素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

「半径」にひっかかる

2012年02月07日 | 日記
 今日は“特定検診”を受けるため朝食抜きで11時まで過ごさなければいけない。仕事に就いていた時は年1回の検診があったが、退職してからは検診はパスしてきた。自分自身が数値にこだわるタイプであることがわかっているので体の状態が数値化されて出てくる検診から逃げていたともいえる。

 しかし、医療費抑制のためにがん検診の無料クーポンを発行したり、特定検診をきめ細かに推奨する取り組みを始めている市に対して協力する義務もあるだろうと初めて受けることにした。朝食抜きの生活は何となくリズムがくずれる。時間つぶしに本棚の整理をしていると奥のほうに隠れていた“和英辞典”を見つけた。娘が高校の時使っていたものである。娘から譲りうけたものの私にとっては使うことのない辞書なので10年以上目にふれないところに押し込められていた。

 “舟を編む”以来、辞書に対する見方が変わり、時々“言葉の森”を歩く感覚で調べるというより読むようになった。“和英辞典”もそうしてみてみるとけっこう新鮮で面白くパラパラとめくって読んでいた。【半径】の英語のところで目が止まった。“a radius”半額がhalf(the)price、半月がa half moonだが直径の半分の半径はa half “直径”じゃないんだ。じゃ直径は?と今度は調べてみた“a diameter”口語的には“across”を用いる。とあった。

 数学で使用する記号や文字、数字の歴史については割とこだわりがあり調べてきたという自負があったが、図形の中で最も基本である円の直径や半径に関しては空気のように当たり前すぎて考えてこなかったとはたと気づいた。円の面積の公式“πrの2乗”や球の体積の公式を“身の上が心配であるから参上する”と使っていた半径を表す“r”はradiusから来ていたのかと「何を今さら」ではあるが思い至った。

 そこで、岩波英和辞典でradiusを調べると“半径、(車輪の)輻(や)、活動[勢力]圏、圏内《植》頭上花の周囲に輪生する花、放射組織”とあり、中心から放射上に出ているものをイメージしているものに使われている。その周辺の単語を見ると放射線とかラジオなどが目につき語源的には同じ?という勝手な推測をする。“radio-”「無線、放射、半径、ラジウム」などの意の連結形。という記述もあった。

 となると“半径”という言葉は“直径の半分”ととらえてしまいがちになる。これはまずい訳語ではないか。中心から放射状に広がるイメージを持った日本語にするといいかもしれない。などと考える。こういうことをふまえて授業にのぞんだならばもう少し違った視点から“r”をふくらますことができたかもしれない。今となっては“後の祭り”だが「引き出し」には入れておこう。

 輻(や)という言葉も広辞苑で調べ、そこから新国語要覧の牛車の解説に進んだりとしばし空腹を忘れることができた。
《知れば知るほど無知を知る》をまたまた実感した。
コメント
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