4月から中学1,2年生の体育の授業で男女とも武道が必修となる。原則としては柔道、剣道、相撲から選ぶことになっているが、用具などのことから大半の学校が柔道を実施する見込みとなっている。最近になって、新聞、テレビなどで“柔道指導の安全性”への危惧を多く目にするようになった。
今日のNHK“クローズアップ現代”でも取り上げられていた。フランスの柔道指導者育成システムがとても印象的であった。競技者と指導者とは違うということを認識して、きめ細やかなカリキュラムで競技者を指導者に育成している映像を見て、日本の遅れを痛感した。
小学校への英語の導入の時も再三書いたが、それに見合う教員を育成するシステムがないまま現場に丸投げである。英語の場合は“命”に直接関係することはないと思うが、柔道の場合は死亡や不随という重大な事故の危険性に直結している。しっかりとした指導者育成システムをつくりあげなければいけないだろう。
もっと言えば教員養成カリキュラムそのものを見直す必要がある。条件整備を充分しないままの見切り発車的なことを繰り返していてはいけないのではないかと強く思う。
私は高校2年の時、体育で柔道か剣道を選らばなければならなかった。相撲は大好きだったが選択肢にはなく、柔道は寝技が嫌いだったので仕方なく剣道にした。
防具の臭さと汗の乾いていない状態の小手をつける時のつめたさには閉口した。指導のN先生は専門家ではなかった。同じクラスに剣道部のMくんがいた。2段だったと思う。背丈の関係から彼と組んで稽古をすることが多かった。普段の生活では物静かでおだやかなM君であったが、防具をつけると豹変する。
初めてかかり稽古をした時、素人やからお手柔らかにたのむ。と言う言葉に面をつけながらニコニコとうなづいていたM君、いざ面をつけて向き合うとどこからそんな声が出るのかという声を出し、情け容赦なく鍛えてくれた。小手や面を打たれた時の痛さは形容しがたい。押され打たれ何がなんだかわからないうちに終わったが、面を取ると何事もなかったように元の穏やかなM君になっていた。
その時、酒を飲むと豹変する叔父のことを思い起こしていた。以来、1週間に1度の剣道は恐怖の時間となった。
ある日、何を思ったのかN先生がMくんに1本勝負をしようと声をかけた。指導者といってもN先生、大学のカリキュラムの中で剣道を経験したぐらいで、現役バリバリで背も15cmほど高いM君と勝負して大丈夫かなと心配した。しかも、面をつけた時の豹変振りは知らないに違いない。
全員が道場の縁に坐って見守る中、N先生とMくんの一本勝負が始まった。思ったとおり豹変したM君は先生に対する遠慮もなく攻め立てていった。N先生は防戦一方、つばぜり合いから上背があるM君がグイッと押すとN先生は腰砕けのようになり、そこに面をきめるべくMくんは竹刀を上段に構え打ち込んでいった。勝負あったとみんなが思った瞬間、Mくんがバッタリ倒れたのである。瞬時の出来事に唖然としたが、N先生がとっさに“ツキ”をm君ののどもとに入れたのであった。入れてしまった。のほうが正しいかな。
“ツキ”に関しては危険なので、絶対使ってはいけないと毎時間注意をされていたものなので、まさか先生自らが破るなどMくんも見ていた生徒も思いもしなかった。保健室へ運ばれていくM君を見ながら複雑な思いを持った。
中学校で始まる武道の必修化、心配が杞憂で終わることを祈っている。
今日のNHK“クローズアップ現代”でも取り上げられていた。フランスの柔道指導者育成システムがとても印象的であった。競技者と指導者とは違うということを認識して、きめ細やかなカリキュラムで競技者を指導者に育成している映像を見て、日本の遅れを痛感した。
小学校への英語の導入の時も再三書いたが、それに見合う教員を育成するシステムがないまま現場に丸投げである。英語の場合は“命”に直接関係することはないと思うが、柔道の場合は死亡や不随という重大な事故の危険性に直結している。しっかりとした指導者育成システムをつくりあげなければいけないだろう。
もっと言えば教員養成カリキュラムそのものを見直す必要がある。条件整備を充分しないままの見切り発車的なことを繰り返していてはいけないのではないかと強く思う。
私は高校2年の時、体育で柔道か剣道を選らばなければならなかった。相撲は大好きだったが選択肢にはなく、柔道は寝技が嫌いだったので仕方なく剣道にした。
防具の臭さと汗の乾いていない状態の小手をつける時のつめたさには閉口した。指導のN先生は専門家ではなかった。同じクラスに剣道部のMくんがいた。2段だったと思う。背丈の関係から彼と組んで稽古をすることが多かった。普段の生活では物静かでおだやかなM君であったが、防具をつけると豹変する。
初めてかかり稽古をした時、素人やからお手柔らかにたのむ。と言う言葉に面をつけながらニコニコとうなづいていたM君、いざ面をつけて向き合うとどこからそんな声が出るのかという声を出し、情け容赦なく鍛えてくれた。小手や面を打たれた時の痛さは形容しがたい。押され打たれ何がなんだかわからないうちに終わったが、面を取ると何事もなかったように元の穏やかなM君になっていた。
その時、酒を飲むと豹変する叔父のことを思い起こしていた。以来、1週間に1度の剣道は恐怖の時間となった。
ある日、何を思ったのかN先生がMくんに1本勝負をしようと声をかけた。指導者といってもN先生、大学のカリキュラムの中で剣道を経験したぐらいで、現役バリバリで背も15cmほど高いM君と勝負して大丈夫かなと心配した。しかも、面をつけた時の豹変振りは知らないに違いない。
全員が道場の縁に坐って見守る中、N先生とMくんの一本勝負が始まった。思ったとおり豹変したM君は先生に対する遠慮もなく攻め立てていった。N先生は防戦一方、つばぜり合いから上背があるM君がグイッと押すとN先生は腰砕けのようになり、そこに面をきめるべくMくんは竹刀を上段に構え打ち込んでいった。勝負あったとみんなが思った瞬間、Mくんがバッタリ倒れたのである。瞬時の出来事に唖然としたが、N先生がとっさに“ツキ”をm君ののどもとに入れたのであった。入れてしまった。のほうが正しいかな。
“ツキ”に関しては危険なので、絶対使ってはいけないと毎時間注意をされていたものなので、まさか先生自らが破るなどMくんも見ていた生徒も思いもしなかった。保健室へ運ばれていくM君を見ながら複雑な思いを持った。
中学校で始まる武道の必修化、心配が杞憂で終わることを祈っている。