消費税増税は自営業者を破たんに追い込む。
消費税の増税は実質的な値上げであり、貧しい消費者を増々苦境に追い込む税であると同時に、日々の小さな商売や仕事の積み重ねで生活している自営業者を直撃する。
なぜなら消費税は事業者の売るものやサービスに課税するものであって、納税者は消費者ではなく事業者だから。
ここのところを政府は多分わざと説明をさぼっているので、一般国民に理解されていない。
だから「財政赤字を解消するには消費税増税もやむを得ない」などという投稿が新聞に採用されたりする。
最も説明されても「やっぱりよくわからない」という人が大半かもしれないが。
自己の利益にさとい人、金持ちの人は税理士などとよく相談して、節税という名目の脱税に務めるから、よく承知しているだろうけど。
一方、中小企業の経営者と現場で接している税理士の人達は、この消費税の納税に苦労しているのを知っている。だから政府が招集する有識者とは違って、「消費税増税に反対」という人が多い。
事業者は年間売り上げ高に現在なら5パーセントかけた額から年間仕入れ額の5パーセントを引いた額を「消費税」として納税する仕組みになっている。
消費者が税金だと思って負担している5パーセント分は税金ではなく物価の一部なのだ。
消費者が消費税分を事業者に預けているわけではなく、事業者が自分で計算して納めるというのが消費税の実態なのだ。赤字でもかかる事業税のようなもの。
所得税や法人税などの国の税金の中で、消費税の滞納発生額は常に第1位。
法人税や所得税などは利益がなければ納めなくてもよいが、消費税は利益がなくても納めなくてはならない。小さな業者ほど消費税を転嫁できないで、身銭を切る場合が多い。
これ以上消費税が上がると、事業を継続できなくなり、破たんに追い込まれる業者が増えることになる。
だからまともな税理士達は「消費税増税は国民生活や中小企業の経営を破壊する」と警告している。
その一方で輸出企業には消費税相当額とされるものが戻されている。これは最近一般にも少し知られるようにはなったが、まさに「じぇ、じぇ」の世界だ。
代表的な輸出企業、トヨタの場合は年間もらっている還付金は約1800億円にもなる。
以下日産が906億、住友商事665億、ソニー、ホンダと続く。
有力20社と全国の還付金をあわせると3兆円を超えるというのだ。
320億円も滞納額あるのに輸出企業には1兆円、全体で3兆円もの還付金。消費税収入12兆円の内、還付金として4分の1もがおもに輸出大企業に掠め取られている。
堂々の「白昼現金強奪事件」としか言いようがない。
消費税を上げても社会保障に廻すなどはウソで、輸出大企業に廻すために消費税はある、と言っても言いすぎではない。
還付というのは自分が納税したものを戻してもらうことだが、輸出企業は自分で納税してすらいないもの、つまり下請け業者などが納税したものをもらっているのだ。言葉の意味においても正しくない。
輸出企業は仕入先や下請け業者に実質的にも法的にも消費税を払ったことは一度もない、このことは東京地裁1990年3月26日判決・確定で明確になっている。
政府の言い分は「外国の消費者から日本の消費税はもらえないので、輸出業者が仕入れの際に払った消費税分を返すだけ」だと。
しかし実態は輸出業者が負担している消費税分は物価の一部で、仕入先に税金を預けたことはなく、仕入先も税金を預けられたことはない。
自分で払ってもいない消費税分を還付されるというあきれた仕組み。「濡れ手で泡の還付金」。
このカラクリは輸出売り上げ高にゼロ税率をかけ、売り上げ高をゼロとし、仕入高×5パーセントを引くためマイナスになる。そしてその分を還付するというのだ。
このゼロ税率が考えだされたのはフランスで、1954年のこと。これを日本は都合よく使い、庶民と中小業者を苦しめているのだ。
そしてこれら大還付金を受ける企業がある税務署では還付金支払いのために税収が赤字になっているという。
消費税の悪税ぶりを最もよく知るのはこれら税務署の職員だろう。
税理士の湖東京至氏へのインタビューを「週刊金曜日」の編集部がまとめたものを引用参照したが、フリージャーナリストの斎藤貴男氏も自身が個人事業者という立場から消費税のカラクリを研究し、反消費税の論陣を張っているが、消費税増税で、町の居酒屋もブラック企業として悪名高いワタミのようなチェーン店ばかりになってしまうだろうと言っている。
町の個性的な小売業者が消えていく。そんな日本でいいのか。
「おもてなし」どころじゃない。
リニアとオリンピックに浮かれてる場合じゃない。
今日19日の信濃毎日新聞は、JR東海が2014年着工、27年開業を目ざす「リニア中央新幹線」東京ー名古屋間の駅と路線を公表したことを受けて一面トップで大々的に報道した。
2面、3面でも更に詳細記事を載せている。用地買収、残土をどう処理するかの問題点なども解説しているが、ざっと読んだところ、リニア新幹線の一番の問題点と思われる電磁波障害の恐れと従来の新幹線以上に電力を使うシステムであることが触れられていない。
肝心の情報を隠して、「夢の超特急」への期待を先行させている。
速く、速くというが誰がそんなに東京ー名古屋間を急ぎたがるのか?
