素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

玉岡かおる著『負けんとき~ヴォーリズ満喜子の種まく日々~』《下巻》読み終わる

2012年02月27日 | 日記
 《上巻》以上のスピードで《下巻》は読み終えた。我ながら驚くべき集中力であった。よく調べ、しっかり構成し平易な美しい言葉で読みごたえのある物語が集中力を引き出してくれた。“おわりに”を読んで納得。2年間、足を使って夫妻の足跡を丹念にたどり、イメージをふくらませていった結果のことである。

 示唆に富むことが数え切れないほど詰まっている。今だからこそ、多くの人に読んでもらいたい本だと思った。

 1748年に出版されたモンテスキューの『法の精神』によって、立法、司法、行政の三権分立という概念が打ち立てられた。1787年に制定されたアメリカ合衆国憲法や1789年のフランス人権宣言などに反映され、近代国家の背骨、指標となっている。

 しかし、たかだか250年余りの歴史しかない。長い歴史の中で出来上がってきたそれぞれの国の制度の中で、どのように生案回かしていくのかは模索の段階といえる。アフリカ、中東での動き、ロシアの政治情勢などはこのことを物語っている。それらを鏡として三権分立についてもう一度深く考えていきたい。

 なぜなら日本の場合も戦後発布された日本国憲法によって初めて制度化されたものであり、充分機能しているとは言いがたい。昨今の“リーダーの強い指導力”待望論の中には、三権分立を否定するものもひそんでいるからである。基本的には権力の分散、相互監視が要であるので、見方によってはまどろっこしいからである。

 昔、立法・司法・行政にプラスして教育も入れ四権分立をいった人もいる。『負けんとき』を読みながら思い出した。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする