地理のわからない高・大生。
少し前の新聞記事にこんな見出しが。
今何かと話題の東国原氏が知事を務める宮崎県の位置がわからない高校生に、自衛隊が海外派兵されたイラクの位置がわからない大学生という取り上げ方だった。
こんなことになるのは、高校時代に地理を学んでいないということが関係しているようだ。
私は小学生の頃、地図帳を見るのを趣味としていた。
地図帳が教科書の副読本として配布されたのは、小学校四年か五年だったと思うが。
学校から帰るとひとしきり、地図を見て北海道から九州までの都市の位置と人口規模、名前を見ていくのが楽しかった。(沖縄やその他の離島は地図帳の真ん中の位置からずれているので、そちらにまでは目がいかなかったが)。
女の子が興味を持つ手芸のようなものにはあまり心惹かれなかった。私は「元祖・オタク人間的」だったのだろう。
おかげで、日本の都市の名前や位置は殆ど頭に入っていた。
ところが「平成の大合併」で、私の覚えた地名は役に立たなくなってしまったものが多くなってしまったけれど。
去年だったか、「世界史」の未履修問題が話題になった。
学校という存在から遠ざかって大分経つが、不思議に思うのは、やれ地理が未履修だの、生物が未履修だのというのがわからない。
私の頃は、これらは全部履修している。特別クラスでも何でもないけど。
理科系コースではなかったので、数学?は余りやってないような気がするし、物理は基本のAコースだったけど。
社会科は小学校高学年から高校まで地理と日本史は繰り返し教えられた。世界史と倫理社会という哲学の歴史を扱う分野だけは高校に入ってからだったが。
だから世界史は高校でやらないと、それこそ「国際貢献」どころじゃない。相手の国々の歴史や風土についてまるで理解していないわけだから。
生物・化学・物理・地学といった理科の分野は中学校では「理科」として、学年配分されていた。一年ではおもに生物、二年では化学、三年で物理・地学だったと記憶している。
これらは高校で総仕上げというか、教科分割された。
たしかに国・公立大学を受ける場合は、受験科目が多いので大変だが、全部履修した中で、理・社は得意ないしは攻略しやすい科目を選ぶのが当たり前と思っていたら、生物を履修していない医学生もいると聞いてびっくり。
そこまで効率化しなければ合格できない大学受験て、何なの?
かと思えば、今日3月28日付信濃毎日新聞1面は、文科省が小・中の学習指導要領の告示に「愛国心を更に強調する」修正を加えたと報じた。
客観的な世界の歴史や地勢を知らずして、強調される「愛国心」=「自国の優位性の強調」ほど危険なものはないのに。
中国製の食品の安全性の問題に加えて、ワイドショーでは、海外から日本の海岸に流れ着く漂流物の危険について話題にしていた。
海流の関係でおもに日本海や沖縄の東シナ海側に流れ着く中国、韓国、台湾からの漂流物。
韓国製のものはおもに漁具、中国製の中には医療廃棄物のようなものも混じっているという。
黄砂の季節でもある。大気汚染が深刻な大陸からの風は日本にも影響を及ぼす。
一刻も早く近隣諸国どうし話し合って解決しなければならない問題だが、最初に嫌韓だの反中だの、反日だのの気持があれば、責任のなすりあい、不信だけが増幅して、やがては武力衝突も辞さない、というふうになってしまう。
ギョーザ問題などは、解決に向かうどころか、膠着状態だ。
日本も中国が悪い、韓国が悪い、ロシアが悪いとばかり言ってないで、かつて日本も高度経済成長時代、環境に悪影響をおよぼすことを平気で、あるいは知らずにやってきたのだから、友好的に「問題解決」に協力し合うことが、今一番求められているのではと、私は思う。
そのためにも世界史、地理、気象や化学について学びましょう。
君が代は歌えなくてもそのほうがずっと愛国的だ。