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知らない魅力「子育てしやすい国スウエーデン」

2019-02-19 08:22:42 | 世界の動きから見えるもの

@子供の虐待など事件が多い日本だが、このスウエーデンでは1979年より子供への体罰は憲法で禁止、処罰されている。また、教育・医療の面でも子供に対する費用は無料が基本で、その為の財源は国民の税金となる。ただし、日本と完全に違うのは国民の政府に対する信頼が高い上に高い税金でも国民は納得、幸せな国だと感じる事なのだ。その理由の一つ公文書公開法に置いて、政治・官僚・政府の領収書など全て国民が閲覧できるという「オンブスマン制度」の最も進んだ国であることを改めて感動する。なぜ日本は権力者の権限、既得権、秘匿権などで部下に命令し重要資料等を隠そうとするのか。何もやましいことが無ければ全面公開、閲覧できる権利を国民に与えても良いはずである。 さて国は「緩和策」を時代の流れとともに見直し、決定し、公布することが、一番の景気刺激策にもなり、経済成長に不可欠だと思うが、日本式の「緩和」は「既得権者」を保護・確保する為に大胆な改革ができない国になってしまっている。国の成長で一番は子供・教育、それに医療分野の前進が無い国は、一部の人・企業へ献金する重税国と成り果てるのか?  国民は「ラーゴム」の価値観も考慮したいところだ。

『スウエーデンの魅力150』西田孝広

  • 北欧諸国の中で社会の健全性や国民の幸福度、世界への貢献度でも上位にくる国。2017年1千万人の人口になった、その魅力を探る(約秋田県・富山県・和歌山県と同等の人口)面積は日本の1.2倍。
  • 「スウエーデンの魅力」
  •             森と湖と群島の国(45万km2・1012万人2017年)
  •             福祉国家と経済成長の両立国(企業は守らず、国は人を守る)
  •                         経営難に陥った企業に公費投入はしない。外資買収推薦。
  •                         社会のセーフティーネットを充実、失業者を守る
  •                         「持続可能な開発目標」値は世界ランク1位 (SDG
  •             180万人のサンボ(未婚同居)夫婦と同等の権利があるが、子供には相続権は無い(同性婚法は2009年に成立)
  •             「子育てのしやすい国」両親合わせて480日育児休暇
  •                         給与80%保証・8年間の期間有効
  •                         ベビーカーでの市バス乗車は無料
  •                         子供への体罰禁止の法制化(1979年)
  •                         6〜16才まで義務教育
  •                         大学も自主進学でいつでも進学、授業料は無料
  •             生涯学習のための制度や施設も充実(責任ある人間を育てる事が民主主義社会に定義されている・国民高等学校)
  •             フィーカ(FIKA・休息・コーヒーブレイク)学校・仕事・生活
  •             世界第3位の音楽輸出国(音楽振興国)
  •                         公立音楽学校の充実・高い英語力・トレンドに敏感
  •             北欧最大の2つの遊園地(1883年)年間3百万人
  •             世界初の野外博物館(1981年)ユールゴーデン
  •             ローゼンダール城の庭園
  •             変わり種のホテル(氷・帆船・監獄・水中・炭鉱・ツリー等)
  • 「ラーゴム Lagom」「ミュースmys」「フレーダスfredagos
  •             多すぎず、少なすぎず・丁度良い・ほどほどの中庸を美徳とする価値観。競争や成功のためにあくせずせず、皆がほどほどに幸せに、という北欧的ライフスタイル。
  •             「ヤンテの掟」Jantelagen 自分を特別だとか、他人より優れていると思うな
  • 「公文書公開の原則と報道の自由」
  •             高い政府の信頼は1766年の上記の原則があり政治の腐敗防止の効力を発揮した。公的の領収書も全て閲覧可能、報道の自由ランキングでも世界第2位、オンブズマン制度の発祥の地でもある。一方、個人情報公開の範囲も広く、一般人の住所や電話番号もネットで検索でき、所得情報も入手可能。
  •             2016年世界で初めての国際番号で海外からの電話がランダムで一般国民につながり「民間大使」的な活動に利用された
  • 「自然享受権」 自然を愛する北欧の権利
  •             古くからある慣習法。誰でも自然の中に入って、その恵みを享受できるもので、憲法で保障されている。気兼ねなく森の中を散策してベリーやキノコ、草葉はを摘んだり、湖で泳いだり、テント張りも可能。ただし、民家やその庭、畑などは別。
  • 「平等で低負担の医療」
  •             18才以下は、医療費無料。年間診療費は約¥14、000、処方薬代は¥29、000が上限とある。だたし医者・病床・看護婦不足で時間がかかる。
  •             高齢者ケアは自治体が介護士を派遣する。施設に入れるのは自宅での介護が不可能と判定された場合のみ。自尊心や本人の意思を尊重し、寝たきりのまま延命措置はしない。
  • 「柔軟な労働環境」
  •             皆な4週間の休暇をとり合理的で生産性の高い働き方を評価し、組織はフラットで率直なコミュニケーションが可能。午前9時と午後3時のフィーカ。
  • 「世界的なデータセンター」
  •             2011年からのFBなどの企業の設置拠点
  •             安価で高い電力供給、再生可能エネルギーの活用、強靭な光ファイバー網
  •             ゴミのリサイクル、太陽光で暖房、温水を作り、世界初の電気道路の試験運用開始
  • IT先進国」
  •             Skype、太陽光企業のソルバッテン、エリクソン、エレクトロラックス、ベアリングのSFKetc
  •             キャシュレス社会をリードするSwish
  • 図書館 360度(写真)アスプルンドの図書館
  •  


異端児と言われた行動とは『五代友厚』

2019-02-18 08:34:45 | 歴史から学ぶ

@「異端児」と言われる所以はなんなのか。そこから想像できるビジネスマンの行動とは。幕末から明治にかけた薩摩藩の商売人五代友厚の行動は、社会構造・商売・外国等を十分理解し、それを自分自身で勇気を持って実践する事だった。特に外国人に対して、人をどこまで信頼し、信用し、任され、最後には任すことができるのかではなかったのか。 時代がら「外国を知る」為の日々の努力が一介の薩摩家臣五代を上海・欧州まで行かせる行動に繋げている。文中にある「西洋人は、自分の才能に応じて生涯忠実に生き抜く」による実践、それは江戸時代の生き様からは外れた「異端児」的な行動になったのだろう。五代の場合、薩摩藩の財政が乏しいにもめげず、莫大な額の契約を外国人と対等に折衝する度胸と勇気はまさに「異端児」であるからできたのかもしれない。それには外国人の特性など十分な知識を持ち合わせていたからに違いない。現代、日本人の外国との折衝、交渉能力は欧米人と比較すると非常に劣っている。それは単に語学力だけではなく、歴史背景からあらゆる習慣に至る予備知識の無い人が多い事でも分かる。 現代における言葉の壁は高い。それは小学高学年から高校・大学まで「英語教育」を受けているにも関わらず、人とのコミュニケーションの基本「会話」ができる学生はほとんどない。何のための「英語教育」なのか。「受験の為」とは言え、9〜10年以上、大学卒業しても、「役に立たない語学勉強」は不要だとは思わないだろうか。また、幾何学、微積分なども同じであれば、生活で必要な勉強・教養、例えば歴史背景からの人の道・社会の仕組み・納税の仕組み(年金・税申告)・お金儲けの方法・生活設計の仕方などが必須だと思う。 何故、実用的な教育がなされないのか、不思議に思った事はないだろうか。

