以前、小平市の『きっちんコバヤシ』をリポートしたとき、「街洋食」という単語を使用した。
最近、一般名詞になりつつある(?)、「街中華」or「町中華」などと意味合いは同じで、
どこの街にもあるような、気軽に入店できる、安くて美味しい洋食のお店を示したつもりだった。
こちらもやはり、街中華と同様、後継者問題やチェーン店の台頭などにより、年々お店が減っており、
そもそも、「気軽」で「安価」な「洋食」という、3つの条件を満たすお店自体が少ない。
私自身、ガキの頃からラーメン店や中華食堂には通っていたが、「行きつけの洋食店」と呼べるお店はほとんどない。
唯一、今回紹介する八王子の『エスエム』さんは、30年ほど前から知っている。
正式名は『グリル エスエム』で、店名の由来は、店主の村木愉さんのイニシャルである。
ということを昨年の夏頃、こちらの記事で記した。そのとき紹介した「カツ カレーライス大盛」と、
※価格は1200円
「カニクリームコロッケ」850円の画像を再録。
ついでに、未公開画像のコロッケの中身も。ホワイトソースからは、カニの風味を存分に感じられる。
中のクリームだけでなく、付け合わせの野菜ソテーやマカロニサラダもウマかった。
このお店の存在は、八王子の友人宅に遊びに行ったとき、何度か出前を取ってもらったことで知った。
カレー、ナポリタン、ハンバーグライスなどの出前専用メニューの中から、私はほぼ毎回、ハンバーグを注文していた。
当時は、料理の美味しさもさることながら、「”エスエム“だってよ、ウヒヒヒ」と、店名の響きに興奮したものだった。
程度が低い、とあきれるだろうが、当時の若く好奇心旺盛な男子(笑)なら、当然の反応である。
実際、数年前までは、「八王子 エスエム」で検索すると、いかがわしいサイトの方が多く見受けられたし。
さっき調べてみたところ、こちらのお店が開業したのは、今から約50年前。
まだ「SM」という概念が、一部マニアの間でしか定着していなかった時代だと思われる。
ある日、いつもの出前ではなく、直接お店に足を運んで食事した。
店内はカウンター席と、大小のテーブル席があり、テーブルには洋食店らしくシートが敷いてある。
いつも出前に来るおじさんが接客・調理補助・出前担当で、もうひとりのおじさんがメイン調理を担当。
ふたりが兄弟で、調理担当シェフのお兄さんが店主であることを、のちに知った。
このとき、何を食べたか忘れたが(多分ハンバーグライス)、小さな厨房で、多くの注文をさばくお兄さんと、
接客、配膳、会計をこなし、さらに出前にも行く弟さんとのコンビネーションは、「これぞ職人!」とうならされた。
そんな、私の初入店から約30年が経過し、おじさんだった村木兄弟も、その分年齢を重ねたものの、
現在も元気に、ふたりだけでお店を回しており、昔より範囲は狭くなったようだが、出前注文も引き受けている。
※弟さんが乗る出前用バイク
そんなスゴイ兄弟を、私はスーパー村木ブラザーズと呼び、尊敬してやまない。
ちなみに、元ネタのファミコンソフト「スーパーマリオブラザーズ」も、品番がHVC-「SM」であった。
シェフのお兄さんは、銀座『千疋屋』で洋食を学んだとのこと。千疋屋といえば、老舗の有名店で価格もソレナリだが、
エスエムさんでは同じメニューでも、半額かそれ以下のお値段で食事ができる。こちらが料理一覧。
そしてこちらが、サラダやスープ、コーヒーなどが付くコースメニュー。
現在「入荷待ち」になっている、サーロインステーキの「Aコース」は1900円。千疋屋だといくら払わされるんだろう?
