木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

中国侵略の残虐ぶりを知らずして中国脅威を言うなかれ

2014年05月21日 | Weblog

集団的自衛権行使容認の口実に使われるのが北東アジア情勢。
特に尖閣諸島をめぐっての中国とのせめぎあいに、日本国民の中にもいかにも中国が今にも日本を占領しにくるのではないかという「狂った不安」を持っている人もいる。
しかし以前にも書いたが、地図をよく見てほしい。尖閣諸島は中国、台湾、沖縄・八重山諸島の間にあって、「日本固有の領土である」などと息巻く根拠には乏しい位置にある島々だ。
むしろ台湾に近い。たまたま日本人が上陸して水産加工場などを作って利用していたことから日本が実効支配しているというにすぎない。
この海域でのいざこざは、いわばご近所の境界争いや、隣の家の音がうるさいだの、枝が我が家に張り出しているだののトラブルと同じ。
そんなことでいきなり隣に武器を持って怒鳴り込んでいきますか?まず話し合うでしょう。そうでないとそこでは暮らしていけない。
今や戦争やりたい狂になってしまっている安倍総理の集団的自衛権行使容認の暴走は、どんな小さなトラブルでも口実にして、交戦に出ようというところまで来ている。
それで迷惑し、直接的被害をこうむるのは今でも米軍基地負担で苦しんでいる沖縄の人達でしょう。こちらが攻撃すれば必ず相手も反撃してくる。
隣近所ならトラブルを避けて引っ越すという方法もある。家族構成が変わって、やがて隣家が、あるいは自分のほうが高齢になったり、空き家になったりで力関係に変化が訪れることもないわけではない。
しかし近隣諸国とはずっと地球がある限り付き合って行かなくてはならない。現代においては武力で決着をつけるということは両方が破滅するということになる。

『未来をひらく歴史』東アジア三国の近現代史(日本・中国・韓国=共同編集)高文研
という本を今読んでいる。
帯には「自国中心の歴史は21世紀には通用しない」とあり、開かれた歴史認識の共有をめざす日・中・韓三国の研究者、教師らが三年間・十回の国際会議を重ね、共同編集、執筆した近現代史入門書とある。
この書の特に日本軍が中国大陸に侵略し、中国人民に対してした残虐行為は百年経とうが、千年経とうが消えるものではなく、中国に同じことをされても日本は文句を言えない立場だと思わされた。
満州事変(1931年)後、100万を超える満州の農民と都市住民は戦火を逃れ、あるいは日本軍に帰順することを嫌って華北や南方へ難民となって流浪する運命に落とされた。
日本軍は食糧・軍需品などの供給、補充を軽視し、必要なものは現地で徴発する方針を取り、勝手に民家に侵入し略奪し、家を焼き払い、女性を強姦、抵抗する住民を殺害した。
日本は中国占領地で中国人を強制労働させて、資源開発や軍事施設の建設をさせた。
劣悪な労働環境のもと命を落す者も多く、「万人抗」と言われた埋葬地もある。
南京大虐殺(1937年11月)。
南京を占領した日本軍は大規模な掃討作戦を開始した。
1946年中国国民政府の南京軍事法廷の調査によると日本軍によって集団虐殺され、遺体焼却、証拠隠滅された者19万人余り、個別に虐殺され遺体を南京慈善団体が埋葬した者15万人余りとしている。
東京裁判判決書では「日本軍が占領してから最初の6週間に南京とその周辺で殺害された一般人と捕虜の総数は20万人以上であったことが示される」としている。
無差別爆撃。
中国抗戦の政治・軍事の中心だった重慶に対して戦略爆撃を行い、多数の市民が犠牲になった。
三光作戦。
日本軍は華北において中国共産党が解放した抗日根拠地に掃討作戦を実施。
すべての家屋を焼き尽くし、すべての人を殺し尽くし、すべての財物を奪い尽くすという民衆の生存条件を徹底的に奪う作戦を行った。
細菌戦・毒ガス戦・人体実験。
細菌・化学戦部隊である731部隊では、捕えた抗日活動家などを部隊に移送し、チフス、コレラ、などの細菌実験や人間の血と馬の血を交換する実験、生体解剖まで行い、元731部隊員の証言によると少なくとも3000人が犠牲になった。
毒ガス作戦も行い、戦後遺棄された毒ガスによる犠牲者も未だに絶えない。
これだけのことをしておいて「中国の脅威」を言うなど「盗人猛々しい」というのが今の日本だ。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