『五代友厚』高橋直樹

  • 嵐に煙る桜島。薩英戦争で英国艦隊の捕虜となった五代友厚は「薩摩若者を留学させたい」と申し出る。攘夷主流の中、裏切り者の汚名を晴らし、藩論を覆して英国へ。そこで怪しげなフランス貴族と運命の出会いが。帰国後、次の焦点は大阪と確信。造幣寮開設に尽力し、商工会議所を設立する。現在の大阪を「創った」男の奮闘を描く。
  • 薩摩藩の首脳になっていた大久保利通を英国との賠償問題で五代友厚自らが交渉を進めていくところから話が始まる。賠償請求は2万5千ポンド、およそ6万両。そこで五代は幕府が新政府になれば肩代わりでき、薩摩藩は踏み倒せると踏んだ。また、五代は薩摩から英国に留学生の受け入れをお望み、自らも欧州での見聞をすることになる。トーマス・グラバーが手配したグラバー号には五代始め通訳の堀、その他使節団、幕府からの密偵(斎藤辰吉・後の中野梧一)含め上海での汽船購入、上海見学、アームストロング砲、ガス灯などを視察、日本の時代遅れを感じ取った。その後英国に到着、ジャーディン・マディソン商会を紹介されて様々な武器・機械工場を見学する。その中でも気になったのは地下鉄であった。また滞在中にフランス貴族のモンブラン伯爵との出会いはその後の船・武器の調達など支援してくれた人物であった。
  • 五代の異国人のイメージは「西洋人は、自分の才能に応じて生涯忠実に生き抜く」とした人生論を信じていたこと。
  • 五代とグラバーとのキッカケは、日本と上海との金銀比較で数倍の開きがあり日本の小判を上海で交換すると数倍の洋銀になることを教え、巨額な利益を得たことが始まりである。
  • ジャーディン・マディソンでの学んだことは英国での「官」を動かせる「民」があるということだった。(商売で官を操る)
  • 幕府はフランスから4斤ナポレオン砲を購入していたが、大半の兵士は鎧兜に太刀と槍、それに火縄銃だった。そこで五代は二十五のナポオン砲をモンブラン伯爵支援のもとグラバーから購入した。最新の武器兵器を含め、それはなんと総額110万ドル、薩摩藩からの30万ドルを手付金として払う。その担保は天和銅山という鉱山の利権だった。(実は五代は外国人の鉱山山師を派遣し、日本の鉱山発掘をさせていた。その後鉱山は井上馨の松友社の所有となる。)戊辰戦争・箱館戦争の勝利の要因は最新式の武器と兵力で幕府を圧倒したこと。
  • 新政府での造幣機械を導入した頃、大蔵省の岡田平蔵が大蔵卿井上馨と組み尾去沢山(乗っとり)事件が勃発、その後岡田は殺害される。井上の推薦で斎藤辰吉は名前を改め中野梧一として山口県令となる。その下で長州出身の藤田伝三郎が仕えるようになる。井上は先収社、後の三井物産の番頭になる。
  • 岡田の殺害は実は大隈重信と中野が仕組み、五代も狙われていた。最後には大隈の失脚とともに中野の失策で自殺する。
  • 五代の先見の明
  •             上海での汽船・機械・兵器購入での外国人との交渉術
  •             最新の鉱山機械の購入と外国人の鉱山技師の招聘
  •             外貨獲得・輸出収益増の為の貿易(鉱物・北海道の昆布・染)
  •             西南戦争後、大阪における巨大な商工都市構想を持っていた
  • 五代の商売・経済の考え方
  •             「資本主義はハゲタカが集めた金が育てる」

憎しみから愛へ『狙われた暗殺者』Polar 2019

2019-02-17 09:08:33 | 映画から見える世の中の動き

『狙われた暗殺者』Polar 2019、

「ブラックカイザー」とは有能な一人請負殺人鬼、主役のダンカン(ミケルセン)。元雇い主の若い殺し屋たちが、引退を目論むダンカンの抹殺・殺戮計画するスリラー映画。 ダンカンは、過去ある家族への暗殺を行うが一人の娘だけ殺害できなかったことが・・・・。引退を決意し、田舎に引きこもるが、隣に若い女性が一人でいる事を知り、知り合いになる。ある日元雇い主の殺し屋連中がその田舎のダンカンを襲い、同時にその女も奪い麻薬中毒にさせる。襲われたダンカンは辛うじて襲った殺し屋たちを殺害するが、その雇い主に捕まり、酷い拷問を受ける。やがて拷問から逃げ出し、女を助け家に連れ帰り看病する。ところがその女はあの家族の一人娘で過去を知っていた。終盤、家族の仇として女に銃を突きつけられる・・・・**因縁とはこういった場面にあるのかと思わせる、結末は人は過去の憎しみがあっても愛する事を忘れない、人間愛に変える術を心得ている。人は変わることができる。過去の憎しみがあろうとも変えることができる生き物なのだ。


女の歳と気心を読めぬ『花の生涯』

2019-02-15 09:03:30 | 歴史から学ぶ

@江戸幕閣老中、井伊直弼。彦根藩主の14番目が藩主になり、江戸時代の末期、幕府政治を司ることになる。この小説は幕府政治に関与する前の段階までの直弼の生き様を表した小説、だが三角関係の恋愛ものだ。 直弼がまだ貧乏生活時代にある時、将来片腕となる長野主膳が連れてきた女性に一目惚れし、何とかしたいと咎め、揉めるが、女の心が読めない二人(直弼と主膳)は最後に振られることになる。江戸時代には身分相当な家柄との婚姻は当たり前、歌・三味線を弾く女郎上がりは、美貌でも正室として娶ることができない定め。だが、一緒にいる事でお互い満足させ様とするが、女は「女の魅力は歳とともに長くは続かない・・」とばかりに待ち人としての立場を避け、近くに求める人に身を寄せるのである。歳には勝てない女性の魅力、売れる時が女性の「花」。恋は思いのままではどうにもならない! 婚姻、結婚を望む女性の心理を読める男性は多くない。数年、いや1年でも待つ事は女性にとってこれ以上に辛い事はない。男とは違う今に生きる女心は、男には分からない。

