長野へ冬季オリンピックをという話が持ち上がったとき、スキー場や宿泊業者の関係者は、これが起爆剤になってくれて、さらに観光業が潤うと考えた。
実際どうだったか。
まず、97年からプレオリンピックの競技が開催されるということで、それまで冬のスキー修学旅行を志賀高原や白馬方面で実施してきた高校などが、長野でのスキー修学旅行を敬遠するようになってしまった。
翌年のオリンピック年にはさらにこの動きが広がった。
関係者はあわてた。予期しない動きだった。
宿泊がオリンピック関係で埋まるのは大会が開かれる2週間だけ、と宣伝したが時すでに遅し。
スキー修学旅行の長野離れはその後、固定してしまった。
その上、少子化の進む時代、これはもう取り戻せない。
これからは周辺アジア諸国から客を呼ぶことを考えるのがいいだろう。
韓国ドラマ『冬のソナタ』に、ドラマの背景として、スキー場のリゾート開発が登場するが、スケールという点で、日本のスキー場のほうが魅力的ではないだろうか。
魅力という点では、長野は北海道にやや譲るけれども。
長野新幹線の開通で、たしかに東京方面や、東北方面からの観光客が増えたのは、松代で町案内をしていて実感する。
その観光客が信州に滞在してくれるかどうかだが、やはり一晩泊まって、ゆっくりあたりを散策したい、と思える場所があるかどうかだろう。
また松代を例にするが、この城下町は散策には最適。
平日はまことに静かで、町の整備は進んでいるが、観光化されていないので、往時をしのぶことができる。
それと後は疲れを癒してくれる温泉ですか。
鉄分の多い松代の温泉は近頃けっこう知られるようになった。
野沢温泉といえば、長野オリンピックの会場にもなったし、古くから温泉とスキー場が一体になったところとして、集客のあるところと思っていたが、近頃はやはり低迷しているらしい。
地元長野にいた頃は、私はスキーなどする気もなかったが、関西方面で仕事をしていた時代、同僚の先生たちを案内してこの温泉にスキー旅行を何回かした。
麻釜という源泉近くの旅館「住吉屋」は、スキー場に一番近いからよかろうと思って予約したら、これがなかなかいい感じの宿で、同僚たちも喜んでくれた。
ここのスキー場は、リフトやゴンドラを乗り継いで、毛無山の頂上までいけるので、多様なすべりが楽しめると思っていたが、そこも低迷してるとなると・・・。
ただ、夏これらスキー場が開かれた山肌を見ると、まるで傷を負ったように見えるのに気づいて、ゲレンデスキーを楽しむということは、「自然破壊に手を貸していたのだ」と、今は年もとったこともあって、スキーはしない。