他国の戦争で経済大国になった日本

2014年05月14日 | Weblog

「見極めよう、安倍政権の正体」(斎藤貴男)市民の意見冊子2014年4月号より
「消費税」がいかに反民主的で不公正な税制であるかを、市民にわかりやすく説明してきた斎藤氏のこれまたわかりやすい安倍政権、その「黒い正体」といった内容である。
新聞や司法に介入する安倍政権。
消費税8パーセントの次は10パーセントへの増税を狙う政権に対して、新聞協会はわが業界だけは軽減税率を適用してほしいと自民党に願い出ている。首尾よくお願いを聞いてもらうために安倍政権におもねた記事で、読者の目を曇らせている。
司法界も元々権力の意に沿った形で動いてきたが、安倍政権になってさらにその度を強めていて、殺人事件などへの重罰化、厳罰化が進んでいき、憲法に照らしてもその後ろ向きの姿勢が目立っている。
こうして言論統制と司法の支配を強め「戦時体制」に持っていくのが安倍政権の狙いである。
こんな危険な政権であるが、多くの人達は「アベノミクスで景気がよくなると言われ、オリンピック東京招致でさらに景気がよくなると宣伝されて真に受けている」。
「積極的平和主義」という暴言。
平和学者ガルトゥングが提唱した積極的平和主義とは「単に戦争がない状態だけでなく、内戦中の国の中での差別、虐待を無くす努力をしよう、単なる平和ではなくよりよい平和を目指そう」というものだが、安倍総理の言うのは「日本やアメリカの多国籍企業にとって都合の悪い国々を世界から排除することで、平和が訪れる」というきわめて身勝手なもの。
財界や自民党が国益とか自衛という時、対象としているのは日本列島だけではなく、というか地理的範囲はどうでもよく、たとえば東南アジアの工場や中近東やアフリカで資源を掘り起こす権益を日本の企業が持っていて、これらが脅かされたのだからその時には日本の軍事力を発動してもよいと考えている。
日本が戦争したい理由。
日本の大企業は海外に生産拠点の重点を移している。日本の下請けも海外に移る。そのために海外における日本の資産が急増し、安倍政権になってからは海外での権益という考え方の比重が大きくなってきた。
アベノミクスの第3の矢である。第1は大胆な金融緩和、第2は機動的な財政出動、第3が成長戦略、その成長戦略の中にインフラシステム輸出がある。社会資本ビジネスの海外への大々的な展開で、新興国の都市、港、鉄道網、発電所などをコンサルティングの段階から設計、施行、完成後の運用、メンテナンスまでを手掛けようというもの。
日本国内の需要が縮小していくなかで、大企業の規模を維持、拡大するためには海外に巨大な需要を作ることが必要になってきた。
このインフラシステムの輸出はその国の政府にとってよくても地元で暮らしている人々にとっては侵略に映り、日本を敵だと考える人たちも当然出てくる。その時日本のビジネスマンの生命を保障しなければならない。軍事力がないと「インフラシステム輸出」はやりにくいというのが安倍政権の考えるところだ。
そこで出てきたのが自衛隊がもっと自由に海外で動くことができる「自衛隊法の改定」であり、解釈改憲であり、集団的自衛権の行使だ。
安倍政権の考える「インフラシステム輸出」の中心は原発である。
あれだけの事故を起こし、その収束の道筋もつけられないのに「再稼働」に前のめりになるのは「たまたま津波で原発がやられただけ。わが国ではちゃんと再稼働をして安全です」と言いたいため。
今後格差社会は広がっていき、なのに社会保障は切り捨ての対象になり、家族で助けなさいという社会では、家族は憎しみの対象にすらなっていく。そして戦争に行くしか貧しさから脱出できないという社会、そう今のアメリカのような国に日本をしてしまおうというのが、安倍政権の正体である。
経済大国は屍の上に生まれた。
敗戦でよれよれになった日本がなぜ経済大国となり、高度経済成長をなしとげられたのか。
それは戦争だ。朝鮮戦争での特需景気、ベトナム戦争の時は戦時好景気の東南アジアに日本企業が進出、資本投下し、さらに米軍に兵站基地として国土を提供、日本は「不沈空母」となり「最前線基地」になり、その見返りとしてアメリカは日本に市場を開放したのである。