『花の生涯』舟橋聖一

  • 35万石彦根藩主の子、14番目の末子だった井伊直弼は我が身を埋もれ木に擬し、住まいも「埋木舎」と称していた。「政治嫌い」を標榜しつつも1代の才子長野主膳との親交を通じて、曇りのない目で時代を見据えていた。しかし、絶世の美女たか女との出会い、それに思いがけず井伊家を継ぎ、幕府の要職に就くや直弼の運命は急転していった。
  • 井伊直弼の国許での生活は貧相で1汁1菜で、わずか3百苞の捨扶持しかなく贅沢はできる身分ではなかった。そんなある日、長野主馬(その後主膳)が師匠として同席した主膳の相方(恋仲)で三味線の流しであるたか女と会うことになる。ところがこのたか女には男を魅了する知性と美貌があり直弼も一目惚れすることになる。
  • 主膳が留守にした時期に、三味線と歌を習う為、たか女を屋敷に呼び止め懇意になる。ところが妻のある主膳は直弼にたか女との関係を打ち明け、たか女を主膳から離そうとしたが上手くいかず、やがて直弼も兄の病死もあり、当主として江戸に出向くことになる。江戸への出立の時側女から孕ませることになり、男子(愛麿)を出産する。だが、直弼は江戸で幕臣の姫君と正式婚姻するがたか女、側女(理和)を忘れることがなかった。
  • 直弼は主膳に京都の情勢を探らせる為、主膳を弘道館学頭に抜擢する。主膳はたか女を使い民衆から情報をかき集め直弼に報告するようになる。やがて時代は、攘夷・開国派と幕府との動きがペリーの来航で騒がしくなりだんまりの老中
  • 井伊直弼は当初より開国派であり主膳には「それ以外に、我が国民の生きる道はないのじゃ。鎖国などと言うことは、わが国だけが勝手にそう決めているだけで、異国の実力の前には、空手形にも及ばぬものじゃ。しかし、開国は即ち敗北と思うなよ。世間ではとかく、攘夷即好戦なるが故に、開国即ち敗戦と誤る。我が所存はそうではない。開国はむしろ前途の勝利のためじゃ。勝利はただ、戦勝のみに非ず、征服のみに非ず。まして、侵略のみに非ずだ。不撓不屈の努力こそ、よく最後の勝利を占める。」
  • 井伊直弼は理和に対し「住みよい国になる前に何か恐ろしい嵐がくる。静には動、動には静。人心の叛服常ならぬが世情じゃ。ただし、反服しつつもなおも前進して止まぬ。畢竟、悲喜交々、且つ生きるほかはないのじゃ。会うのは別れのはじめ。愛は苦の源。それでも生きようよする努力いたさねばならぬのじゃ。」
  • ペリーからの幕府への贈り物
  •        木綿・酒・砂糖・アメリカ合衆国史略・蒸気機関の絵・ペリーの画像・牛肉パン類・・・
  • 幕府からの贈り物
  •        絹布・大和錦絵・団扇・煙管・椀・鳥・卵類
  • 井伊直弼には新たに時期将軍の擁立で水戸斉昭等との対立が浮上と吉田松陰らの密国事件が発生、佐久間象山の文明論との対立が鮮明になる。それは開港論にはまず幕府打倒し、王政復古の親政を布区ことであり主膳・直弼は断固反対した。
  • たか女は直弼、主膳から遠く離れ豪商商人と夫婦になる約束をすることになり直弼もすっかり諦めた。だが主膳は諦めきれず・・・

楽して楽しめる『仙厓義梵』

2019-02-14 08:40:56 | 人生を「生かす」には

@仙厓義梵は僧侶であり絵師でもあった。その絵の特徴は「笑わせる」絵に徹していたとも言える。だが、下記の著名な絵「丸三角四角」は未だ解明されていないユーモアたっぷりの絵となっている。鑑賞者の想像に任せる筆絵は何を伝えたかったのか? 筆順からなぞると四角、丸そして三角となる意味である。私の直感的、個人的な想像ではこれは人間模様・社会に見える。四角四面の身分の差なくをなんとか丸く収めようとするが、人は中立ちで中立を選ぶ・・・そんな絵に見える。人は「ながいものに巻かれろ」その方が生きる上で得策だと・・現代でも強い者(権力者)に巻かれ、多数(自民党)の意見に巻かれ、金持ち(支配者)に巻かれ・・・そんな人生になってしまっているのは「少しでも楽して楽しめるからだから」だろうか。革新的な意見、行動を持って導く指導者の人材不足になっているのではないだろうか。

『仙厓義梵』ユーモア溢れる禅の心

         • 江戸時代、善の人々にわかりやすく説こうとした仙厓。さまざまな解釈がなされる丸四角三角絵図や円相図、個性的な作品など。禅画という粋を超えた絵を通して仙厓はなにを伝えようとしたのか

         • 美濃の国現在の岐阜県に農民の子として生まれた仙厓は11歳で出家した後、修行を積み、40歳で福岡博多の聖福寺の住持として迎えられる。2千点近くにおよぶ作品、達磨、禅僧、禅の教えを描いた禅画から親しく交わって博多の人々や自らが目にした風景までも描いた。そのバリエーションの広さと鋭い観察眼には圧倒される。ここでは船外の前から動画や周囲の人々そして謎に包まれたものまで12のカテゴリーに分けて見所を紹介する。技法で言えばすべて水墨画である。色彩を伴う作品やきちんと色彩とれた作品も多くあるが、仙厓はほとんどすべてが墨だけで朱色を使っているのは例外と言っていい。画室に種々の道具や絵の具を用意して、時間をかけて描いたと言う作品もほとんどない。場当たり的に即興的に、墨を擦っている間に図様を決め畳の上でさっと書き上げたような略画がほとんどである。仙台の禅画の魅力と直結した特色は「あなたが面白いと思って何か感じてくれるものを描こう」と言う強い内的欲求が表現になる。相手に伝えるべき内容を、いかにダイレクトに伝えるか、と言う課題に対する1つの回答が、無技巧であると言える。上手に描かない、画面を飾らない、という事は、見る人が絵画的な美しさや位置に注意を払わない、内容とは別のところで感心したり感動したりしないことにつながり、伝えるべきテーマが上がる。70歳を過ぎてからだから、仙厓が鑑賞者にして欲しい事は、第一に笑うことだった。だからうまい絵を描くこと自体が目的に反する。ただし、下手だから笑う、と言うものでもない。彼の無技巧は、目が全く下手である、というのはとは違う。下手ではそもそも感じてもらうべき内容が伝わらない。笑ってもらうための技術がいる。矛盾しているようだが一見下手に見えながら、デッサンは思いのほか正確で、下手に見えても線が生きている。技巧が隠されている無技巧であると考えた方が良い。真筆が偽物かも、技術的なところで大半は判断がつく。つまり仙厓は上手なのである。

         • 世の中には法があるが、私の絵には法などない。

         • 苦楽をそのまま受け止めて生きる。

         • 最大の謎、様々な解釈を生み出す作品丸三角四角 (○△ □)


弱いものの生き方『一揆』

2019-02-13 08:46:00 | 歴史から学ぶ

@岐阜の歴史・江戸時代・美濃国郡上藩に起きた「郡上一揆」。 山村に住む農民が新税(年貢)に苦しみ一揆を起すが、藩主が弾圧。この一揆の特徴的なところは、直訴した農民の処罰のみならず、藩主の金森、江戸幕府の老中、若年寄なども失脚したと言う歴史始まって以来の大事件・波乱となった。この「郡上一揆」に対し、藩は何度となく繰り返えす一揆を弾圧し、農民の多くを処罰・処刑した。だが藩は改めず、農民も諦めず農民は幕府に直訴する。だがこれも幕府要人からもみ消され、潰され、それでも幕府に直訴し続け、最後に将軍自らが裁断した大事件なのだ。それは、郡上郡代から幕府勘定奉行等、幕府の要人が関与して未解決のまま長期化し、他の地方へも波及し多くの農民が犠牲を払った事で、将軍家重自らが采配を下した一件にある。百姓の一揆で、しかも幕府評定所で将軍自らが裁判をしたのは前代未聞、この一件だけだったとある。 それ程、政治を司る人物が上から下までグルとなってねじり潰そうと威圧をかけた事、だが多くの農民が犠牲を払い続けながらも訴え続けた勝利だという事である。 現代社会では国民の政治に対する不満の先は選挙だけだが、独裁的な政治(経済・賃金が実質の伸びていないのに続々と新税が発表され、ついには今年10月から10%消費税交付)こういった直接の反対行為行動は必要かもしれない。読むところ「車」(取得・保有だけで)について米国と比較すると、いつの間にか32倍の税を自動車保有者は支払っていることになっており、50年前の高度成長期の道路補正・整備にからむ税が今だに継続していると言う。現代版「一揆」は野党、国民が一致団結して改めて行かなければ日本は超過酷な税金課税大国となり、貧富の格差が若者から老人までさらに広がるところか、日本の住民が大挙して外国に移住することにもなりかねない。

『人づくり風土記』岐阜版

  • 戦乱の歴史が刻まれた美濃ー飛騨山河。東西を結ぶ中山道を、芭蕉も広重も皇女和宮も旅した。高山祭には飛騨匠の技が輝き、治水に命を捧げた薩摩藩士の鎮魂碑は今も崇敬の的。大河に臨む輪中の村から奥深い山里まで、訪ね歩いて歩んだ岐阜県の人づくり読本。

         • 輪中の村 木曽川、長良川、揖斐川3河川は伊勢湾に注ぐ。この辺の土地は知勢的には東高西低の低湿地で、200からの河川が3川に流入している。洪水は、乱流し氾濫を繰り返した。洪水は、肥沃な土砂を堆積させ濃尾平野を形成。輪中の歴史は、水との戦いの歴史だと言われている。宝暦治水工事までの145年間に、約150回の洪水に遭遇した。幕府は薩摩藩にお手伝い不信を命じ、平田鞍負を総奉行に薩摩藩は莫大な出費と犠牲を払って工事を完成させた。総工費は約4990両で、幕府が負担したのは約730両だった。

         • 郡上藩の宝暦騒動 農民一揆  藩主金森頼錦は幕府の奏者番となって出費がかさんだ為、赤字財政は一層ひどくなり農民への税を高くした。農民は傘連判状をもとに江戸に直訴した。この騒動は幕府で裁判にかけられ、藩主から農民まで関係者全てが処分されると言う類のない大事件となった。藩主は改易となりましたが当然の要求をした農民にも容赦ない処罰が降り、後世まで多くの人々の胸に義憤の思いを残す結果となった。農民の死刑は14人、そのうち4人は獄門だった。このほかに裁判中に拷問と寒さで死んだのは19人、追放等の処分を受けた農民も100人近くになった。

         • 宝暦騒動から200年余り経った昭和39年岐阜の劇団「はぐるま」がこの戦いを描いた小林宏の作品「郡上一揆」を上演。これが翌年訪中新劇団により「郡上の立百姓」として中国各地で講演された。

         • 郡上郡白鳥町の白山長滝神社 比叡山延暦寺の別院である白山中宮長滝寺がおそらく延暦寺からの延年、芸能を催す貴族社会の寿命を延ばすという、現在奥州平泉と2箇所にのみになった。

 


人間の延命は可能『レプリカズ』Replicas 2019

2019-02-12 08:56:04 | 映画から見える世の中の動き

映画 レプリカズ Replicas 2019

死んだ家族を蘇生、蘇らす生物学者の主人公ウイル(キアヌ・リーブス)のサイエンスフィクション映画。交通事故で家族を亡くしたウイルは人間の脳から蘇生させる研究技術を家族に試す。国、研究所に無断で持ち出した研究資材で脳の構造解析から家族を甦らせることに成功する。その後研究所長に見つかり家族で逃走する。が、軍人の脳から蘇生させた研究中のバイオロボットが家族を助ける。数年後、そのバイオロボットが世界の富裕層に対し延命(第二の人生)させる技術を商売として開始することになる。**人間の延命の夢は古く中国古代皇帝らが待望していた。近未来、生物科学者が健全な脳だけでバイオロボットとして第二の人生を切り開く、これは決して夢ではなく現実に近い。とするとあと数十年後には脳だけ生き続けるバイオロボットが世界に普及する可能性も大である。人間の脳は身体(手足・臓器など)ほど衰えないと考えれば十分活用でき、新たな社会構造が成り立って行くことにある。

 


人は移動都市に住む『Mortal Engines』

2019-02-10 08:51:56 | 映画から見える世の中の動き

@映画 『Mortal Engine』 December 2018

次世代の移動都市とは。人類は地上において「移動」を優先、占拠して他の移動都市、町村を攻撃する。大移動都市を構築したリーダーによる制覇は、小都市を捻り潰し、奴隷にする事だった。実はそのリーダーは父であり娘の宿敵となった。その昔、欲の為父が娘の顔に切りつけたことからお互いの戦いが始まる。 **地上に住むことに困難になった時(自然災害、悪性伝性病など)、温暖化による地球環境の変化など、人は地上から離れ移動可能な空中土地・都市住む事になるかもしれない。『移動都市』は未知の世界だが、どこかの国に存在してもおかしくは無い。そんな事を考え、住み始める人類に格差なき公正・平等・平和はあるのだろうか。


「仁・義」の教え『孔子家の極意』

2019-02-09 08:56:44 | 経営・リーダーシップに必要な事

@「仁」とは2人称で二人の関係を意味する。「義」は人としての正道を貫く事を意味する。日本的な一般的な「折衷案」は「義」に反していると言う。孔子の教えは2500年前からその数々を弟子に伝え「論語」となって世に広まったものである。2500年前の孔子の教えが現代でも通じる、あるいは色あせないのは不思議であるが、人間は歴史の繰り返しをしているのはその理由、そのものである。歴史に学ぶ理由もそこにあり、人は様々な局面で意思決定をし、成功し、または大敗し、死別を繰り返してきたのである。だから、それを現代の生き様に照らし合わせ、「教科書・教師」としてより良い人生・社会を構築していきたいものだ。

