木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

戦後初の衆院選挙は大選挙区連記制だった

2015年12月26日 | Weblog

フリージャーナリスト安田純平さんシリアで拘束
安田さんがシリア近辺で行方不明になったという事実は大分前から報道されていたが、具体的なことが明らかになったのはこの二日ぐらいの間のこと。
安田さんといえば、10年ほど前、イラクで地元の武装勢力に拘束されたが、後に解放され、元信毎の記者ということもあって、その時の体験を聞く機会があったが、あの時と比較すると、中東の情勢も日本政府の立場も格段に厳しくなった。
10年前、安田さんを拘束した武装勢力はまだまだ牧歌的な雰囲気を持った、本格的なこんにちのイスラム国のような情け容赦のない勢力ではなかった。
彼らの日本への理解も「憲法9条のある、戦争しない国であり、優秀な工業製品を作り、経済的にも発展している、彼らを長年搾取してきた欧米とは違う」というものだったはずだ。
ところが今は彼らの日本への目もアメリカと共に「テロとの戦い」に乗り出すと宣言した欧米並みに憎むべき対象と変わった。
後藤健二さんや湯川はるなさんを助けなかった日本政府は安田さんを助ける行動はおこさないだろう。
現在のシリア、イラクといった地域はイスラム武装勢力に拘束されるか、戦闘に巻き込まれるかで命の危険をおかすものであることは安田さんも承知はしていただろうが、それでもジャーナリストとして、紛争地域に取材に行くという行動はフリーランスの宿命か。現場に行かなければ真実は見えない。

アメリカ大統領選候補に名乗りを上げている共和党のトランプ氏、「アメリカへのイスラム教徒の入国を禁止すべき」と過激発言。それならば逆にアメリカ人も中東紛争諸国へ行かないとすればいいのでは。
アメリカが中東に出かけて引っ掻き回さなければ、この地域の紛争は終息に向かうはずだ。

『ヴァイマル憲法とヒトラー』池田浩士(岩波書店)
に、あのワイマール憲法の実質的改変を可能にする法律、ヒットラーへの「全権委任法」はカトリック中央党という宗教政党が賛成にまわったために成立してしまったという歴史的事実が具体的に書かれていると言う。
まさに今の日本の公明党の果たしている役割がこのドイツの歴史と重なる。
基本的に知らないことばかり。戦後初めての女性も参政権を得た衆院選挙で、多数の女性議員が誕生したのは、この時の選挙制度が大選挙区制で、3名連記であったため、三人目に女性候補の名前を書いた人が多かったからだという。

 

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政府による詐欺は個人の被害で終わらない

2015年12月16日 | Weblog

軽減税率をめぐる迷走
軽減税率に外食を含めるかどうかで、この間のマスコミ報道はこれ一色の感があった。
結局、テーブルやいす席があって、そこで返却を要する容器などで食べる場合は軽減税率を適用しないということになったようだ。
しかし非正規雇用が40パーセントに達している国民生活で、消費税が10パーセントになれば、外食に相当する食事を今よりさらに控えるというのが庶民の取れる唯一の防御手段だ。
町のラーメン屋や大衆食堂程度の飲食業は壊滅してしまうだろう。残るのは大手の外食チェーン店のみ。
今議論しなければならないのは軽減税率をどこまで適用するのかという線引きの問題ではなく、ほんとにこんな税制の在り方でいいのかということだろう。
法人税の税率を下げることにマスコミは全く異議を唱えない。大事な命綱のスポンサーである大手企業に逆らえないからだろうが、だからこそ政治が税の公正を進めなければならないのに、大企業の代弁者ばかりが当選する今の選挙制度では、それは全く期待できない。
しかし今必要なのは法人税と所得税の税率を90年代以前に戻すことだ。
8パーセントに消費税の税率を上げるときに「社会保障のため」と言っていた政府の言い訳はなぜか今回はほとんど聞こえてこないように思うのだが。もう今や安倍自民党政権のやりたい放題で、そんな言い訳すら面倒くさいというわけか。
この間の政権運営を見れば、日米安全保障のためとして、米軍基地への思いやり予算、アメリカからの兵器購入、新興国を回っての資金援助、そんなものに無駄遣いをし続けているとしか思えない。
亡国の道をひた走る日本だが、たぶん安倍晋三はその責任も取らずに身体が先に参って、放り出すのではないか。前回同様。しかし今度はとんでもない負の遺産を国民に押し付けて・・・。

