‟お急ぎ便”看板に偽りなし

　昨夜の21時過ぎにFAXが入った。予想通り志摩の父からである。新聞や雑誌で読みたい本を見つけると依頼してくる。本屋で取り寄せると2週間以上は待たなければならず、気持ちの上で旬を逃してしまう。そのことで愚痴っていたので私がAmazonを使って取り寄せてあげた。2～3日で読みたい本が手元に届くので驚いていた。鈍行列車で行っていた人間が新幹線を利用したようなものである。

　以来、本の注文は私にFAXするという流れができあがった。8割は戦争をテーマにしたものであった。学徒出陣で関わった太平洋戦争について多くは語らないが、父の中に大きな存在としてあり続けるのだろう。

　今回は、坂井三郎著「大空のサムライ」（光文社NF文庫）であった。宮崎駿監督の映画『風立ちぬ」で零戦とその設計主任である航空技術者の堀越二郎さんが話題になっているが、零戦のパイロットとして名声を得たのが坂井三郎さん。私はよく知らなかったが、注文作業を通していろいろ調べてみた。引き出しに入れて置きたいと思った。

　22時頃に注文を確定したが、在庫有りでお急ぎ便であれば明日届くとあった。お急ぎ便無料体験キャンペーンとあったので、本当に今の注文で明日には志摩市の実家に届くのか試してみたくなった。日本の流通システムは世界遺産級のものだと思っているが実感するいい機会だと遊び心が働いた。実家にはお急ぎ便のことは伝えなかった。

　20時過ぎ母から本が届いたというメールが入った。あまりの早さに驚いているとのこと。退屈な日常、ちょっとした驚きもいいかという狙いもあった。父に言わせれば新幹線からリニアモーターカーに乗り換えた感覚である。

　遊びは１回。１か月過ぎると自動的に会員に登録され年会費をしっかりとられる。「無料ほど怖いものはない」のでアカウントサービスをひらいて自動登録の削除をする。

　それにつけても大したシステムである。