『孔子家の極意』孔 健

  • 孔子の知恵の活かし方・孔子家直系第75代子孫
  • 孔子の目指したものとは立派な君主と優れた家臣によって国を治め、そのもとで人々が礼節にしたがって生活する社会だった。孔子の死後弟子たちによって「論語」として今日に伝わる。
  • 「儒教の5徳」
  •             「仁・義・礼・知・信」、「忠」「孝」は7番目・8番目
  • 仁』の極意・信頼関係を築くために・人を愛する事
  •             「仁」は人で2人、3人以上は「衆」となる
  •             目上位の人と話す時やってはいけない事は、
  •                         聞かれもしない事を口出しする事
  •                         聞かれても答えない事
  •                         相手の表情もみずに勝手に喋る事
  •             最初の出会いを大切にする
  •             先入観で判断しない
  •             最近の若い者は・・ではなく、期待する前に育てるのがリーダーの役割
  •             「誠実さ」こそ世界に共通する武器となる
  •             有益な3つの楽しみ
  •                         優れた友達を持つ事
  •                         音楽を楽しむ事
  •                         人の美点をあげる事
  • 知』の極意・自分を磨くために・運命を知る事
  •             「知は力なり」自分が本来なすべき事に気づく事
  •             知識を蓄えて知恵を絞り出す事
  •             温故知新・古典を学ぶ
  •                         歴史人間を観察する視点や洞察力は現代でも色あせない
  •             何が欠けているのか、間違っているのか知ろうとしない者には教えがない
  •             文句という前に必ず反省してみる事・自分の能力・力量を測る
  •             生活が豊かになり物欲が強くなると心が寂しくなる
  •             自分の「劣等感」を知り、克服するために努力する事
  •             人生の企画書を描き、自分の心の道を描く
  • 『信』の極意・人望を得るために・人を信じる事
  •             タイガーバームの成功裏には利益還元=学校病院を建設
  •             人望=寛大さ、寛容さ、謙虚さ・欠点が自分で分かる事
  •             若い人の希望に期待をかける
  •             政治とは政を正す事
  •             人が集まる仕事とは人が安心して励むことができる職場
  •             受け売りの話題材では人は動かない・自分で確かめること
  • 『義』の極意・トラブルを避けるために・人として行うべき事
  •             折衷案で妥協しない事・議論・異論を交わす事
  •             「寛恕」広い心で人を許す事
  •             「損して得とれ」
  •                         ビールの単品価格とケースを含めた価格で儲ける
  •             中国人の考え方・一人では強いが三人寄ると力にならない
  •             日本人の考え方・一人では弱いが、三人寄れば力になる
  • 『礼』の極意・引き際を知るために・素直な心の現れ
  •             礼には心を込めることが大切
  •             長になったら「退」を考えた行動を考える
  •             人生の「総括書」を書く意味
  •                         新たしい視点を見出せる
  •                         人生の意義がわかる人は情熱を失わない

頼れる人のそばに『State Like Sleep』

2019-02-08 10:22:58 | 映画から見える世の中の動き

@映画 『State like sleep』

俳優マイケルが自殺を図る。未亡人になったキャサリンは自殺の行動に疑問を持ち、単独で捜査する。二重生活をしていたマイケルは親しい仲間がいたがいずれも麻薬との関係があると分かり、追求するが疑問だらけだった。片やキャサリンの母親も脳腫瘍で入院、悲しみが増え隣人に癒しを求め心を許し親しくなる。マイケルはスポーツジムのロッカーに大金を隠し持っていた、だが何お金なのか仲間に聞くが不問。また、仲間から自殺した時右利きなのに左のこめかみに左利きで撃った事に疑問を持つが、警察は既に自殺と断定しておりさらなる捜査をしてくれない。しばらくして母が亡くなり、夫の自殺も疑問のまま、一人呆然とする。

**人は誰かに頼って生きている、生かされている事を感じるのは親しい人、家族が亡くなったときかもしれない。 人は不安に落ち込んだ時、誰かに悩みを話し頼りたい気持ちになる。そんな心境を親身に理解してくれる親友を持つことが大切だ。日本は仕事を離れると真の友人がいるかどうか分かる。それは時間の多くがあまりにも仕事中心にいた証拠なのかもしれない。その時代の事を顧みるに仕事のオン・オフを上手く使えるのは現役時代の特権だ。


僧が描いたユニークな絵とは『清々しい日本人』

2019-02-07 08:47:32 | 歴史から学ぶ

@「仙厓義梵」(せんがいぎぼん)江戸時代の禅僧・画家とあるがユニークな絵師であり、可愛くも面白く表現する作品は観ているだけでも楽しい。多分その時代には異色な人物だったのではないだろうか。布袋様と子供の絵は何とも穏やかで安らぎを与えてくれる。(参照:下記画像)江戸時代にもこんなにもユニークな僧がいたことにビックリだ。それに仙厓和尚の「老人6歌仙」も老人というものを細かく観察して的中させているのは面白く、楽しい。老人にとって戒め(老害)になるのか(下記記述・もしくは 参照:http://erikaishikoro.blog.fc2.com/blog-entry-449.html)「知足」を知ることで自己啓発することが大事。