政権支持して、政策支持せず。奇妙な世論調査。
NHKの世論調査、このような戦後最悪ともいうべきでたらめな安倍内閣の支持率が下がらないどころが上がっている。
いったいどういう人が何をもってして「支持する」と答えてしまうのか。
野党が弱いからとか言われるが、何度でも書くが、別に支持するか、支持しないかどちらか選ぶ必要はないはずだ。
しかし奇妙なことに気が付いた。一つ一つ政策の賛否を問うと、例えば安保法制は?、集団低自衛権行使は?沖縄の辺野古移設は?消費税率10パーセント上げは?というと、安倍内閣の進める政策を支持するという人は40パーセントはいないのだ、どころがせいぜい2割台だ。どういう誘導尋問、ないしは集計をすれば支持率4割台になるのか。
いつの世も詐欺に騙される人はいる。しかしその被害が個人的なものにとどまっている場合は「馬鹿だね」で済ませられるが、政府の詐欺に騙される人が多いと、その被害は騙された人だけにとどまらない。

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沖縄の米軍支配は沖縄だけの問題ではない

2015年12月03日 | Weblog

映画「沖縄・うりずんの雨」を見る。
祝日だったことも多少影響があったかもしれないが、観客の入りのいいのに驚いた。
おおむねこのような社会的・政治的メッセージの強いドキュメンタリー映画は、私が見に行く平日の昼間はせいぜい7・8人がいいところなのに。
この間の政府による辺野古移設の異常な強引さに対して、沖縄の民意を一心に受けた節度ある翁長知事の「辺野古移設は容認できない」のメッセージが日本本土の人々にもいくらか浸透し始めたのかとも思ったりしたが・・・。
アメリカの監督ジャン・ユンカーマン氏は、ペルリの来航から沖縄の歴史をたどり、米軍による地上攻撃で、沖縄の人々が捨て石としてどのような残酷な運命をたどらされたかを、沖縄戦で生き残った人、その子供たちの証言で描き、米軍占領の後は米軍と共存させられた沖縄戦の記憶のない人たちの心情を聞くというように、淡々としているがゆえに真実味を感じさせる手法で伝えた。
特に1995年の米兵3人による少女暴行事件の当事者である米兵の一人のインタビューを実現させたのはアメリカ人監督ならではと思った。
今米軍兵士として沖縄にやってくる青年たちはまさに「経済的徴兵」と言われる境遇の者たちである。彼らは沖縄では自分たちはなんでも自由にふるまえると考えていて、無軌道な行為を繰り返すのである。
兵士を監督する立場の上官も兵士たちに基地外での規律の厳守を指導しない。彼らにとって沖縄の人々は占領支配地の従属民なのである。
沖縄の米軍支配は私たち日本本土に住む者に「アメリカの軍事支配を日本国民として見過ごしていいのか」という問題を今突きつけているのであると、そう私は感じた。

知られざる「護郷隊」の存在
「戦争を知らない子供たちへ」証言とアニメ(NHKBS1)
敗戦間近の沖縄北部地域で「護郷隊」なるものが、14歳から16歳の少年1000人によって結成された。
ゲリラ的な偵察部隊として子供が利用されたのである。
秘密部隊であるから資料が残っていない。それで80歳半ばから90歳近い生き残りの隊員の証言とその証言を元にアニメで当時のこの部隊の様子を伝えたのである。
名前がわかっている死者は162名だが、それ以上の少年たちが無謀な帝国軍隊の作戦とも言えない愚行の犠牲となったのである。
中には足を負傷していて歩けなくなって野戦病院用の小屋で横になっているところを移動できないということで、軍医の拳銃によって始末される友人の悲劇を目撃し、それをずっと70年、遺族に言えないまま過ごしてきた人もいる。
「ひめゆり部隊」や「鉄血勤皇隊」のような旧制の女学校や中学の生徒を主体にした動員は知っていたが、「護郷隊」とは初めて知った。
こちらは高等小学校の生徒を対象にしたらしい。

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