木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

カダフィの落ちた墓穴

2011年02月26日 | Weblog

ニュージーランド大地震。
ニュージーランドは日本同様地震国とかで、建物なども耐震というか、免震構造に留意しているとニュースで言っていたが、それにしては日本の語学専門学校生がいたビルの壊れ方はひどい。
オーストラリアには働きながら滞在できる制度があって、それを利用して留学する日本人が大勢いるというのは知っていたが、ニュージーランドも語学留学生を積極的に受け入れていたというのは今回の地震で知った。
海外留学をする日本の若者が減っていると言われるが、それはアメリカへ留学する若者が減っているだけのようだ。
勤労者への利益配分が減り続けている日本社会では留学も容易ではない。
ニュージーランドへの短期留学にはそんな背景もありそうだ。
それと看護師を職業とする人達が、もっと国際的な活動のためにと語学留学している事実も垣間見られた。
学校を出て職に就いた後、もっと仕事の場を広げたいと勉強し直すことに関して、日本はそれをサポートする体制が不足している。そんな中でも今回語学留学している社会人の人達は人一倍がんばり屋の人達なのだろう。

現地へ着いたばかりでこの災害に遭ってしまった専門学校生は実に不運。
テレビニュースはこの地震関係でほぼ一色といったところだが、そうは言っても伝えざるを得ないのが中東の独裁・強権体制打倒の民衆運動だ。
実はNHKをはじめとした大メディアはこの中東で進んでいる事態をあまり伝えたくない。
詳細に伝えれば伝えるほど、民衆の気持には反アメリカ・反イスラエルが根底にあることが見えてきてしまうから。
アメリカ追随を至上としている大メディアを含めた支配層は、それが今世界の中でいかに拒否され、嫌悪されているかを日本の一般国民にあまり自覚してもらいたくない。
チュニジアから始った「民衆革命」はエジプト、リビアと拡大するにつれて権力を持つ者による弾圧の度合いが強くなっていってリビアで最悪の事態になっている。
リビアの治安部隊の中核は混乱の南部アフリカから雇った傭兵で、リビア人を殺害することにためらいがない。
しかしカダフィは自らの墓穴を懸命に掘る悪循環に落ちてしまった。
これだけ自国民を殺しておいて、このまま権力の座にあり続けることはできない。
傭兵は金の切れ目が忠誠の切れ目で、カダフィの海外資産に各国が凍結の制裁をし始めていて時間の問題だが、無血クーデターの英雄は民衆によってみじめな死を与えられるのか。

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「消費税」は誤解が前提

2011年02月20日 | Weblog

東京都知事選。
またその時期が巡って来た。
78歳になった石原知事の去就が注目されている。息子の伸晃が幹事長を務める自民党は石原氏に出馬要請をしたという。
いくらなんでも今度は出ないだろうと思っていたけどそうではないみたい。
こんなに差別発言連発で、上から目線で、新銀行東京の赤字に責任も認めず、問題の多い豊洲への築地市場の移転を強行しようとしていて、教育現場への締め付けは日本一。
極めつけはついこの間都議会で通した、青少年に有害と思われる表現を含んだ漫画やアニメへの取り締まり条例。
人格的に問題があると思われるこのような人物なのに、もし立候補するようだとやはり「強い」のだと、マスメディアの連中は言うのだけれど。
思うに、石原氏が人気があるというより、石原氏が都知事でいてくれることで、既得権益を得ている人がいっぱいいるということなのだと思う。
その人達は一生懸命選挙活動をし、投票依頼に力を入れる。
選挙権のある都民が、全員、いや70パーセント以上投票に行けば、この間問題の多い石原都政、おそらく当選ということはないだろうと思うけど、都民は都知事選にそれほど関心がない。
これは東京都だけの問題ではなく、たとえば私の住む長野県でも、県政が自分と直接どう関わっているのかということは、実はあまりよくわからない。
これが市政だと身近な問題がよく見えるので、誰を市長に選ぶかでずい分変わってくる。
今長野市民は現市長を選んだことを悔やんでいる状態だ。
日本の首都の長を選ぶ選挙だからメディアもよく取り上げる。
まず立候補表明したのは共産党の小池晃氏。
「福祉と教育の公正さを取り戻す」がスローガンだ。
居酒屋チェーン店のオーナーで、福祉や教育の分野にも進出している渡辺美樹氏も続いて立候補表明。
福祉と教育の重視という点では小池氏と重なるものがあるが。
小池さんは共産党の参議員だった人で、テレビ出演も多くて、親しみやすく、わかりやすい語り口の候補としてはなかなかの人だと思うけど、当選ということになると、どうか。
だから渡辺氏が立候補したのは、そんな小池氏に支持が集中するのを邪魔するため、とまでは思えないけど。

