に至る予備知識の無い人が多い事でも分かる。 現代における言葉の壁は高い。それは小学高学年から高校・大学まで「英語教育」を受けているにも関わらず、人とのコミュニケーションの基本「会話」ができる学生はほとんどない。何のための「英語教育」なのか。「受験の為」とは言え、9〜10年以上、大学卒業しても、「役に立たない語学勉強」は不要だとは思わないだろうか。また、幾何学、微積分なども同じであれば、生活で必要な勉強・教養、例えば歴史背景からの人の道・社会の仕組み・納税の仕組み(年金・税申告)・お金儲けの方法・生活設計の仕方などが必須だと思う。 何故、実用的な教育がなされないのか、不思議に思った事はないだろうか。

『五代友厚』高橋直樹

  • 嵐に煙る桜島。薩英戦争で英国艦隊の捕虜となった五代友厚は「薩摩若者を留学させたい」と申し出る。攘夷主流の中、裏切り者の汚名を晴らし、藩論を覆して英国へ。そこで怪しげなフランス貴族と運命の出会いが。帰国後、次の焦点は大阪と確信。造幣寮開設に尽力し、商工会議所を設立する。現在の大阪を「創った」男の奮闘を描く。
  • 薩摩藩の首脳になっていた大久保利通を英国との賠償問題で五代友厚自らが交渉を進めていくところから話が始まる。賠償請求は2万5千ポンド、およそ6万両。そこで五代は幕府が新政府になれば肩代わりでき、薩摩藩は踏み倒せると踏んだ。また、五代は薩摩から英国に留学生の受け入れをお望み、自らも欧州での見聞をすることになる。トーマス・グラバーが手配したグラバー号には五代始め通訳の堀、その他使節団、幕府からの密偵(斎藤辰吉・後の中野梧一)含め上海での汽船購入、上海見学、アームストロング砲、ガス灯などを視察、日本の時代遅れを感じ取った。その後英国に到着、ジャーディン・マディソン商会を紹介されて様々な武器・機械工場を見学する。その中でも気になったのは地下鉄であった。また滞在中にフランス貴族のモンブラン伯爵との出会いはその後の船・武器の調達など支援してくれた人物であった。
  • 五代の異国人のイメージは「西洋人は、自分の才能に応じて生涯忠実に生き抜く」とした人生論を信じていたこと。
  • 五代とグラバーとのキッカケは、日本と上海との金銀比較で数倍の開きがあり日本の小判を上海で交換すると数倍の洋銀になることを教え、巨額な利益を得たことが始まりである。
  • ジャーディン・マディソンでの学んだことは英国での「官」を動かせる「民」があるということだった。(商売で官を操る)
  • 幕府はフランスから4斤ナポレオン砲を購入していたが、大半の兵士は鎧兜に太刀と槍、それに火縄銃だった。そこで五代は二十五のナポオン砲をモンブラン伯爵支援のもとグラバーから購入した。最新の武器兵器を含め、それはなんと総額110万ドル、薩摩藩からの30万ドルを手付金として払う。その担保は天和銅山という鉱山の利権だった。(実は五代は外国人の鉱山山師を派遣し、日本の鉱山発掘をさせていた。その後鉱山は井上馨の松友社の所有となる。)戊辰戦争・箱館戦争の勝利の要因は最新式の武器と兵力で幕府を圧倒したこと。
  • 新政府での造幣機械を導入した頃、大蔵省の岡田平蔵が大蔵卿井上馨と組み尾去沢山(乗っとり)事件が勃発、その後岡田は殺害される。井上の推薦で斎藤辰吉は名前を改め中野梧一として山口県令となる。その下で長州出身の藤田伝三郎が仕えるようになる。井上は先収社、後の三井物産の番頭になる。
  • 岡田の殺害は実は大隈重信と中野が仕組み、五代も狙われていた。最後には大隈の失脚とともに中野の失策で自殺する。
  • 五代の先見の明
  •             上海での汽船・機械・兵器購入での外国人との交渉術
  •             最新の鉱山機械の購入と外国人の鉱山技師の招聘
  •             外貨獲得・輸出収益増の為の貿易(鉱物・北海道の昆布・染)
  •             西南戦争後、大阪における巨大な商工都市構想を持っていた
  • 五代の商売・経済の考え方
  •             「資本主義はハゲタカが集めた金が育てる」