11年度税制大綱固まる。
先週の記事だが、何と言っても目に付くのは「法人税5%減税」。
減税により企業活動を活発にし、経済成長を促し、ひいては雇用を増やすことにつなげるためと菅総理は言うが、「その保証はない」と、減税を要望していた経団連のトップが自ら言う始末。
経済や税のことをあれこれ言える知識はないので、「法人税」というものが利益にかかる税で、実は今7割の企業が払っていないということも最近知った。
名だたる大企業や銀行の中にも表向き「赤字決算」を計上して税を免れている場合もあるようだ。
ただでさえ「財源がない、財源がない」と言っている時に最優先でやるべきことではない。
財源不足の中での「予算編成」で、通奏低音で聞こえてくるのは「消費税増税」だ。
しかし5%の増税の直撃を受けるのは末端の消費者以上に中間の業者や自営業者だということをノンフィクション作家の斉藤貴男氏が『消費税のカラクリ』という著書で明らかにした。
自らも物書きという自営業者だから、死活問題でもある。
元請に対して下請け、孫請けの業者は、消費税分を上乗せしにくい立場であり、消費者に対しても10㌫ということになれば、そもそもの商品の値段を利幅を薄くして押さえなければならない。
両者の板ばさみになって、やっていけなくなる自営業者が急増し、消費も冷え込み、日本経済は更なる閉塞状況に落ち込んでいくだろうというのだ。
「経済とは何だろう」と素人なりに考えてみるに、お金と物を回して行くことだという気がする。
タライの水を回すように常に回して、滞らせてはならない。溜め込んではならない。
利益をあげたらそれを賃金として働く人に回し、税として社会に還元する。
そうすることで次の循環が生まれてくる。
守銭奴化して貯めこみ、強欲に総取りしてしまっては経済の動きは止まる。
少し前に「一週間で資本論」という番組がNHKで放映された。
資本家がお金を増やすことに血眼になって走り続け、一円でも減らすのはイヤという地獄に落ちるメカニズムは「資本論」を読めばわかると、解説の大学の先生が言っていたが、私は「資本論」をまともに読んでいないのでわからない。常々不思議に思っていることなのだけれど。
しかしこの「地獄」のメカニズムを止めるのは成熟した市民と市民社会であるとも解説の先生は言った。
経済発展の真っ只中の中国やインドの購買力はすごいが、かつての高度経済成長時代の日本もそうだった。
が、今日本では若者に物離れの傾向が進んでいるという。成熟した経済社会で育った彼らは物を買ったり、所有することに執着しない。
出資・経営・労働を参加者全員がにない、規模拡大ではなく適正規模を維持し、利益は公正に還元するという「協同労働」の考え方が、こうした若者によってになわれていく可能性がある。
資本主義を超える実践的経済活動が21世紀の世界には求められている。
アメリカという国の三つの病い。
日本の政府与党や外務官僚、御用学者、大メディアがすがってやまないアメリカだが、致命的な三つの病をかかえていると、私は思う。
一つは、前回のブログで触れた、マネー詐欺ゲーム依存症。
そして「デモクラシーNOW」は、アメリカの保守的な人々に影響力を持っている「キリスト教右派」による宗教依存症を報じた。
キリスト教右派のリーダー達は、「何より国民の危機を政府が救済することを恐れている。そんなことをされたら宗教は必要なくなってしまう」。
国民皆保険をめざす「医療保険改革」をあれほどまでに「憎悪」した理由はここにある。
キリスト教右派の信奉者達の特徴に、「不幸な生い立ち」というのがある。彼等の現実は理想の家族の形とは程遠い場合が多い。
両親の離婚、親からの虐待、その不幸からたどりついたのがキリスト教右派の信仰だ。
これは日本でも新興宗教の信者の形でもある。
ティーパーティー運動のカリスマの観があるサラ・ペイリン女史も、ダウン症の子供をかかえ、長女?は10代で「できちゃった婚」をしている。そういう状況自体は、誰にでもどこにでもあることだが、全てを「神の思し召し」として現実を見ない道を選ぶ。
終末は近づいているが、しかしキリスト教右派=福音派だけは救われるのだ。
私の母は、戦後アメリカから長野にやって来たキリスト教の女性宣教師(右派と言うわけではなかったと思うが)に日本語を教える家庭教師をしたことがある。
その宣教師は、米ソの対立が激しくなった時代背景の中で「共産主義は悪魔だ」と言ったという。
母は心底驚いたらしい。宣教師と言えば、宣教師になるために大学などで知的教養も身につけた宗教者であると思っていたのに、これでは自分の嫌いなもの、都合の悪いものは「みんな悪魔だ」と言ってすませばいいことになる。
悩みも迷いもいらないじゃないか。
ブッシュ大統領のイラク侵略はこの理屈で始まった。
そして三つ目の病はアメリカの産業が軍需に大きく依存して、地球上のどこかで戦争や紛争を作り出さないではいられない体質になってしまっていることだ。
しかしこんな病を抱えて、アメリカがこのまま行けるわけがない。
オバマ大統領が当選した時、私はもしかしたらオバマはソ連邦を解体したゴルバチョフにならざるを得ないのではないかと、ちょっと思ったけれど、なにやら現実味を帯びてきた。
菅首相「武器輸出解禁見送り」を決定、社民との連携に配慮。
また「労働者派遣改正法」と、国民新党が推進する「郵政改革法案」を通常国会で成立させる方針を決定という記事が。
菅総理もやや正気を取り戻したのかと一瞬思ったけど、1日でも長く総理でいたいというためだけの決断か。
何しろ、大連立を組みたい自民党が、政権を奪い返したいばかりに、なりふり構わず民主党を攻め立てている現状では、大連立は当面組めそうもない。
ウィキリークス創設者のジュリアン・アサンジ氏が、わけのわからない罪に問われ、国際手配までされて逮捕された。
権力に都合の悪い事実を明らかにしようとすると、必ずこうした報復が権力側からある。
しかしこうした報復は今まで何回も見せられているので、これによって国家の犯してきた罪(この場合アメリカだが)が消えることも減ることもない。
ウィキリークスが公開した情報は、基本的に内部の人間によって情報提供されたものである。
いわゆるハッカー行為によって内部情報を盗んだというものではない。
ということは、内部の人間に「これはひどい。何とかしなくては」という意志があっての行動ということになる。
アサンジ氏は、アメリカ政府の外交文書の次には、アメリカの多国籍企業の犯罪を証明する文書を公開すると予告していたが、それはこれからどうなるか。
ウィキリークスといわば両輪の役割を果たしているように思うアメリカの独立系メディア「デモクラシー・NOW」。ここでもアメリカ政府、そして資本家の、それは罰せられて当然の所業が報道されている。
マサチューセッツ工科大教授で言語学者の反体制活動家ノーム・チョムスキー氏は、現在のアメリカの現状を「中心の崩壊」と表現した。
それは、政府の責任者がモラル・ハザードを起こしていることを指す。圧倒的多数の貧困・中間層である勤労者の生活をかえりみない政策を遂行して何らの痛みも感じないでいるのだ。
『アメリカの大強盗』という著書をあらわしたロバート・シーア氏は、クリントン大統領時代の財務長官サマーズを「毒入り金融商品」を作った張本人としている。
そのサマーズがオバマのために選挙中、800万ドルの資金を集めたという。オバマはウォール街の言いなりにならざるを得ない。
シーア氏は言う。「凡人の常識に戻ろう。頭のいい、最高の教育を受けた人達の失敗はそのことを私達に教えている」。
ロスアンゼルスタイムの元記者も「頭脳明晰と言われる人々は、実は知っているふりをしているだけ」と評している。
オバマは「黒人も白人もヒスパニックも、アメリカ国民は一つになろう」と呼びかけた。
だがそれはまやかしで、大泥棒の罪を免罪することだった。
マネーゲームの火遊びの大失敗を税金で救われた銀行に、中間層の人々は住宅を奪われた。
この20年間、アメリカの大銀行の不道徳な行為に対しては軽い罰金で済んでいる。だから何度も同じことを繰り返す。
その上、マネーゲームの狩人達は穀物市場を投機の対象にして、小麦やとうもろこしが高騰し、そのために世界で数百万の人々を飢えさせた。
実需を忘れている金融資本主義は、資本主義の末期症状だ。
ウィキリークスによる情報公開。
が世界を揺るがしている。
主宰者のアサンジ氏の目的は、この地球上で最も無法・非道の戦争や陰謀を繰り返している「アメリカ国家」の実態を暴き、世界中の人々に知らせることだろう。
事実を知らせるだけでいい。それを知ってどうするかはそれぞれが考えればいいことで、ウィキリークスは今現在その立場に立っていると思う。
私はケーブルテレビ経由で「朝日ニュースター」の「デモクラシーNOW」という、独立系メディアの番組を見て、世界の特にアメリカの政府、企業の非道ぶりに毎回衝撃を受けているが、それを報道、告発しているのはフリーのジャーナリスト、研究者、NGOの活動家などだ。
彼らは権力者達の無法の行動をあらゆるアンテナを張って明らかにしてくれているのだが、それはウィキリークスのような政府文書そのものではないから言い逃れの余地はある。
今回流出した公電、ファイルなどは言い逃れができない「公文書」だ。
公電というのは、あの電報のことか。機密性の高い情報を伝えるために何か特別なガードはあるのか。素人にはわからない。
「公電」で思い起こすのは、1972年の「沖縄の施政権返還」に関わる「密約」をあばいた毎日新聞記者の西山太吉氏だ。
外務省の女性事務官と親しくなって、公電を持ち出させ、それをコピーするという手間をかけて、「密約」の存在を明らかにした。
それはさておき、今回これだけの文書が流出したのは、02年の米中枢同時テロ以降の、政府各機関の「情報共有政策」により、同時に多数の人が内部ネットワーク上で、それを目にすることができるようになったからだという。
今回、アメリカ政府は「そういう事実はない」と、言い逃れはできず、「そんな意味で言ったんじゃない」と釈明してまわるしかない。
日本関係では、北朝鮮に関しての日本の態度について、中国当局者がアメリカの大使代理に「日本は6カ国協議再開をめぐり、拉致問題にこだわり、ぶち壊すことだけして、成功させることの邪魔をしている」と語ったというのは、全くその通りだと思った。
今まで政府や大手メディアが握っていた「重要な情報」が、インターネット時代になって、それが大衆の間にも知られるようになった。
とはいえ、政府や大手メディアの発表や報道を信じる人々は多い。
このたびの北朝鮮のヨンビョンド砲撃についても、NHKの報道は、「北朝鮮に厳しい態度で」とする韓国人が大部分のように報じていたが、世論は必ずしも一色ではなく、割れているのが実情のようである。
韓国政府よりの発表をそのまま「韓国の世論」として報告してくるソウル支局長を批判するブログを読んだ。
視聴者から受信料を取って番組を作っている「みなさまのNHK」が、「みなさま」に事実を伝えない現状がこのところ目に余る。