ポークカツとポークソテーは、通常タイプに+350円で、(厚切り)が選べる。
こちらは、10年ほど前にガラケーで撮影した「ポークカツ・厚切り」1250円(現在の価格、以下同)。
※奥にビールのグラスが見える
食べ応えはあるのだが、コロモがはがれやすいのが難点。脂身もカットされていた。
同じ日に食べた「ナポリタン」800円も掲載。ピンボケ失礼。
具材が多めで、味付けはさほど濃くなく、ズズズっとマナー悪く、音を立てて一気に食べた。反省。
普段は、八王子球場での高校野球観戦後など、昼間に行くことが多いが、先日は、夜の時間帯に訪問してみた。
「ビール」600円=キリン一番搾りの中ビンと、おつまみに「魚のミックスフライ」950円を注文。
しばらくして、ミックスフライが登場。具材はエビ、イカ、ホタテ、キス、サケ。
別アングルからも1枚。付け合わせの野菜とタルタルソースもたっぷり。
野菜には、ほどよい酸味のドレッシングがかかり、レタスとキャベツの他、大根、紫キャベツ、セロリも入る。
揚げ物には、卓上のソースとタルタルを使用。タルタルは単独でもツマミにもなる。
ビールを飲み終わったので、締めとして食事メニューから「エビライス」900円を注文。
海老を茹でるところから始めて、さらにたっぷりのバターでご飯を炒めていく。
正式なピラフは、ご飯を炒めずに炊くので、こちらではエビライスと呼んでいるのだろう。
※マグカップの味噌汁付き
茹でたての海老がたくさん入っているのが嬉しい。残ったエビフライも一緒に置いてみたよ。
シェフはなるべく作り置きはしない主義のようで、注文後にひとつひとつ丁寧に作業をする。
急いでいる方はともかく、カウンター席から調理過程を眺めるのが好きな私にはありがたい。
そういえば昔、ある先輩に「お前はいつもヒマでいいよな」と罵倒されたことがあった。
仕事もなく、時間に余裕があることは否定しないが(嘆)、そんな他人を見下すほど時間に追われるよりは、
こうして、歴史ある街洋食の逸品を、目と舌でじっくり味わえる生活も悪くない…と思うよ。
最後に、私がこちらで30年前から食べている、お店自慢の料理(のはず)、ハンバーグセットを紹介しよう。
さっきのメニュー表に載っていたが、正式な商品名は「Eコース」。
メインのジャンボハンバーグに、目玉焼きなどいろいろ付いて1500円。
30年前の出前は確か1000円だったが、ポタージュやコーヒーはなかったし、物価の上昇を考えると破格である。
注文すると、まずは大きめのボウルでポタージュが出てきた。
お行儀よく、スプーンで音を立てずに味わう。クリーミーかつ濃厚、これぞ家庭では作れないプロの味。
これから「ごちそうを味わう」という期待が高まる、コースの最初を飾るのにふさわしい一品だ。
ところで、ポタージュとみそ汁、両方付くセットって珍しいよね。
その後、お兄さんシェフがハンバーグや野菜などの付け合わせを、温めた鉄板に乗せ、味噌汁をカップに注ぎ、
弟さんがサラダを用意し、ライスをお皿に盛りつける好連係を見せ、コース一式が登場!
サラダはさっきも書いた、薄味のドレッシングでセロリの香りが印象に残るタイプ。
味噌汁はお揚げやワカメなどが入り、ポタージュと比べると塩分が濃い。
メインの「ジャンボハンバーグ(目玉焼)」は、本当にジャンボで、各種野菜ソテーが添えられる。
デミグラスソースは、濃すぎずクドすぎず、肉や野菜の旨味を引き出す懐かしいテイスト。
久々のハンバーグは、写真のように玉ねぎが粗目に刻まれており、歯応えがいい
「やっぱりウマい…」とバクバク食べ進んでしまい、ハンバーグなどが残っているのに、ご飯がなくなってしまった。
当然「お替わりください」となり、目玉焼きを乗せて、再度バクバク食べ始める。「ライス」は250円。
食べ終わる頃を見計らい、弟さんがコーヒーを出してくれた。
コーヒーは苦手な私だが、砂糖とミルクをたっぷり入れて飲み、大満足で「ごちそうさまでした」。
食べたことのないメニューも多いが、現時点で私のおススメはやはり、昔から食べているハンバーグセットだ。
八王子エスエムは「Eコース」がオススメ、ぜひ覚えておいていただきたい。
上記の文だと、怪しげなお店のコース推奨のようだが(苦笑)、誤解のないように。
繰り返しになるが、エスエムさんのような、素晴らしい「街洋食」の情報、お待ちしております。
グリル エスエム
東京都八王子市横山町21-13
JR八王子駅より徒歩約8分 京王線京王八王子駅からは推定徒歩約6分
営業時間11時半~14時半くらい、16時半~20時半 ※冬場は20時くらいまで
定休日 火曜、年末年始
※出前は浅川を渡らない範囲まで、とのこと
※残念ながら、23年に閉店なさったようです
※※2024年10月追記 同じ住所で、息子さんが二代目エスエムを新装開業したようです
最近、一般名詞になりつつある(?)、「街中華」or「町中華」などと意味合いは同じで、
どこの街にもあるような、気軽に入店できる、安くて美味しい洋食のお店を示したつもりだった。
こちらもやはり、街中華と同様、後継者問題やチェーン店の台頭などにより、年々お店が減っており、
そもそも、「気軽」で「安価」な「洋食」という、3つの条件を満たすお店自体が少ない。
私自身、ガキの頃からラーメン店や中華食堂には通っていたが、「行きつけの洋食店」と呼べるお店はほとんどない。
唯一、今回紹介する八王子の『エスエム』さんは、30年ほど前から知っている。
正式名は『グリル エスエム』で、店名の由来は、店主の村木愉さんのイニシャルである。
ということを昨年の夏頃、こちらの記事で記した。そのとき紹介した「カツ カレーライス大盛」と、
※価格は1200円
「カニクリームコロッケ」850円の画像を再録。
ついでに、未公開画像のコロッケの中身も。ホワイトソースからは、カニの風味を存分に感じられる。
中のクリームだけでなく、付け合わせの野菜ソテーやマカロニサラダもウマかった。
このお店の存在は、八王子の友人宅に遊びに行ったとき、何度か出前を取ってもらったことで知った。
カレー、ナポリタン、ハンバーグライスなどの出前専用メニューの中から、私はほぼ毎回、ハンバーグを注文していた。
当時は、料理の美味しさもさることながら、「”エスエム“だってよ、ウヒヒヒ」と、店名の響きに興奮したものだった。
程度が低い、とあきれるだろうが、当時の若く好奇心旺盛な男子(笑)なら、当然の反応である。
実際、数年前までは、「八王子 エスエム」で検索すると、いかがわしいサイトの方が多く見受けられたし。
さっき調べてみたところ、こちらのお店が開業したのは、今から約50年前。
まだ「SM」という概念が、一部マニアの間でしか定着していなかった時代だと思われる。
ある日、いつもの出前ではなく、直接お店に足を運んで食事した。
店内はカウンター席と、大小のテーブル席があり、テーブルには洋食店らしくシートが敷いてある。
いつも出前に来るおじさんが接客・調理補助・出前担当で、もうひとりのおじさんがメイン調理を担当。
ふたりが兄弟で、調理担当シェフのお兄さんが店主であることを、のちに知った。
このとき、何を食べたか忘れたが(多分ハンバーグライス)、小さな厨房で、多くの注文をさばくお兄さんと、
接客、配膳、会計をこなし、さらに出前にも行く弟さんとのコンビネーションは、「これぞ職人!」とうならされた。
そんな、私の初入店から約30年が経過し、おじさんだった村木兄弟も、その分年齢を重ねたものの、
現在も元気に、ふたりだけでお店を回しており、昔より範囲は狭くなったようだが、出前注文も引き受けている。
※弟さんが乗る出前用バイク
そんなスゴイ兄弟を、私はスーパー村木ブラザーズと呼び、尊敬してやまない。
ちなみに、元ネタのファミコンソフト「スーパーマリオブラザーズ」も、品番がHVC-「SM」であった。
シェフのお兄さんは、銀座『千疋屋』で洋食を学んだとのこと。千疋屋といえば、老舗の有名店で価格もソレナリだが、
エスエムさんでは同じメニューでも、半額かそれ以下のお値段で食事ができる。こちらが料理一覧。
そしてこちらが、サラダやスープ、コーヒーなどが付くコースメニュー。
現在「入荷待ち」になっている、サーロインステーキの「Aコース」は1900円。千疋屋だといくら払わされるんだろう?
ポークカツとポークソテーは、通常タイプに+350円で、(厚切り)が選べる。
こちらは、10年ほど前にガラケーで撮影した「ポークカツ・厚切り」1250円(現在の価格、以下同)。
※奥にビールのグラスが見える
食べ応えはあるのだが、コロモがはがれやすいのが難点。脂身もカットされていた。
同じ日に食べた「ナポリタン」800円も掲載。ピンボケ失礼。
具材が多めで、味付けはさほど濃くなく、ズズズっとマナー悪く、音を立てて一気に食べた。反省。
普段は、八王子球場での高校野球観戦後など、昼間に行くことが多いが、先日は、夜の時間帯に訪問してみた。
「ビール」600円=キリン一番搾りの中ビンと、おつまみに「魚のミックスフライ」950円を注文。
しばらくして、ミックスフライが登場。具材はエビ、イカ、ホタテ、キス、サケ。
別アングルからも1枚。付け合わせの野菜とタルタルソースもたっぷり。
野菜には、ほどよい酸味のドレッシングがかかり、レタスとキャベツの他、大根、紫キャベツ、セロリも入る。
揚げ物には、卓上のソースとタルタルを使用。タルタルは単独でもツマミにもなる。
ビールを飲み終わったので、締めとして食事メニューから「エビライス」900円を注文。
海老を茹でるところから始めて、さらにたっぷりのバターでご飯を炒めていく。
正式なピラフは、ご飯を炒めずに炊くので、こちらではエビライスと呼んでいるのだろう。
※マグカップの味噌汁付き
茹でたての海老がたくさん入っているのが嬉しい。残ったエビフライも一緒に置いてみたよ。
シェフはなるべく作り置きはしない主義のようで、注文後にひとつひとつ丁寧に作業をする。
急いでいる方はともかく、カウンター席から調理過程を眺めるのが好きな私にはありがたい。
そういえば昔、ある先輩に「お前はいつもヒマでいいよな」と罵倒されたことがあった。
仕事もなく、時間に余裕があることは否定しないが(嘆)、そんな他人を見下すほど時間に追われるよりは、
こうして、歴史ある街洋食の逸品を、目と舌でじっくり味わえる生活も悪くない…と思うよ。
最後に、私がこちらで30年前から食べている、お店自慢の料理(のはず)、ハンバーグセットを紹介しよう。
さっきのメニュー表に載っていたが、正式な商品名は「Eコース」。
メインのジャンボハンバーグに、目玉焼きなどいろいろ付いて1500円。
30年前の出前は確か1000円だったが、ポタージュやコーヒーはなかったし、物価の上昇を考えると破格である。
注文すると、まずは大きめのボウルでポタージュが出てきた。
お行儀よく、スプーンで音を立てずに味わう。クリーミーかつ濃厚、これぞ家庭では作れないプロの味。
これから「ごちそうを味わう」という期待が高まる、コースの最初を飾るのにふさわしい一品だ。
ところで、ポタージュとみそ汁、両方付くセットって珍しいよね。
その後、お兄さんシェフがハンバーグや野菜などの付け合わせを、温めた鉄板に乗せ、味噌汁をカップに注ぎ、
弟さんがサラダを用意し、ライスをお皿に盛りつける好連係を見せ、コース一式が登場!
サラダはさっきも書いた、薄味のドレッシングでセロリの香りが印象に残るタイプ。
味噌汁はお揚げやワカメなどが入り、ポタージュと比べると塩分が濃い。
メインの「ジャンボハンバーグ(目玉焼)」は、本当にジャンボで、各種野菜ソテーが添えられる。
デミグラスソースは、濃すぎずクドすぎず、肉や野菜の旨味を引き出す懐かしいテイスト。
久々のハンバーグは、写真のように玉ねぎが粗目に刻まれており、歯応えがいい
「やっぱりウマい…」とバクバク食べ進んでしまい、ハンバーグなどが残っているのに、ご飯がなくなってしまった。
当然「お替わりください」となり、目玉焼きを乗せて、再度バクバク食べ始める。「ライス」は250円。
食べ終わる頃を見計らい、弟さんがコーヒーを出してくれた。
コーヒーは苦手な私だが、砂糖とミルクをたっぷり入れて飲み、大満足で「ごちそうさまでした」。
食べたことのないメニューも多いが、現時点で私のおススメはやはり、昔から食べているハンバーグセットだ。
八王子エスエムは「Eコース」がオススメ、ぜひ覚えておいていただきたい。
上記の文だと、怪しげなお店のコース推奨のようだが(苦笑)、誤解のないように。
繰り返しになるが、エスエムさんのような、素晴らしい「街洋食」の情報、お待ちしております。
グリル エスエム
東京都八王子市横山町21-13
JR八王子駅より徒歩約8分 京王線京王八王子駅からは推定徒歩約6分
営業時間11時半~14時半くらい、16時半~20時半 ※冬場は20時くらいまで
定休日 火曜、年末年始
※出前は浅川を渡らない範囲まで、とのこと
※残念ながら、23年に閉店なさったようです
※※2024年10月追記 同じ住所で、息子さんが二代目エスエムを新装開業したようです