第一秘書の「政治資金虚偽記載」で起訴の処分を受けての判断。
大手新聞と、週刊誌的要素の強いタブロイド版の大衆新聞のこの問題に対する扱いは対照的だ。
朝日新聞は「民主マグマ噴出、辞任説飛び交う」だが、「日刊ゲンダイ」は「検察大失態、批判噴出」と、まったく角度が違う。
大手新聞は、政権与党と同様小沢氏を追い落としたいようだ。
記者クラブ制度で、フリーの取材者や弱小報道関係者を排除している大手マスコミは政権与党と癒着することで命脈を保っている。
私は小沢氏も民主党にも特に期待するものではないが、それでも政権交代で変わるものはあるのだろう。だから現政権側、つまり既得権益を失う側が、それを失うまいとして躍起になっている一つの表れが今回の事態だと思う。
それにしても自民党の議員が小沢氏の金権体質を批判する言動には「あなた方にそれを言う資格はないだろう」と見ていて非常に不愉快だったが、主流マスコミの言うことを素直に信じる人たちはどう見たのだろうか。
いずれにせよ、総選挙は近い。麻生首相は任期満了までやりたいようだが、各候補は選挙モードだ。
地元自民候補は、麻生氏とのツーショットを避け、少子化大臣の小渕優子氏の名前と顔を借りている。
民主党候補は、年金問題のエキスパート長妻昭氏だったが、昨日見たポスターは小沢氏とのものだったので、小沢氏と共に戦う覚悟を決めたのだろう。検察が小沢聴取も逮捕もできないという見通しが立ったので差し替えたのでは。
その自民候補の夫人が地元の人の案内で、挨拶にやってきた。
私はその候補を全く支持しないが、だからと言って不快な表情もできず、応対していたら、夫人が握手を求めてきた。一瞬ためらったけどこれも断れなかった。
あの辛口評論で知られる佐高信氏も何かの会合で故小渕総理に無理矢理手を握られてしまったと書いていたが、大多数の人はこんなものではないだろうか。
私は考え込んでしまった。この夫人の出自や経歴は知らないが、今やこの人の生きる目的や意味は「夫が議員に当選し続けることだけ」なのではないだろうか。
そのためなら握手もする、土下座もする、何だってする、そういうふうになってしまっている。
この夫人が連立を組む公明党=創価学会の票を確実にするための代償として学会員になっているという話を聞いたことがある。おそらく全国いろんなところで、そうしている自民党候補夫人がいることだろう。
学会の宗教的主旨に賛同してそうしているのではなく、ただ選挙で勝ち抜くための方便としてそうしているのであろうから罪深く、実に罰当たりなことだ。
そうまでして国会議員であり続ける目的は、この自民党候補の場合は国のためでもなく、人々のためでもなく、古くからの名家としての我が家と、一族、一族が経営する企業グループの安泰のためである。
その候補夫人を案内してくる地元の人は愚かでお人よしという他はない。
「馬鹿は死ななきゃ治らない」と言うが、これは正確ではない。馬鹿は馬鹿を自覚しないまま死んで終わりだ。また新しい馬鹿が生まれる。
そして夫人に握手してもらった人の中にはそのことだけで、自分の立場を忘れてこの候補に投票してしまう人も大勢いるのだろう。
こうして小選挙区制では限りなく世襲が続き、政治の私物化が続くのだ。
この間、群馬県の渋川市で介護施設が火事になり、10人が焼死する事故があったが、日本国の中で最も税収の豊かな東京都が最も福祉に冷たいという。これは福祉問題の専門家樋口恵子氏が言う。
東京は地価が高い、だから老人のための施設を作るのが困難というのはウソ。公共の土地はまだたくさんあるし、小学校なんか都心ではどんどん廃校になっているのだからやり方はいくらでもある。
やろうとしないだけ。そして東京オリンピックを呼ぼうとしたり、そのために築地市場を汚染された土壌の土地に移転しようとしている。
樋口さんは私が都知事になっていたらこんなことはさせない、と言っていたが、馬鹿でお人よしの都民は石原に投票したか、選挙に行かず、今日の惨状を招いている。一票は侮れない。
それにしても石原知事は自分も後期高齢者なのに、その事実を認めたくないのか想像力のない人だ。作家としては一流とはいえないということだろう。
自分は息子が4人もいるから爺捨て山に追いやられることはないだろうが。自分さえよければいい、というのでは政治家の資格はない。