『清々しい日本人』武田鏡村

  • 「世間体などは気にせず、自分の心に忠実に従って、行きたいということが『清々しい』のである」その結果人自身の存在が清しい光となって包み込み勇気づけてくれる。
  • 「桃水雲渓」慈悲活動をしていた日本の僧侶
  •             「生まれるときは裸で何も持ってはいない、死ぬときも裸で、せいぜい経帷子1枚だ。この道理に気づかぬものは、誠に愚かなことだ。人の生死には何ら差別はない」
  • 「石橋湛山」軍国主義に屈しなかったのちの総理大臣
  •             吉田茂の「狂犬に噛まれたと思ってくれ」GHQに対する屈託
  • 「土光敏夫」大胆な行政改革の断行に秘められた質素な生活原点
  •             食卓にメザシ・極めて質素な生活ぶりが民衆の共感を呼んだ
  •             「月給をもらうだけなら来るな、仕事を趣味とする者だけ来い」
  •             「自分を向上させることによって人生を豊かに生きられる。豊かさとは経済的なものではなく、生き方の豊かさである。それには仕事をすることで生きがいを持つ、働きがい、生きがいを感じられるのは仕事にある」
  •             馴れ合い体質では会社は潰れる・問題をさらけ出し解決する
  •             人出が少ないことで工夫して、能力以上のものが発揮される
  • 「仙厓義梵」ユーモラスな言葉で勇気を与える
  •             新築お祝いに「ぐるりと家を取り巻く貧乏神」・・・「七福神は外に出られず」
  •             「老人6歌仙」とは
  •                         シワがよる、黒子ができる、腰が曲がる、頭が禿げる、ヒゲが白くなる、手は震え、足はよろつく、歯は抜ける、耳は聞こえず、目は疎くなる、身に添は頭巾、襟巻、杖、眼鏡、湯たんぽ、温石、尿瓶、孫の手、聞きたがる、死と無流る、寂しがる、心は曲がる、欲深くなる、くどくなる、気短になる、愚痴になる、出しゃばりたがる、世話やきたくなる、子を褒める、達者自慢に人は嫌がる
  •             人の利益のために行うならそれは全て善心、すなわち仏の慈悲心と同じ行為となる。だが自分の利益の為はどんな善心でも皆悪業となってしまう。
  •             足ることを知ることを「知足」というが、現状に満足することよりも大きな財産はなく、これ以上の禍いがないことほど幸福なことはない。それなのに現状に不満を抱いて不平を言って、不幸だと嘆くことは自分を見失ってしまう。
  • 「円空」日本中に「微笑み」を残す
  •             微笑みは心の反映、自他の心に安らぎをもたらす
  •             「微笑み」5千体の円空仏を残す
  • 「世阿弥」「能」を確立させた
  •             「風姿花伝」能に「花がある」心を表す
  •             「能」という芸道に不屈の信念があったから逆境を乗り越えられた
  • 「夢窓疎石」禅の心の日本庭園
  •             京都の苔寺西方寺、嵐山の天龍寺、鎌倉瑞宝寺、山梨の惠林寺
  •             「人は活くる上で誰もが他人から恩を受けないものはない。その恩に感謝する気持ちを失ってはいけない、また人は生きる上で、どうしても怨みが生じる。だが、怨みを怨みで報いれば、怨念は際限りなく続く。人はそれぞれの邪心を改めて、お互いに手をたづさえて生きよ」
  •         「人は生きる上で、どうしても怨みが生じる。だが怨みを怨みで報いれば怨念は限りなく続く。人はそれぞれの邪心を改めて、お互いに手を携えて生きよ」
  • 「橘曙覧」心の美を楽しむ
  •             「楽しみは朝起き出でて、昨日まで無かりし花の咲ける見る時」(クリントン大統領が紹介した蘇る存在)
  •             自分の感性を信じて信じられることを楽しむ「私有自楽」
  • 「杉原千畝」人道主義を貫いた外交官
  •             日本の法を上手くくぐり抜け(目的地が明確で日本経由であれば許可、その後但し金銭あるものに限る)ユダヤ人6千名にビザを発給した
  • 「李方子」朝鮮皇族になった日本女性
  •             昭和天皇の妃殿下になったかもしれない朝鮮皇帝の妃
  •             朝鮮での社会的弱者への貢献
  • 「津田梅子」英語教育に生涯をかけた
  •             7歳で岩倉具視らを渡米し、11年留学
  •             女性の地位向上で津田塾を開講
  • 「荻野吟子」女医第一号
  •             35歳、明治17年医師の免許を最初に取得

何故、何の為に戦うのか 『クリード・炎の宿敵』 CREED 2

2019-02-06 09:00:04 | 映画から見える世の中の動き

@映画「クリード・炎の宿敵」CREED 2

主人公のボクサー・アドニス(クリード2世)とロッキー(スタローン)との死闘をかけた勝負をボクシングファイトで見せる痛快な、且つ男魂を見せつける映画。 アポロ・アドニスはロシアのボクサーから父を亡き者にされた息子(2世)でその親友でありセカンドとしてのロッキーとともにボクシング世界ヘビー級新チャンピオンになった。アドニスは聴覚障害のある女性ビアンカと結婚し、娘を授かるが娘も遺伝していルことにショックを受ける。家族を持った親として、ボクシングでの王者として不安を抱える中、ロシアの強敵、ドラゴの2世、ビクターと勝負する。ところがビクターの野蛮な戦いから敗れたかに思えた勝負は反則負けとなり、チャンピオンシップはそのまま保持することになる。だが、リングの上で受けた絶望的なダメージは肉体的、精神的にもどん底に。アドニスは戦いの目的に苦悩し続けるが、それは人としての生き様を貫くことでチャンピオンとして再度の勝負をロッキーと誓い、特訓が始まる。ビクターもロッキーへの復讐と貧困の生活苦からの闘志を燃え上がらせ再試合のゴングは遂に鳴った。クリード2世はクリーンヒットを浴びせられ何度もダウンさせられるが、その度に何とか立ち上がる。その結果は後半で見えるが、双方の戦いは手に汗をも感じる熱狂するシーンが何度もあり、ロッキーのテーマソングが流れた時には勝負は決まっていた。

**人はどこまで強くなれるのか。強くなるには肉体的以外に何が必要なのか。  何故、何のために戦うのか。誰にために戦うのか、そして何を守り、何を手に入れようとしてるのか。クリード2世とドラゴ2世は互いの執念の戦い・死闘の戦いの意義を見せた。見応えのある作品で、感動する場面も多々あるが、試合直後のクリード2世とロッキーとの仕草、信念を持ってギリギリまで戦い、やり遂げたお互いを見つめ合う無言の間に感動する。言葉はもう要らない。

 


子の対価・養子縁組の世界『長谷川平蔵・残心帳』

2019-02-05 08:29:35 | 歴史から学ぶ

@「残心帳」とは江戸火付盗賊改方長官長谷川平蔵の未解決を残した帳面。それを暇な里見悟郎(お祐筆役見習い)に探索させる。 これは、智慧者の盗人が商売のお得意先のお奥から将軍の父親、「世子」を名乗り将軍をも揺さぶる脅しに発展させる。江戸時代は殆どが親の役職がそのまま子孫に引き継ぐ家徳存続関係を維持していた。「世子」「長子」次第では殺戮にも繋がる事件が多い。特に長子がいない家族にとってこの時代はお家断絶など、家臣にとっても重大で家系を守る為も養子縁組も多かったと言う。(日本では法的長子相続が第二次世界大戦まで続いたとある)因みに、徳川幕府11代将軍家斉は何と17歳から55歳までに55人の子供に恵まれたとある。正室、側室で24人、お手付き20人もいたと言う。だが、半分以上の子が夭折している。さて言いたい事は、人の「コネ」だけこれだけトップ層にまで手を伸ばす術を持った人材は尊敬に値する。やはり日本社会含め「コネ」は大事であり、大切にしなければならない「人生のコツ」の一つだろう。親のコネはもちろんの事、恩師、先輩、同僚、それに支援者など型のコネも使い方次第だが、一歩間違うと恨み、絶交、断絶に繋がりかねない。 現代は色々な繋がり方を伝授する方法もあり、ネットからの情報とSNS(LinkedINは最適)で自己啓発から繋がるのが最も理想と言えるだろう。LinkedInでは理想とする人(諸外国も含め)からの「教授」になってもらえる方法もある。但し英語が基本になるが・・・

「『長谷川平蔵・残心帳』瀬川貴一郎

  • お祐筆役習いの里見梧郎は、元上役で火付盗賊改方の長官長谷川平蔵宣以が病に伏せっていると聞き、見舞いに訪れた。平蔵は医者にもかからず、強がりを見せている。そして梧郎に、ケリをつけたはずの事件に残る気がかりを記した残心帳ともいうべきものを見せた。日々の仕事に飽いていた梧郎はその中の7年前の押し込み事件で捕縛し損ねた犯人に注目し、探索することを請け負う。
  • 「残心帳」とは平蔵の未解決事件の書き留めた帳面である。その中の一つで千両箱2つの盗賊を一網打尽にするべく動いたが2舟に乗って逃亡された。だが、大嵐で舟は大破、総勢十人のうち九人の死体を発見したがもう一人が見つからず金も一部しか見つからなかった事件であった。そこで悟郎が捜査を開始するが昔の話とあって手がかりが掴めない。
  • ある夜、五人の浪人が一人の侍を囲み刺殺しようとしていたがそこを通りかかった平蔵の息子辰蔵が目撃者となるが、一瞬で終わる。殺されかかった侍が「お・や・す・け」と言って果てたことで新たな事件に巻き込まれる。翌日悟郎はその現場に行くと刺客の浪人が現れ悟郎を狙った。狙った刺客を辿ると長崎の輸入問屋で歴史のある西海屋で雇われた浪人と判る。その後、別の隠密忍者が悟郎を狙って襲いかかる。狙われた悟郎はその理由が分からず探索を続けるが、分かった事は前の盗賊の一人が西海屋の主人勝三郎である事、勝三郎は元主人の妻お秀との密接から奉行所に密告し、お秀の新たな主人になることを企んだ。密輸等で主人が捕縛、死罪に、西海屋は倒産寸前まで追い込まれる。そこで主人に代わって盗んだ金でお秀と立て直しを図った。
  • 西海屋はお奥との商売の繋がりを利用して御中﨟とこれまた密接な関係を持ちお秀の娘お槙をお奥入りさせる。ところが妊娠している事で極秘に出され、勝三郎の次なる巧みに利用すべく西海屋の別宅に確保された。その企みはお槙の子は将軍家斉(生涯の子供数は側室四十人に子供五十五人も産ませていた)の子供・世子として認めさせ、または50万両で話を無かったことにするかだった。
  • 実はその子供は勝三郎の仲間の助八郎との間にできた子供で将軍の世子ではないことが判明、また勝三郎も元は盗賊の一人で千両箱を独り占めした張本人であった。
  • 悟郎は裕介という長男をもうけお純と暮らしていたが、昔から由佳という旗本の娘(剣術師)をいたが京都に嫁に行った。だが、度あるごとに悟郎を助けていた。で京都から一時帰国し生活を振り返っていた。「毎日同じ繰り返しの暮らしをしていると、ふとこれでいいのだろうかと考えてしまうことがある。一体自分は何の為に生まれてきたのだろうかと・・」お潤の生活を見て同じだと悟り京都に帰る。

西部劇の魅力『ザ・シスターズ・ブラザーズ』 The Sisters Brothers

2019-02-04 07:59:58 | 映画から見える世の中の動き

@映画 『ザ・シスターズ・ブラザーズ』 The Sisters Brothers 2018年

1850年代、ゴールドラッシュに沸くオレゴン・サンフランシスコの西部劇。二人の殺し屋(兄弟)が街の有力地主から盗まれたものを取り戻すように雇われ、追跡の旅が始まる。旅の途中で知的な二人組と会い新たな方法で砂金を探すが、不注意にも油が爆発で炎症、その二人組は死ぬ。旅の途中兄弟けんかをしたりするが、再び当初の目的を追う。だが、目的を達せできずに元の街に帰るが有力地主が消えていた。 **久方ぶりの最新西部劇映画である。人の欲を金と運にかけ彷徨い、気分次第・相手次第で喧嘩を始め、拳銃を抜き人殺しをする時代。兄弟愛以上に信用できるものはない・・・やはり最後に残るものは血縁関係の強い兄弟の信頼。


遺恨は消えないチベットの悲劇「ダライ・ラマ自伝」

2019-02-03 09:38:33 | 世界の動きから見えるもの

@ダライ・ラマ、第14代チベット法王。だがチベットには今も残る問題・遺産・悲劇が多い。チベットに置ける強大な中国占領軍により過去30年に渡り大量殺戮によって125万人が餓死、強姦、処刑、拷問、自殺などで死亡し、数万人が強制収用所に閉じ込められた。中国は東北部に2〜3百万の満州人に対し7千5百万人の中国人が移り住み、東トルキスタンでは1949年に現地人20万人に対し中国人が7百万人、内モンゴルの植民地化によりモンゴルにはモンゴル人250万人に対し850万人の中国人が住む。チベットでは6百万人のチベット人に対し2500万人の中国人が移り住んでいる。(2001年現在)チベットも1949年以降(中華人民共和国成立後)中国による領土拡大政策により領土に侵略され、昔中国の首都も領土だった大国チベットは無残にも「武力による脅し」で中国自治区と化した。最初中国は「平和・協力協定」として接近も、全て見せ掛けで侵入するキッカケを工作し、次々と略奪、配下にしていった様は現代の中国の動きを見ても頷ける。問題は中国の「武力・脅し」に対応できる仏教の国チベットの武力に勝る?「話し合い」で双方が妥協することはあるのだろうか? チベットは世界でも優質の大量鉱物地であることから中国の手は引き下がるどころか、徐々に侵入、掠奪することは歴史的にも分かる。日本人の多くが知らない異国(特にチベットと近隣諸国)の出来事を知ることは重要で、さらにその国々の長たる人物の動きを知ることで対日本への動きも見える。インドの諺「一度ベビに噛まれたものは、縄にも用心する」

『ダライ・ラマ自伝』ダライ・ラマ 2001年初版

  • チベットの宗教的、政治的最高指導者として精力的に平和活動を続け、ノーベル平和賞を受賞した第14世ダライ・ラマが観音菩薩の生まれ変わりとしての生い方ちから、長きに渡る亡命生活の苦悩、司教指導者たちの交流、世界平和への願いなどを、波乱の半生を振り返りつつ語る。チベットとダライ・ラマをしる格好の書。
  • 「チベット仏教の歴史」
  •             仏教の教祖は仏陀釈迦牟尼。2千5百年前に生まれた釈迦の教え「ダルマ(正法・仏教)は紀元4世紀にチベットに紹介された。それまではボン教でチベット人は生来攻撃的な性格なのだが、宗教的習慣に深く染まるようになってしまった。」それ以前チベットは広大な帝国を築いており、北インドの大きな部分、ネパール、ブータンも合わせ中央アジア全土に君臨していた。紀元763年にはチベット軍は中国の首都を事実上攻略し、貢物その他の特権を勝ち取り大きな領土を支配していた。だが、仏教に熱心に帰依することで中国清朝(1636〜1912年)満州族歴代の皇帝は仏教徒でありダライ・ラマ「仏教を説く王」として深く尊敬した。
  •             仏教の根本的教理は物事の相互依存性、因果の法則(縁起論)
  •             人が経験する一切のものは行為に導かれた起因に基づく
  •             生前動物を虐待してきた人間は来世には動物を労る心を持たない人に飼われる犬になって生まれる説・生前の善行は来世に幸せな再生をもたらす一助となる
  • 「ダライ・ラマ」
  •             現存の第14代ダライ・ラマは第13世ダライ・ラマの1933年57歳で亡くなったツブテン・ギャッツオのお告げにより民衆から選ばれた。そのお告げは「Ah Ka Ma」という文字で地域・場所等を言った。3歳のダライ・ラマ(1935年7月6日生まれ)ラモ・トンヅップが選ばれた。その後ポタラ宮殿で正式に即位、勉学と修行が始まった。子供の頃の思出の一つ、友達を作るには力ではなく思いやりだと悟る
  • 「中国との関係と侵略」
  •             中国皇帝穆宗の時代には恒久的幸せを全て分け隔てなく慈愛の手を差し伸べ、平和に尽くそうと相互尊重、古き良き憂苦的隣人関係を実現する条約もあった。1949年、中国兵による襲撃が開始されチベット駐屯地の責任者が殺された。当時チベット軍は総員8500人に対し、中国人民解放軍が前面に出没した。中国は中国解放記念日に「チベットの平和解放」としてチベット領内(チャムドの東リチュ河を越え)に8万の兵で侵入開始した。その後ラサが陥没、国連に訴えたが連合メンバーではないこともありインドを除いてイギリス・アメリカは支持しなかった。当時、ダライ・ラマは当時15歳、6百万人の国民指導者としての役はまだなかった。その為二人の首相を任命し交渉させたが、中国軍侵入は止まらなかった。1951年中国側は17か条協定を提案、無理やり承認させる。軍への穀物提供に対価を払うとしていたが実際は支払いはなされず制度は見かけだけの中国固有優先で侵入・街の陥落(無対価で食料の提供、宿泊施設の強制的占領、張将軍の贅沢三昧と横柄で野蛮な行動)へとつながった。民衆との衝突が相次いで起り首相も中国の強制で辞職させられ、チベット全土に対し中国当局の改革政策を無理やり強制させ農村に飢餓、栄養不足で多数が亡くなった。1954年中国政府はダライ・ラマ等を北京に中国的平和交渉をするべく招聘しダライ・ラマを監視、チベット自治区として中国共産党配下に置いた。当時毛沢東・周恩来が中心の政府であったが外交事例的な言葉を残しただけで実際は侵略支配を意味した。毛沢東のダライ・ラマに話した言葉「宗教は毒だ。僧侶と尼僧は独身だから人口が増えない。また宗教は物質的神秘を無視する」だるまの破壊者だと悟る。1955年以降チベットの多方面から中国軍・政府「改革」での悲惨事件・出来事を聞くようになり「人民に対する罪」として処刑されるものが多数、土地・家屋・家畜等を略奪し、新しい課税を強制するなど自国のように支配するようになる。毛沢東は少なくとも向こう6年はいかなる改革も強制しないと言っていたが、1959年には15万人の中国軍の侵略・攻防は収まらず、虐殺的行動になり民衆は爆発寸前で、ダライ・ラマの言葉させ通じない事態になり、ノルブリンカ宮殿・ポタラ宮殿を中国軍が実力行使、砲撃が始まり撤退・亡命することを決意する。ラサを脱してから3週間でインドに亡命する。当時の侵略で約150万人のチベット人民が集団虐殺された。 中国の書記長が変わり視察団を数回送るがチベット人に対する援助、支援は変わりなく賃貸料等課し無残な仕打ちを受け続けていた。チベットには約30万人の中共軍隊が配置され放射性廃棄物の汚染、核兵器の基地を少なくとも中国の3分の1配置している。またアムドには約1千万人の強制労働収容を確保している。1987年には数千人のチベット人に対する無差別銃撃する事件が起こった。「殺人、強姦、恣意的投獄、拷問、非人間的な卑劣な取り扱いの行動」を世界に指摘された。
  • 「インドとの関係」
  •             ネール首相・マハトマ・ガンディーは心から支援・協力をするようになる。が、ダライ・ラマに対しては中国との関係はインドが介入することではなくチベット独自の問題だと突き放された。その後80人を伴ったダライ・ラマの亡命時には土地等含め難民支援を積極的にした。またインド政府として教育等にも支援し、学校、寺院の建設、チベット文化を保持するための施策を施した。北のダラムサラ(3万人)、および南のマイソール地域(3千人)での膨大な土地(3000エーカー)を与えた。その後内外の記者130名が出席した会場で中国の提案した「17か条」は中国自ら協定を破り違反をし、残虐行為の具体的な説明なども発表した。インドの諺「一度ベビに噛まれたものは、縄にも用心する」中国への警戒心
  • 「ブータンとの関係」
  •             亡命チベット人を暖かく受け入れ土地や交通手段を提供し、農業建設を援助した。一時チベット人の不幸な事件が起きたが真実が解き明かされることはなかった。
  • 「中国の対応」
  • 亡命時の中国新華社通信は「反逆者」としてダライ・ラマ等を罵り、「チベットの愛国的僧侶や民間人の協力で、人民解放軍は反逆者を完膚なきまでに叩き潰した。」それは宮殿・学1校・寺院に集まった多くの民衆8万7千人が虐殺されたという事だった。だがこれらの数値は自殺者、拷問による死者、餓死者は含まれていない。鄧小平の警句として有名なものは「鼠をとるなら猫の色は黒でも白でもいい」「顔が醜かったらそうではない振りを装うっても意味がない」
  • 「日本との関係」
  • 1967年日本訪問。日本人の感性・人間性の良い面にふれ、都市が整理整頓されていたことに驚いたが、伝統的な文化や価値観を失わず維持していることに心を魅かれた。
  • 「ダライ・ラマの信念」
  •             31年間の亡命生活で最も大切な要素の一つはあらゆる種類の人々との邂逅だった。誰でも逢い話を聞き何かを学ぼうと心がけてきた。常に熱意を持って接した。宗教は愛と慈悲の教えによって良き人間を育むものだと認識。西欧社会は物事を「黒か白か」と考え、相互依存性、相対性を無視する傾向があると感じ「灰色」もあるという事が欠けていると思った。日課として祈りと瞑想を最低5時間。それは3つの理由がある。
  •             日々の務めを全うするための心構え
  •             時間を充実させるのに役立つ
  •             恐怖を和らげる
  • 「意識の集中」
  •             行者の修行での座禅は1分間に酸素呼吸は7回、寒いところでも体温を温存できると認知した。「お告げ師」は預言者ではないが自然と精神領域間の媒体として行動する守護神である。人間の輪廻(化身)は死んだ年から18ヶ月から遅くとも2年以内に生まれる。チベット医学の驚異は病の根源は無知、欲望、憎しみだとする。中国は17か条で「中国はチベット人から針一本、糸一本も勝手に取り上げることはない」と提唱していたが全く裏返しとなる。が人間の問題は人間同士の付き合いで付き合いによってのみ解決しうるという信念である。
  • 趣味はカメラと時計の修理