斎藤氏言う。「日本には平和憲法があったけれど、憲法の精神が守られていたとは言い難い。むしろ私たちの生活は朝鮮半島やベトナムの人々の屍の上に成り立っていたのである。これからは戦争で儲けるのはやめよう。ただ9条を守れだけでは安倍政権の戦争やりたい病には勝てません。9条の精神を本物にする本質的な議論がもっとかわさなければならない」。
しかし景気がよくなるのではと危険な男安倍を支持する国民に本質的議論の道は遠い。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国民の側の立場でしか「憲法」は作れない

2014年05月05日 | Weblog

安倍反動政権が考えさせてくれる「日本国憲法」
今までになく今年は「憲法」を考えさせてくれる年になっている。
まさに日本の「分岐点」。安倍政権の暴走が多くの国民の思い・願いを蹴散らし日本を破滅に突き落とすのか。
「秘密保護法」に始まって「集団的自衛権の行使」のために解釈改憲で乗り切ろうとする政権に対して反対の声は一段と強まっているのだが。
信濃毎日新聞3月27日付けでは県内77市町村議会のうち、23議会が集団的自衛権行使容認の向けた憲法解釈の変更に反対する意見書を3月定例会などで可決したことを報じている。
こうした意見書や請願、陳情などは各市町村の住民や団体が議会に提出し、審議を求めるもので、それぞれの地域で地道に活動を続ける「平和委員会」、「9条の会」などがその主体だ。
また4月21日付けの新聞では全国で50を超える市町村議会から意見書が衆参両院に提出されていると伝えている。これは一つのテーマとしてはきわめて数が多いという。
そして信毎では県内市町村長と県知事にアンケートを実施し、その結果を5月3日付けの一面に掲載した。
集団的自衛権行使を憲法解釈の変更で容認することに6割弱の43人が反対と回答。賛成は1人にとどまっている。
憲法9条については45人が改正の必要はないとし、必要があるとするのは3人。
首長という最大公約数的に選ばれてくる日本の平均的常識人(例外もあるが)を体現していると思われる政治家のこれが実像だと思うが、一方国会の方は安倍を先頭に狂った精神構造の持ち主が圧倒的多数派というこの奇妙な構図。
「押し付けられた」という陳腐な俗説。
改憲の腹黒い野望を持つ者たちは無知な国民に「アメリカに押し付けられた憲法を日本人の手で変える必要がある」と誘う。
しかし日本国憲法成立に当たって、GHQ民政局が参考にしたのは、明治初期に東北仙台藩下級武士出身の千葉卓三郎が起草した「五日市憲法」の人権主義の思想に共鳴した鈴木安蔵ら民間の学者たちの憲法草案であった。
敗戦当時の政府当局者達に新しい憲法草案を作るよう命令したが、できあがったものは「帝国憲法」とさほど変わらない支配者意識丸出しの草案で、民政局はこれを却下。期限が迫っている「東京裁判」の日程に合わせて急いで作らせたというのが真相。(BS朝日「今、日本は」より)。
押し付けられるも何も時の政府は新らしい日本の出発を構想する能力も精神も持っていなかったのだ。
それが今の自民党政権の先輩達である。
GHQが日本国憲法に要求したのは「天皇制の維持」、「陸海軍の廃止」、「戦争放棄」だった。
護憲の立場にとってもそもそも戦争への道筋は「天皇制国家」にあったわけだから、「天皇制廃止」こそ改憲の俎上に載せなければならないわけだが、その課題はもっと先になる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする