この理屈に「しょうがないかなあ」と思う国民が増えているようだが、今までの巨額の財政赤字は国民が作ったものではない。
官僚と族議員とその周辺で仕事をしている一部の人間が作ってきたものだ。
例えば地方空港。それらを推進するのは、建設業及びその関連業者と、その人達の支援で議員や首長になった者達で、「住民の要望」だとして国に陳情する。
結果、需要予測を下回る稼働率で赤字を垂れ流すことになる。
こうした仕組みを変えられずに、消費税を上げても、それは赤字の埋め合わせになるだけで、ムダ使いは続くことになる。
おそらく消費税100%にしても赤字は続く。
よく欧州の消費税率の高さと比較して、社会保障を充実するためには消費税に頼らなければならないのかと思う人が多いのだろうが、欧州が消費税という税にたどりつくまでには、どういう社会のあり方を目ざすのかという長い論議と、政治の透明さが担保されている。
その入り口に立ったばかりの民主党政権が、いきなり「広く論議をしてほしい」と言っても順序が違うだろうと言いたい。
共産党が今回の選挙で主張しているように「法人税減税とセットで消費税10㌫というのは法人税減税の穴埋めでしかない」というのが、今回の「消費税10パーセント」の本質だろう。
いったいこれから日本という国はどうなっていくんだろうと、暗澹たる気持にさせられる。
こうした動きへの対案として今唱えられているものに名古屋市長の減税政策がある。
河村氏によれば「まず減税して、財源が減れば無駄遣いできない。無駄を徹底的に洗い出して、税金の使い道の優先順位をつける。手始めに議員報酬を下げて、ボランティア精神で議員活動をする。議員を職業にしてはいけない」という。
こういう方法でも取らないと役所の無駄は減らないのかもしれない。
耳を傾けていい政策だ。
もう一つ、新党日本の田中康夫氏がさかんに主張しているのが「ベーシックインカム」という考え方だ。
たとえば、国民一人当たり「一律月5万円」を保障する。そしてこの保障とは別に収入があればその内の3割を税金として納付する。
すると200万円の収入がある人で、200万+60万(個人保障分)-60万(税金)=200万というわけで、プラスマイナスゼロという計算になる。これ以上の収入があれば税金分を引くと、自分の稼いだ収入と保障分を合わせても自己収入を下回ることになるが、それだけ収入も多いので生活困窮に陥ることはないわけだ。応能負担の原則が貫かれる。
この考え方の要は、最低生活保障もあるが、役所の裁量を排除するという点にある。
シンプルにして、いちいち生活実態を調査して書類をあれこれ作成する必要がない。これだけで随分無駄が省ける。
消費税とともに民主党が言っている政策の「議員定数削減」、これも気になる。
しかも比例の削減というのだから、これでは少数政党を壊滅に追い込む「悪魔の手段」だ。
社民党や共産党といった「正論」を言う、うるさくまとわりつくハエのような存在を一掃するのが目的なのだろう。
自民党政・官・財癒着政権がやっと終わったと思ったら、さらなる新自由主義的「暗黒社会日本」がしばらく続くことになる様相だ。