近代のデカルト的な主客分離の認識方法に基づいた宇宙論・コスモロジーでは、当然、「主体・私はこちら、客体・宇宙はあちら」という宇宙認識をします。
そうした近代的な宇宙の見方は恐ろしいほど世の中に蔓延していて、テレビの報道などで宇宙の話があるといつも、「(地球から)宇宙へ行く」「宇宙から帰ってくる」といった言葉が使われます。
しかし、現代科学は私たちが宇宙の中に存在しており、宇宙の一部であることを、科学的に明らかにしていますし、よく考えれば事実としてもそういうほかありません。
「私がこちら、宇宙はこちら」というものの見方は、近代科学の方法としては有効性があり、日常的な言い方としては問題ありませんが、事実としても現代科学的にも本質的にはまちがっているというほかありません。
授業でそのことを指摘すると、学生たちははっと気づいてくれます。
以下の2つの感想文は、そのことへの気づきと気づきから生きることへの責任感が生まれたことを報告してくれています。
H大学社会学部1年男子
前回、この本の第1章を読んで自分の中で人生観が少し変わったのですが、今回の範囲を読み終わった時、さらに大きな衝撃をうけました。
まさか、この私がこの世界を生み出した宇宙の一部分であるということなど考えたこともなかったからです。
それ以前に、私は先生もこの本で指摘されていたように、「宇宙とは地球の外側である」という誤った認識をしていました。
初めて、私は宇宙の一部であるということに気づいて、私は何か言葉では言い表せないような大きな力を感じ、強い自信がわいてきました。
それと同時に私は、この世界をつくった宇宙の一部なのだから次の進化のために立派に生きなければならないといった、強い責任感を感じました。
これは、私が生まれるために、さまざまな種が一生懸命に進化してきてくれたということを知ったことも1つの原因になっていると思います。
今まで、私はニヒリズム的・快楽主義的考え方をしており、なぜ私が存在するんだろうと本気で思っていました。
しかし、この本を読んで私にはやらなければいけないことがたくさんあることが分かり、もう二度とこんな愚かな考え方をするのはやめようという考えに至ることができました。
これからは、自分が宇宙の一部であるということを自覚しながら、立派に生きていきたいと思いました。
H大学経済学部1年女子
文中の引用部分で多くの科学者がいう、私たち皆が「天で作られた」「星のかけら」という言葉を聞いて、心が不思議なかんじがしたのと同時に、高校生の時のある校長先生の話を思い浮かべました。
私の高校は一応県トップの進学校だったので、その校長は元教育委員長だったり、その後そういった地位につく人が多く、どこか堅くるしい感じがしていました。
その中で異彩を放っていた校長先生が一人居らっしゃったのですが、その先生は頻繁に私たち生徒を「光のつぶつぶ」という表現をしていました。
校長先生は演劇に通じていたようで、話すこともどこか小説っぽくて当時私は「またか…」くらいにしか話を聞いていなかったし、周りのみんなも「光のつぶつぶ」という言葉に笑いが起きていました。
でも、今は私たち皆が無条件に大切な存在であるということを伝えたかったのだ、ということがよくわかりました。
私たちの体を構成する成分が宇宙の歴史の初めに創発されたことから理論的にも私も皆も宇宙の歴史を担っていて、生命を受けついでいる。
このことを知ると、私の“生” が本当に尊いものに思え、無性に両親に感謝したくなります。私をこの世に存在させてくれていることに。
実際、恥ずかしくてそんなことはできないのですが、来年、私もとうとう20歳になります。成人します。この期に何か恩返しできたらと考えています。
最近、テレビの「宇宙」という言葉に敏感になってきました。
先日もある番組で「宇宙に個人的に行く」費用などについての特集をしていたのですが、私はその製作者に「今、まさに私たちが生きるこの場所も宇宙であり、私もあなたも宇宙です!!」と伝えたくなりました。
やはり、少し前の私がそうだったように、多くの人が宇宙の認識に間違いがあるようです。
このことに多くの人が気づけたら、人間同士の血なまぐさい争いなどを起こす気などわかないだろうし、政治家が原発で世の中が混乱する中、自分だけの身を守るために血まなこになっておろかに逃げまどうことなどなくなるだろうし、何より、自分の生命を、祖先の生命を、次の世代につなげたいと願うはずです。
私は地球の創発は必然だったと思います。
そして私が、何度読んでも感慨深く思うのが、地球の胎動期の話です。
宇宙の自己組織化によって誕生した地球に、また多くの生命が生まれ、そして人間が生まれました。
考えることができて、意志を持って行動することができ、伝達することのできる人間は宇宙の自己認識器官であるのなら、私たちの役割は何なのか。
今の人間は明らかに、宇宙が望んだ世界とは異なるものを創ったのではないかと思います。
もっと多くの人が本来の自分の存在を知って、自分の担う役割を努められればと思います。
私はもっと自分の生に自信と感謝の気持ちを持ち、これから生きる人間として不足している知識、まず日本についてから学びたいと思いました。
確かに、私たちは宇宙の中に宇宙の一部として生まれてきた以上、それにふさわしく生きる責任がある、と私も思っています。
そういう思いを次世代の若者たちと共有できて、とても幸せな気分です。
いつも本当にお疲れ様です。
学生さんたちの心にコスモロジーが伝わっていく様子に、私の方がドキドキしました。素晴らしい感性、理解力ですね!
進化の最先端にいる私たちには、しっかり生きる責任があります。
沢山の人々にこのコスモロジーが届いて、世界が平和になってほしいと願っています。
学生たちの感性、理解力、すばらしいですね。
次世代のそういうすばらしさは、次世代が創ってくれるはずの次の社会に希望を感じさせてくれます。
まず日本から、そして世界全体に、このコスモロジーが届くよう、これからも諦めることなく、伝え続けていきたいと思っています。
よろしく。