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朝昼晩、時間を問わず飲んで喰って面白おかしく過ごす人生を歩みたいです。※旧名「日が沈む前に飲む酒はウマい」

ラーメン店の名脇役「チャーシューごはん」

2024年02月21日 | 丼もの
今回は珍しく、冒頭でクイズを出題。
Q ラーメン専門店ではよくあるけど、中華食堂にはないものなーんだ?
先に断っておくが、ウエストランドの漫才のような、「店員の無駄な掛け声や気合」は不正解である。
私としては、「SNSでの誤字だらけの投稿や、ウザイ自分語り」もやめてほしいね。余計なお世話か。
答えは、今回タイトルでバレバレだろうが、「チャーシューごはん」である。
無論、ご飯類を一切置いていないラーメン店は多いし、あくまで私個人の認識なので、クイズとしては不完全だ。ゴメン。

店によっては「ミニチャーシュー丼」「焼豚ライス」「ぶためし」などと呼ばれるケースもある、
チャーシューごはんの定義は、人によって異なるだろうが、私の考えでは、
【小ライスくらいの分量のご飯に、ラーメンの具材のチャーシューを乗せるだけの料理】で、
単独では物足りないが、ラーメンのお供としては最適な名脇役である。
一部例外はあるが、あくまで脇役に徹する、誠実な(?)チャーシューごはんに敬意を表し、
せめてこのブログだけでは、主役を張らせてあげたいと思い、今回のテーマにした。

チャーシューごはんの創案者及び、初めて客に提供したお店は不明だが、
私が存在を知ったのは、1990年代半ば。バブルが弾け、本格的ラーメンブームが始まる、ほんの少し前の時期。
たしか、「東京ウォーカー」あたりの若者向け雑誌(注:当時は私も若者)のラーメン記事で、目にしたのが最初のはず。

※かつて、私が愛用していたTシャツ

紹介したラーメン店は全然覚えていないが、文末が確か、「ほぐしたチャーシューを乗せた、“チャーシューごはん”もおススメ!」のような内容だった。
その後、他のお店でもチャーシューごはん及び類似商品を提供するようになったが、私が初めて食べた店は……残念ながら記憶にない。
いかんせん、20世紀末のことなので、写真もないのだが、ビジュアルはこんなだったと思う。


さっき、わざわざ自作したのだが、小さなお椀にご飯をよそり、刻んだチャーシューに少量のタレと胡椒をかけただけの商品である。
上記をベースに、ネギ、ゴマ、海苔、高菜などを加えたり、それら薬味の分だけ肉を減らす店も存在した。
使うチャーシューも、スライスした際にこぼれ落ちた、端っこの部分のみを使用するSDGs(?)な店や、
刻んでから熱を加え、シーチキンのようなホロホロ状態にしたり、佃煮みたいにクタクタになるまで煮込むケースもあった。

私個人の想像だが、チャーシューごはんは元々、『中野大勝軒』のつけ麺のように、従業員の賄いだったのではないか。
中華食堂と違い、ラーメン専門店は厨房が狭く、調理スペースはおろか、ガス台自体も足りないので、
チャーハンや焼肉丼などは調理不可能だが、ラーメンの具材にも使うチャーシューを、ご飯に乗せるだけならば、
ガスも中華鍋も技術も仕込みも不要で、中華の経験がない店主はもちろん、バイト君でも簡単に作ることができる。
ご飯ものを欲する客の要望にも応えられ、原価も安くロスも少ない、画期的なメニューだったのかもしれない。

ただ、当時の私が食べたチャーシューごはんは、どのお店も肉自体の量が乏しく、正直しょぼかった。
私が作ったものと同様、メシと肉の割合が、だいたい2:8で、1:9の場合もあったりする。
そのくせ、小ライスよりは100円以上は高く、価格はだいたい、200~300円くらいだったような。
それならば、ライスだけを頼みラーメン本体の具材を乗せる、今もよくやる「自家製丼」の方がよっぽどお得な気がした。

※20世紀の頃から作っていた、八王子『壱発』のチャーシュー+とろろ丼

無論、ラーメンとの相性を考慮し、あえて肉を減らし、薄味にしていた店もあるだろうが、
さっきの雑誌記事のように「おススメ!」と推奨したくなるような商品は、あまりなかった気がする。
私と同意見の客が多かったのか、後発のチャーシューごはんは、肉のレベルが質・量ともに上がり、
21世紀に突入すると、肉と米の割合は3:7や4:6になり、歯応えのあるお肉を用意する店も出てきた。

ただし、肉は少なく、チャーシューごはんのカテゴリーに入るかも微妙だが、20世紀にも良品はあった。
それは、阿佐ヶ谷にあった『航海屋』の「チャーシューおこわ」である。
名称はおこわだが、モチ米はたぶん使っておらず、チャーシューの端っこを刻んだものとタレを混ぜた、炊き込みご飯だ。
値段は100円と安く、単品注文は不可だが、お替わり2回OK、つまり3杯食べられたのである。
コロナ禍前に、数年ぶりに訪問したら、いつの間にかチャーシューおこわ以外にも、麺類とセットの100円メニューが増えており、


つい、食べたことのないカレーライスを選択してしまったのだが、さっき「あった」と過去形で記したように、
昨年2月に航海屋阿佐ヶ谷店は閉店。なのでチャーシューおこわは、もう10年以上ご無沙汰で、写真もない。
現在は新宿店のみ営業中で、更新はされていないがHPがあったので、画像を拝借。