「消費税」は「弱い者いじめ税」
「消費税」というからわかりにくい。商品を買った時に税金を払って、それが公的に使われると思ってしまうが、実はそうではない。
これを今みんなに知ってもらおうと「消費税のカラクリ」という本を書いたのが斉藤貴男氏。
現在5パーセントの日本の「消費税」だが、この税の納税義務は事業者にある。そこで小さなお店とか、下請けの業者などは商品の価格にこれを上乗せできず、自腹を切る構造になっている。
あらゆる税金の中で最も滞納が多いのが「消費税」。
消費税が3パーセントから5パーセントに上がり、そこに経済の低迷が追い討ちをかけて、自殺者が3万人を超えたと斉藤氏が解説している。
さらに10パーセントになれば、自営業者の没落はいっそう進み、プロレタリアート化し、それが不安定労働市場に流れ込み、低賃金と失業により、日本社会は惨憺たるありさまになる。
それほど深刻な大変なことなのである。
斉藤氏によれば、「小規模な居酒屋は殆どつぶれて、チェーン店しか残らない」という。
都知事に立候補表明している渡辺氏のチェーン店は残る方なのだろうけど。
これを裏付けるように「居酒屋の倒産」が、昨年過去最多だったと、新聞記事にあった。
大企業の代表「経団連」は消費税増税を強く求めている。
「経団連」に所属するような、輸出大企業には「戻し税」という消費税の還付がある。何ら傷つくことなく、むしろ増収になるのだ。
こうした企業はどこまでも肥大化していく怪物と化しているわけで、その暴走を止めるのは、それ以外の大多数の日本国民だ。
エジプトやチュニジアやその他のアラブ諸国の民衆のように。

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確定囚の健康と医療

2011年02月12日 | Weblog

元連合赤軍幹部永田洋子死刑囚死去。
2月5日、最終的な死因は多臓器不全。65歳。
ここ2、3年は殆ど寝たきりのような状態で病状が悪化していたという。
永田と、永田と戸籍上の結婚をした支援者が根本的治療
を要求していたが受け入れられずこの事態となった。
私は個人誌「木洩れ日」で、二度連合赤軍について書いた。
永田は幹部として同志達に「総括」という名目の厳しい自己批判を迫り死に追いやったとして、死刑判決を受けたのだが、そんな恐ろしいことを主導するどんなに元気な女性かと思いがちだが、実は中学生の頃から病気に悩まされる人生だった。すっきりと健康な時があまりなかった。
パセドー氏病と、脳の中に腫瘍ができてそれが神経を圧迫して、時に激しい頭痛、めまいに襲われ、気を失って倒れることもあった。
そんな健康状態でがむしゃらに反体制活動をした。不健康な身体がかえって異常な心理や行動に駆り立てた面があったのかもしれない。
元連合赤軍メンバーで死刑判決が確定して拘置所で死刑執行を待っていたのは永田とその元夫である坂口弘だ。
このところ死刑確定者の死刑執行は確実に毎年複数名おこなわれてきているが、執行に当たっては心身ともに異常がないことが条件だという。
永田は40年近い拘置所暮らしの間、絶えず不調に悩まされてきた。それは殆ど放置され、頭痛を訴えれば市販の鎮痛剤が与えられる程度だったという。
強盗殺人罪などと違って政治的犯罪(連合赤軍事件の場合そう言えるかどうか疑問があるが)の死刑囚の死刑執行は先延ばしにされてきたのだと思う。
自然死を待つ、それが永田洋子に対する法務省のスタンスだったと思う。
そして永田とほぼ同罪だが、いくらか従属的ニュアンスがある坂口の場合は、永田の死刑執行がない限り、先に彼に執行命令書が下されることはなかったのだが、しかしこれから坂口は自身への執行の日を待つ身となった。
浅間山荘事件に対する審理が不充分と再審請求をしたという記事を数年前に見たが、その請求はどうなったのだろうか。
死刑囚や服役囚といえどもその健康は保証されねばならない。そのことを考えさせられる永田洋子の死であった。