ビジネスマン達の需要も肝心の大企業は海外に工場などを移していて、営業マン達が飛び回るという図が描けない。
長野や山梨などの地方は観光客の増加を期待しているようだが、時代は少子高齢化、貧富の格差も激しくなる一方で、旅行できる余裕のある人達も今よりもっと減っているのでは?
東京オリンピックの前年に開業した東海道新幹線の老朽化が進んでいるというのが、リニア中央新幹線建設の大きな動機だというが、もう少し常識的な方向性を考えるべきでは?
ましてや致命的な原発事故を起こした今、拡大成長の経営は大きく路線変更を迫られていると思う。
北朝鮮・アフリカ諸国「東京」に投票。
という記事があった。13日に北朝鮮の関係者が語ったという。
北朝鮮の働きかけでアフリカの複数の国も東京に投票した。
記事は北朝鮮が日本に協力し、関係改善につなげたい思惑とする一方、日本体育大の松浪健四郎理事長が、昨年11月にスポーツ交流で訪朝した際、北朝鮮政府筋に東京への投票依頼をしたと明らかにしたとも。
更に自民党衆院議員が今年夏、オーストリアにいる北朝鮮の張雄IOC委員に直接会い、投票を要請。張雄氏は支持を確約し、北朝鮮と関係の深いアフリカ3国にも投票を働きかけると約束したという。
見返りなしにこれらの約束が成立するはずもなく、自民党安倍政権は「拉致問題の解決なくして日朝国交正常化なし」と表の門を閉ざして、拉致問題の解決を引き延ばしておいて、裏では自国の都合で取引して、拉致被害者を裏切っている。
北朝鮮の脅威とやらが日米同盟死守と国防強化の大きな理由のはずだが、それは日本国民に日米同盟と軍事強化を納得させるウソだった。
正常、対等な国交を開始すれば拉致問題はすぐ解決する。
「対話と圧力」などという成立しない理屈を振り回す必要はない。
北朝鮮は自身が核開発をしていて、多分、核製造の付近では放射能汚染がひろがっているかもしれないが、そうした危険に国民を陥れても無頓着なところがあるから日本の原発汚染水問題もそれ程深刻にとらえていないのだろう。
アフリカ諸国も放射能による被曝の恐ろしさに無知といっていい。
安倍、福島事故現場を訪れ、5・6号機廃炉を東電に要請する
と、NHKニュースは伝えたが、「当たり前のこと。いまさら何を。もっと早く」というところだ。
IOC総会で「汚染水問題を解決する」と大見得を切った以上、何もしないで逃げているわけにはいかない。
東電は電力を配送する会社であって、原子炉の設計は他社まかせ。ましてや事故が起きた時の対応を充分にするノウハウは持っていない。
東電と言う会社は潰すしかない。首脳陣は総退陣。今までの体制の息のかかっていない人事をする必要がある。そういう有能な人材がいるのか問題だが。
現場の社員はそのまま働けばいい。
国際的な協力をあおがなくてはならない事態になりつつある。
オリンピックは返上。2020年の東京は熱波で、とても屋外競技どころではないという気象予測もある。
64年のオリンピックは一番季節のいい10月初旬開会だったが、なぜ7月開催になるのかよくわからないが、これまたオリンピックどころではない。
IOC委員に理性と正気を期待したこと自体間違っていた。
日本の信州の田舎暮らしの人間から見ると「まさかの驚きの決定」だが、IOC委員というもの自体が金と名誉と権力の亡者だということを忘れていた。
1998年の長野冬季オリンピックの際には、私は地元の人間として、オリンピックのことを書籍を通じてではあるがずい分ウォッチした。そこにはIOC委員たちは「汚れた貴族達」と表現されていた。
IOC委員達がどのようにして選ばれるのかはもう忘れたが、ヨーロッパの貴族達の他に元オリンピック選手の中でも野心に満ちた者があらゆる根回しに動いて手にするものであると書かれていた記憶がある。
直前にあれほど「福島の汚染水問題」が記者たちから追及されたのに、まるでそんなことは考慮の他のようにして東京に決まったのには、前回パリからロンドンにひっくり返した凄腕の英国人コンサルタントを雇ったことが功を奏したと特集ニュースの中であっさり明らかにされていたそうだが(精神衛生上悪いので、決定に浮かれる特番を私は見なかった)、そういえばサマランチ会長時代に進んだ「オリンピックの商業化」の中で、複数の「オリンピック請負人」が存在して、そのエージェントの仲介なしに決定した都市はひとつもないと書かれてあったけ。
サマランチ時代は去ったが、その後もそうした汚れた体質は続いていて、今回新会長に就任したドイツ人会長になってもそれは続くのだろう。
歴史に残る醜悪写真。
「東京決定」を報じた信濃毎日新聞の一面トップに掲載された写真ほど醜悪な図はないと感じた。ロイター=共同となっているから日本の新聞の殆どがこの写真を掲載したはずだ。