令和の今も150円で3杯食べられる、名物おこわ(とラーメン)を、近日中に食べに行くつもりだ。 ※食べに行きましたが…詳細はこちら

21世紀以降で利用したお店の中で、気に入った商品といえば、私が愛してやまない、地元・立川『パワー軒』の「チャーシュー丼(小)」。
券売機の表記では、並サイズのご飯量は360グラムらしいが、小でもその半分以上はある。


上記画像は、昨年の訪問時に撮影したのだが、写真がヘタすぎて本当に(小)に見えるので、先日再び注文し、ちゃんと横アングルも撮影。


しかも今回は、無料サービスの味付き背脂を乗せてもらった。小サイズとはいえ、カロリー過多は間違いない(ラーメンも食べたし)。


シーチキン状の刻みチャーシューを、海苔、ネギ、背脂と絡め、ラーメンスープも少し注ぎ、ガツガツとたいらげた。
一期一会のケースが多いチャーシューごはんだが、複数回食べたのは、パワー軒の他はわずか数店舗だけだ。

さきほど、肉と米の割合について、「近年は3:7か4:6に」と述べたが、
昨年春に紹介した、立川『おや麺』の「チャーシュー丼・温玉」なんて、
割合が5:5に感じるほど肉が多く、しかも味が濃かったため、白米を追加したくなったよ(笑)。


近年は、荻窪『濃菜麺 井の庄』の「肉ごはん エッグ&ソイソース」のように、玉子を加え少し火を通したり、


最近流行している、低温調理タイプのチャーシューを使用するお店も出てきた。
ラーメン店ではないが、武蔵村山『満月うどん』の「ミニチャーシュー丼」も、低温調理ピンクと、醤油炊き茶色の2種を使っている。


これまで、しつこく主張してきたように、私は醤油炊きタイプ肯定派だし、そもそも低温調理タイプは、白米との相性は良くないと思う。

パワー軒とおや麺は、肉質やボリュームで満足感を与え、濃菜麺井の庄と満月うどんは、2種のチャーシューを使うなど、見た目にも工夫が感じられた。
ここ数年で唯一落胆したのが、このときに紹介した、『天下一品』神楽坂店の「チャーシュー丼ランチ」で出てきたヤツ。

※そもそも、「丼」と呼ぶ量ではない

ただでさえ少ない肉の切れ端を、海苔、ネギ、ゴマ、紅生姜などでかさ増しし、盛り付けもテキトーで他人の食べ残しレベル。
先述した、20世紀のしょぼいチャーシューごはんを、2018年になっても提供していたことに驚かされる。
普段なら、チャーシュー丼単独の写真も撮るが、あまりにもお粗末だったので撮影はせず、すぐにこってりスープをぶっかけた。
テンイチ神楽坂店は、昨年閉店したが、19年秋には、数日前まで720円だった並ラーメンを、790円に値上げしていて立腹したものだったが、
約3年後には、940円というブルジョア価格に高騰するとは、その頃は予想もしていなかった。

冒頭のクイズで、「中華食堂にはないもの」扱いしたチャーシューごはんだが、当然例外もあり、
所沢の『早池峰亭』には、「チャーシュー丼」が存在する。


上記画像はサラダとお新香だが、本来はスープも付く、麺類の引き立て役ではなく、立派な主役メニューである。
商品名もチャーシュー「丼」であるし、今回テーマのチャーシュー「ごはん」とは、一線を画す料理ともいえる。

ラーメンの発展とは別に、独自の進化を遂げているチャーシューごはんだが、
最初の方で主張した、【小ライスくらいの分量のご飯に、ラーメンの具材のチャーシューを乗せるだけの料理】、
つまり、火を通さず手軽に作れて、チープだけど300円くらいで食べられる、20世紀タイプが私には愛おしい。

そんな条件に当てはまる商品を、つい最近発見できたので、最後に報告。
お店は、三鷹市にある『中華料理 末広』。早池峰亭と同じく中華食堂だが、チャーシューごはんを提供している。
商品名は「ミニねぎ豚丼」で、単品価格は350円だが、ラーメン類とのセットだと250円になる。
調理に火は使用せず、物価の上昇を考慮すれば、「300円くらい」にも該当するが、
ご飯の量もおかず部分も多く、なにより結構ウマいのである。
こちらがそのミニねぎ豚丼。刻んだチャーシュー&ネギを、ゴマ油やタレで和えてある。


横アングルがこちら。総重量は、普通の牛丼の並盛くらいはありそう。


さっき書いたように味自体も素晴らしく、主役にも脇役にもなる、オールマイティな商品であり、
プロ野球で例えれば、バントや右打ちなど、走者を進める打撃もできて、自身の打率も良く、時には長打も放てる、
しかも守備範囲が広くて肩も強く、脚も速くて盗塁も多く、さらにはルックスまでもいい、
2番打者だった時代の阪急ブレーブス・簑田浩二のような万能選手だ。

※アマゾンサイトから拝借 

上記比喩が、皆さんに伝わるかはさておき(苦笑)、今回のブログを書く気になったのは、
ここのねぎ豚丼を食べて、「これは生涯最高のチャーシューごはんかも!?」と感激したからである。
蓑田と同様、長所がいくつもある末広さんについては、近日中に改めてリポートする。  ※追記 リポートしました

熱狂的なファンは多くなさそうで、なくても困らない料理かもしれないが、あった方がちょっと嬉しい。
そんな、チャーシューごはんのような存在に、私もなりたいものである。なんか、宮沢賢治みたいな締めになっちまったな。
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