昨日は終戦記念日でした。
かみさんの郷里で親族たちとお昼を食べている途中に有線放送があり、正午、みんなで黙祷をしました。
夕方家に帰り、夜、NHKスペシャル「終戦・なぜ早く決められなかったのか?」を見ました。
新聞にはオリンピックのメダルが史上最高の38個だと報道されていました。
私もテレビでかなり見て感動させてもらいました。日本人にはまだまだしっかりと力があるのですね。
そして、応援する人たちを見ながら、やはり日本人は日本を愛している・愛したいのだと思いました。
それらすべてを通じて、日本はまだ終戦というより「敗戦体験」の社会的・文化的・心理的統合ができていないことを感じています。
つまり、どうしたら素直にそして正当に国を愛することができるかということがつかめていないのではないでしょうか。
私は、コスモス・セラピーの序論で、「自信にはおおまかに言って個人レベルと集団レベルと宇宙レベルがあり、そのすべてについて自己肯定できるようになることが望ましいのですが、敗戦後の社会心理的な事情で素直に自分の所属する集団である『国』を愛する気持ちを持つのが難しく、『愛国心』とか言うとそれだけでとたんにアレルギーを起こす人が多いので、汎用性を考慮して、個人レベルと宇宙レベルだけ扱うことにしています」と話します。
しかし、現代の日本人とりわけ若者が自信を持ちにくい大きな理由の一つに戦後文化の問題がありますので、大学の授業では「日本人の精神的荒廃の3段階」という話をします。
それから、西洋の近代科学とニヒリズムの関係の概説をした後で、現代科学のコスモロジーの話に入っていきます。
そうした授業プログラムの中間と最後で、よく聞いてくれた学生は、例えば以下のような変化を示します。
H大学経済学部2年男子
この本を読む前までは、コスモロジーという言葉は聞いたこともなく、考えたこともありませんでした。
けれどこの本を読んで、人生観、世界観そしてコスモロジーについての考え方が180度変わりました。
今までは、人は死んだら無になる、自分に自信がないなど先生が意図する考えに陥っていました。
またアメリカを中心とした欧米諸国が常に正しく、私の住む日本はそれらを模範として進んでいかなければと考えていました。
まさか都合よくアメリカにマインドコントロールされているのも気付かず、日本国民としての誇り、大和魂を失っていました。
神仏儒習合を重んじ、自分自身をリセットし、これから生活していきたいと思います。
先生のおかげで、少し心の闇が晴れました。
本当にありがとうございます。
ここで注目してほしいのは、「日本国民としての誇り、大和魂を失ってい」たことと「自分に自信がない」「心の闇」ということがすべて関連していることです。
それに対して、国民としての誇りを持つことはすべていけないことではなく、自己絶対視・排他的にならない限りは、どの国民にとっても正当な権利であることに気づくと、「少し心の闇が晴れました」という気持ちになるのです。
この学生が感じていた「心の闇」は、実は戦後の日本人全体がずっと抱えたままの心の闇なのではないか、と私は考えています。
前期中間レポートの感想に上のように書いたこの学生は、期末レポートには次のような変化を報告してくれています。
先生の言葉を受けて、世界観が変わり、視野が広がりました。
特に命は、宇宙の一部、歴史のひとつという言葉は、自分の存在意義に気づくとともに、感動を覚えました。
コスモロジー的な考え方は今まで自分が経験したことのない領域であり、常に興奮を感じていました。
この授業を通じて、いのち、つまり人間を、宇宙と関連づけて考え、自分も、古くからつながってきたご先祖さまからのいのちの鎖をつないでいきたいと思いました。
これからもよろしくお願いします。
「ご先祖さまからのいのちの鎖をつないでい」くという考え方こそが、日本人の倫理性・精神性の豊かさを支えてきたもの――そして失われつつあるもの――であることは言うまでもありません。
後期、日本人の精神性の核であった仏教の本当の意味を伝えることによって、この学生、また学生たち全体が、さらにどんな変化を示すか、楽しみにしているところです。