安倍・猪瀬・森の面々の他に選手か、元選手か、も実に恥ずかしい姿をさらしている。小学生低学年レベルの頭と心の連中だ。小学生も高学年になればもう少し「恥じらい」というものを持つようになる。
決選投票では60対36でイスタンブールを蹴落とした。60人の委員達は金と脅しと権力と引き換えに票を売った。交換条件なしに東京に投票するのは日本のIOC委員ぐらいだろう(猪谷千春だっけ?)。
これらの委員達は東京が放射能汚染されている事実は知っている。そして福島の事故現場が少しも改善されずむしろ悪化している情報も得ている。
それでも彼らは東京を選んだ。「自分さえ、今さえよければ後は知ったことか」。
オリンピック候補会場の放射線を測る市民の会は4月から5月にかけて東京、神奈川、埼玉の全候補地を測定した。
地上1メートルの空間線量が最も高かったのは東京都臨海部にある海の森クロスカントリーコース。毎時0・29マイクロシーベルト。
国立代々木競技場(ハンドボール)、皇居外苑(自転車ロードレース)、東京国際フォーラム(ウエイトリフティング)などでも軒並み0・15マイクロシーベルトを超えた。
地上5センチでの空間線量を測ったところ、馬術競技を行なう夢の島競技場で毎時0・48マイクロシーベルとなりホットスポット化していることがわかった。
これらの結果はIOCに加え、200ヶ所を超える各国の国内オリンピック委員会に日本語・英語・フランス語で送った。(週刊金曜日9月6日号の記事より)。にもかかわらず委員達は東京を選んだ。
これから始る放射能汚染隠し、オリンピックを成功させるために国民は一つにのファッショ圧力
すべてはオリンピックのためと、消費税増税、憲法改定、国防軍へと進んでいってしまう。そのための「オリンピック招致狂想曲」だった。
それはまず入口は成功してしまった。IOC委員へのわずかな正気に期待したが、しょせん委員達は人の国がどうなろうと、選手や観客の健康がどうなろうと知ったことではなかった。
世界中がグローバル資本主義にほんろうされて正気を失った状態だ。7年後のオリンピック後の出口には放射能汚染と日本国の破綻という地獄が待っている。
東京五輪招致の狂気に鉄槌を。
八日のIOC総会で2020年のオリンピック開催国が決定する。
東京都と日本政府、JOCは東京にオリンピックをと金を引っさげて走り回っているが、福島の原発事故を解決できない日本に世界の人々を集める資格はない。
放射能汚染水はあふれ、海に続々と流れ出し始めている。汚れた海流は地球を何度でも巡って、世界中の海を汚していくだろう。
招致委員長の竹田会長は「東京の放射能汚染は心配ありません」と言った。東京が汚染されていなければそれでいいのか。汚染のために故郷をあきらめ、避難民となっている福島の人達を侮辱し、切り捨てる言葉だと思った。ちなみに東京が汚染されていないとは言えない。
仕事も家も失った人々を置き去りにして東京近辺だけで「お祭り騒ぎ」をするというのか。願わくばIOC委員にほんの少しでいい、理性と正気を持ってもらいたい。
今回最終候補に残った他の二つの都市、マドリッドとイスタンブールも経済危機と政情不安という問題を抱えている。
全く平和と安定がなければ「スポーツの祭典」はできない。
IOCのロゲ会長は「7年後にその都市がオリンピック開催にふさわしいかで判断されなければならない」と意味深な発言をした。
これは3都市すべてに可能性を残した言葉のようでもあるが、一番この課題に答えきれないのが日本であり、東京ではないか。
「体育」と「スポーツ」
スポーツ評論家の玉木正之氏が本来「スポーツ」とは「遊戯」という意味であり、日常から離れ、社会秩序からも離れることだと言っていた。
人間もまた動物と同様、相手を倒し、そして生き延びてきた。だがそうした「闘争」の歴史を経て、暴力を振るわない、傷つけない、殺さないをルール化して、「スポーツ」にすることで、「闘争心」、「競争心」を楽しむことを考えた。
オリンピック選手を輩出してきた天理大の柔道部の上級生が下級生に暴力制裁を行なっていたことが明るみにでた。
柔道もスポーツとしてオリンピック種目に認知されてきたはずなのに、これでは「スポーツ以前」を露呈した。
これをみても日本にオリンピックを招致する資格がないことは明らか。バッドタイミングと言うべきか、はたまたグッドタイミングと言うべきか。
日本では戦前の軍事教練が戦後体力テストに利用されてきた経過があり、軍隊式の「体育」が「スポーツ」と混同された。
大学における「体育会」の体質はそのまま「軍隊」の秩序を受け継いだもので、そこで育ったというか、きたえられ、生き残った者が体育教師や指導者として、高校・中学の運動部の活動で権力をふるってきた。
そういう意味でも日本と日本国民は「五輪招致に失敗」して反省する必要がある。