愛知・名古屋トリプル選。
自民・民主の支援を受けない河村氏と大村氏がそれぞれ当選。
アメリカのテイーパーティー旋風を思い起こさせる選挙結果だった。
どちらも真の市民の代表とは言いがたい。
ただ河村氏の方は、民主党国会議員時代、議員特権をなくす主張を熱心にしていたので、その点は切って捨てるには悩むところではある。
議員年金を廃止し、議員も一国民として国民年金に一元化すべきだと主張し、豪華な議員会館の建設にも反対していた。
ただ河村氏の主張する市民税一律10パーセント減税が市民に何をもたらすのかということを考えると、財源の減少が市議会議員の報酬削減ではなく、住民福祉の削減に向かってしまう可能性もある。

ウィキリークスと八百長メール
ウィキリークスが暴露した政府の公電の中身と、携帯電話のメールに残された大相撲の八百長取り組みの打ち合わせ。
どちらも「そんなことはありません」と疑惑を否定しきれなくなったところが共通項だ。
新しく登場する文明のツールは、大衆を煽動し、洗脳するのに役立った時代もあったが(新聞、映画、テレビなど)、更に進化してマスメディアから個別発信の時代となって、申し開きが出来なくなった。
政府の場合はとにかく透明性を高める以外にないが、大相撲の方はどうすればいいんだろう。

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味方も敵も蝕む「アメリカの戦争」。

2011年02月06日 | Weblog
「枯葉剤の傷跡を見つめて」。
先週のNHK教育テレビの特集。
坂田雅子さんの作ったドキュメンタリー映画『花はどこへ行った』がマスコミの注目を浴びたのは2008年。
ベトナム戦争でアメリカ軍が使った枯葉剤が、その後いかに悲惨な傷跡をのこしているかをベトナム現地に取材した映画だったが、坂田さんの映画はそれから静かな広がりになっていった。
あの映画ではベトナム枯葉剤を浴びた親から生まれた子供達にさまざまな障害が出て、その実情を冷静に、自分の主観を抑制して伝えていて、それが見る者の心に深く沁みる映像になっていた。
実は枯葉剤の被害はベトナム人だけを襲ったのではなく、ベトナムで戦ったアメリカ兵をも蝕んでいた。
坂田さんの夫だったグレックさんはまさにその1人だったわけで、劇症肝臓ガンとも言うべき症状で亡くなっている。
枯葉剤を浴びたベトナムからの帰還兵から生まれた子供達にその影響と思われる障害が現れていた。
その1人ヘザー・バウザーさん(38歳)は、片足が欠損し、両手の指にも欠損部分がある状態で生まれた。
彼女の父は「子供まで戦争に連れて行ったとは」と、嘆き苦しんだ。
そして彼女の人生は「何でこんなことに」という苦しみと差別の中にあった。
しかし彼女はパートナーに恵まれ、二人の子供も得た。子供達は元気で過している。
アメリカでも上映された『花はどこへ行った』。これを見たバウザーさんは一歩踏み出し、ベトナムにおもむき被害者やその家族を訪ね対話する。
坂田さんがそれに同行し、この番組ではその過程を伝えた。
アメリカが次々に起こす戦争は相手とされた国や地域の人々だけでなく、戦争に狩り出された兵士にも将来にわたっての被害を与えていることにアメリカ人自身がもっと目を向ける時が来ている。
国内での核兵器製造工場での放射能被害に枯葉剤、そしてイラクで使った劣化ウラン弾。
自国民の心身を将来にわたって蝕む戦争と兵器製造に終止符を打たなければ、アメリカのこれからは暗い一方だ。
ベトナムの「枯葉剤被害者の会」の推計では枯葉剤被害者は300万人。その内ベトナム政府によって被害認定されているのは60万人だという。
この枯葉剤を製造した37の化学薬品会社を訴える裁判を04年にベトナム原告団が起こすもアメリカ連邦地裁は却下している。
バウザーさんは今、第二世代の枯葉剤被害者の肉声を聞く活動を始めている。
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